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韋編三絶

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#哲学

萱野稔人『死刑──その哲学的考察』

世界中が死刑廃止に向かう中、今なお死刑を存置している日本は少数派である。実に国民の8割が支持しているとのことだが、死刑賛成派は果たしてこの本を読んでもなお、考えは揺らがないであろうか。 萱野稔人『死刑──その哲学的考察』(ちくま新書)、筑摩書房、2017年 例えば、死刑が廃止されれば、凶悪犯罪が増えてしまいかねないと考える向きは多いであろう。だが、社会への復讐を狙って、自らの道連れとするために実行される殺人もある。つまり、死刑が凶悪犯罪を誘発する事例もあるというわけだ。