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言葉の覚え書き

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2021年1月の記事一覧

「身分証明証」?

「証明証」ではなく、「証明書」です。

注文「表」?

「表」とは、縦と横との罫線で格子状に区切ったもの。「Excel」などで作成するものがこれに当たります。 伝票などの小さな紙切れには「票」を用います。

読めますか?──「忽ち」

「たちまち」と読みます。急に、にわかに、という意味です。 「忽」は「忽然(コツゼン)」の「忽(コツ)」ですね。

読めますか?──「就中」

「なかんずく」と読みます。「その中でも」「とりわけ」という意味です。 そもそも「なかんずく」という語は、「就中」を返り読みした「中に就く」が撥音便として変化したものです。 したがって、現代仮名遣いの表記ルールに従えば「なかんづく」となるはずですが、なぜか「なかんずく」になってしまいました。かつての国語審議会のメンバーに言わせれば「語構成の分析的意識のないもの」なのでしょうが、それは思考停止というものです。

「悦に浸る」?

「悦に浸る」ではなく、「悦に入る」。「えつにいる」と読みます。 物事がうまくいって満足する、という意味です。

「障壁」と「牆壁」

同音の漢字による書きかえでは「牆壁」を「障壁」に代えていますが、「牆壁」は文字通りの壁を、「障壁」は「妨げとなるもの」という派生的な意味を表します。

チンパンジーの人工ホイク

「保育」は同音の漢字による書きかえ。 「保育」は、「保育園」「学童保育」などのように、専ら人間の乳幼児の保護と育成を指します。 「哺育」は、とりわけ動物の親が乳や食物を与えながら子を育てることです。

「混迷」と「昏迷」

同音の漢字による書きかえでは、「昏迷」を「混迷」と書きかえていますが、両者は意味が違います。 「混迷」は、いろいろ入り混じって筋道がわからなくなること。 「昏迷」は、意識はありながらも、外界の刺戟に対する反応を示さない精神状態のことです。

往復ショカン

「書簡」は同音の漢字による書きかえ。書きかえ元は「書翰」。但し、いずれも古くから用いられています。 「翰」は鳥の羽。ここから、羽毛を原材料とする毛筆を意味するようになり、更に文章や手紙を指すようになりました。academyの訳語である「翰林院(カンリンイン)」の「翰林」は、文筆の集まるところ、つまり文人や学者の社会を指す言葉です。

「レンタル」と「リース」

ともに「借りる」イメージがありますが、「レンタル」が物を直接借りる行為を指すのに対して、「リース」はお金を借りて物を購入する行為を指す、という点が大きな違いです。 一般的にリース契約は、中途解約が認められておらず、またユーザー側に修繕義務がありますが、これはリース会社にお金を用立てて物品を買ってもらっている、という性質があるからです。 会計の世界では、上記の「お金を借りて資産を購入する」リース取引を、特に「ファイナンス・リース」と呼んでいます。他方、「オペレーティング・リ

「忘備録」?

「忘備録」ではなく、「備忘録(ビボウロク)」。 「備忘」は「忘るるに備ふ」です。動詞(「備」)は目的語(「忘」)の前に置くのが、漢文の基本です。

シチテンバットウ

「七転八倒」は同音の漢字による書きかえ。元は「七顚八倒」。 「顚倒」で見たように、「顚」は上下逆さま、「転」は円を描くようにころがる意味を表します。 また、「ころげまわって苦しみもだえる」(『広辞苑』)という意味は、日本語独自の用法です。本来は、シチテンハットウと読んで、「混乱したさま」(『漢辞海』第四版)を表します。「顚」の字義に照らせば、「上を下への大騒ぎ」に近いでしょうか。

感染症がシュウソクする

「終息」は同音の漢字による書きかえ。元は「終熄」。 「熄」は、「火が消える」から派生して、「なくなる」「進行が止まる」を表します。

「農薬をサンプする」?

「散布」は同音の漢字による書きかえ。正しくは「撒布」。 「撒」は「まく」と訓読みします。 「散布」への書きかえは、「撒布」の慣用読みであるサンプによるものですが、「撒水」と同様、「撒」の字音はサツなので、「撒布」はサップと読むのが正解です。