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言葉の覚え書き

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2021年2月の記事一覧

「母印」

印影の代わりに指紋を残すもの。新聞各社は「母印」の表記を採っていますが、本来は「拇印」です。 「拇」は親指のことです。

「肝が座る」?

「肝を据える」で、覚悟を決める、固く決心するという意味。したがって、「肝が」とする場合は「肝が据わる」となるので、「肝が座る」は誤りです。

世間ずれ

2013年度の「国語に関する世論調査」では、「世間ずれ」の意味として、「世の中の考えから外れている」と答えた人の割合が過半数の55.2パーセントでした。 「世間ずれ」の「ずれ」は、あるべきところから外れるという意味の「ずれる」ではなく、「擦れる」。つまり、世間にもまれて世知に通じ、ずる賢くなる、というのが「世間ずれ」の本来の意味です。

やおら

2006年度の「国語に関する世論調査」では、「やおら」の意味として、「急に、いきなり」と答えた人が43.7パーセント、「ゆっくりと」と答えた人が40.5パーセントでした。11年後の2017年度の調査では、前者が30.9パーセント、後者が39.8パーセントでした。 「やおら」とは、「おもむろ(徐)に」と同じく、「ゆっくりと」という意味。『大辞林』には「徐ら」の漢字表記も記載されていました。

頭(こうべ)を垂れてつくば「れ」? 「え」?

「這い蹲る」という表現を時折見かけますが、「似通う」「しなう」と同様、「這い蹲う」が正解。「蹲う」でワ行五段活用です。 文語は「蹲ふ」でハ行四段活用です。

「花嫁修行」?

「修行」とは、仏道に励んだり、武芸を修めたりすること。 修行僧 武者修行 技術を習って身につけるという意味では、「修業」と書きます。 花嫁修業 茶道の修業

「丸の内線」?

東京メトロの路線名は、平仮名の「丸の内線」ではなく、片仮名の「丸ノ内線」。 「丸の内」は、城の濠の内側の意味で、1929年(昭和4年)に当時の東京市麴町区の町名として正式に採用されました。昭和初期の公式文書は漢字と片仮名主体であったため、町名も「丸ノ内」と、片仮名の「ノ」が使われました。地下鉄の路線名もこれに倣ったものです。 1970年(昭和45年)の住居表示実施を機に、町名は平仮名の「丸の内」に改められましたが、路線名は片仮名の「丸ノ内線」のままです。

「橋桁」と「橋脚」

よく、橋の中間にある水面からの柱が「橋桁」と言われることがありますが、正しくは「橋脚(きょうきゃく)」です。 「橋桁(はしげた)」とは、橋脚と橋脚との間に水平方向に渡して、上部の橋板(はしいた)を支える構造物を指します。 上の写真では、コンクリートの部分が橋脚、その上の緑の部分が橋桁です。

脱字に注意

「課する」と「科する」

義務や課題などを与える場合には「課する」と、懲罰を与える場合には「科する」と書きます。 租税を課する ノルマを課する 懲役を科する 過料を科する いずれも漢語にサ行変格活用動詞「する」が結びついたものなので、終止形は「課す」「科す」ではなく、「課する」「科する」です。

「収束」と「終熄」

「収束」は、収まりがつくという点から、多少の混乱はあれど一定の落ち着きを見せる、という意味合いを含みます。 「熄」は火が消えるという意味なので、「終熄」は完全に消え去る、根絶されることをいいます。 なお、「終息」は同音の漢字による書きかえです。

「したつづみ」? 「したづつみ」?

「舌鼓」の「鼓」とは、手で打つ和楽器のことで、「つづみ」と読みます。したがって、「舌鼓」は「したつづみ」です。 室町期の日本語の音韻体系が反映された『日葡辞書』(1603年)にも、「Xitatçuzzumi (シタツヅミ)」と記されています。

「身を持って」?

この場合の「もって」は手段や方法などを表すので、漢字では「以て」と書きます。「を」とあわせて格助詞のように用いられるので、「をもって」とかな書きされることが多いです。

「ボウリング」と「ボーリング」

ボールを転がしてピンを倒す球技のbowlingは、通常「ボウリング」と表記されます。 「ボーリング(boring)」は、地質調査などのために地中に深い穴を開ける作業である試錐(しすい)のことをいいます。