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商店街通行量の研究

「定義されない商店街活性化」の頼みの綱は〈通行量の増大〉です。
通行量増加→事業機会の増大と直結しているように語られるが果たしてどうか。
検討してみましょう。

通行量とは何か?
どうすれば増えるか?
増収増益に結びつけるには?

一口に「通行量」といっても歩行目的によって様々。大きく4つに区分出来ます。
①遊歩:商店街にショッピングに来ている
②居住:商店街に住んでいる
③用務:商店街にショッピング以外の目的で来ている
④業務:商店街で働いている

通行量の増大」は、増やしたい歩行者の性格によって増やし方が異なります。
①遊歩:商業機能を充実させる
②居住:居住空間の整備
③用務:ショッピング以外の来訪目的(施設、催事)の提供
④業務:就業機会の増大

活性化が必要な商店街が増やしたい歩行者相は〈遊歩相〉ですね。

遊歩客相:ショッピング目的で来街し、街なかで過ごす時間を堪能している、または堪能したい客相
ショッピング:
買物、買い回り、下見、情報収集、暇つぶしなど、売場―商店街の機能を利用して出来る
こと

この客相を増やすには、ショッピング機能を充実させることが不可欠です。

商店街活性化=衰退趨勢に陥っている商店街に適切な施策を講じて商業集積としての持続可能性を再構築すること、とすれば、増収増益、客数増大は必須課題、「通行量増大」の目的は、遊歩(買物・買い回り)客数の増大です。

遊歩以外の客相の場合、遊歩相への転換というステップが加わります。

遊歩以外の目的で街区を歩いている人:居住、用務、業務者を増収増益と結びつけるには、来街―歩行目的外の行動を取ってもらうことが必要です。
【遊歩(ショッピング)客相への転換】ですね。
目的外の行動を訴求するわけですから、相当の誘因(インセンティブ)が必要です。

何気なく目に入った売場の魅力が強烈で思わず入店してしまった、という行動が客相の転換です。AIDCAの法則発動

客相の転換には相当魅力のある売場が供覧されていることが前提条件です。

ここで「一過性集客イベント」を目的に来街した人の場合を考えてみましょう。
(商店街の愛顧客では無い)
彼/彼女の来街目的はイベントを楽しむこと、ショッピングは予定に入っていない。
この人たちを「遊歩客相」に転換しないとイベント開催の目的は達成されない
·
イベント目的で通りを歩いていたら、魅力的な売場が眼に飛び込んできた、思わず注視、とても楽しめそうな感じだったので入ってみることにした・・。
AIDCAです。
あるいは今日は予定があるので近く必ず出かけてこよう・・。
AIDMAですね。
·
イベント目的の来街者を遊歩客相に転換するには、イベントに先立ってAIDCA、
AIDMAの対象となる魅力を持った売場を準備し、供覧しなければならない。
この準備が無いとイベント客の遊歩客への転換は起こりません。
イベントはやまぶきイベントで終わる実の一つだに無きぞ悲しき

「通行量の増大を目指す事業と通行量の増大の関係について」
通行量増大事業は通行量を増やすことが出来るか?

〈通行量の増大〉を目的に取り組まれている事業は多様ですが、ここではまず第一に、
通行量の増大を目指して取り組まれる〈一過性集客事業〉を検討します

一過性集客事業の目的は、「事業に取り組むことで商店街の通行量を増加する」ですね。
一過性の来訪者を恒常的な来訪客=商店街の愛顧客に転換する←これが一過性集客事業の
目的です。

いいですか?
集客事業の目的は、集客イベントにお客を集めることではありません。
集めたお客を商店街の「遊歩客相」に転換しないと街の恒常的な通行量の増大は実現
出来ないのです。

そのためには、売場が「AIDCA、AIDMA」機能を十分発揮出来る状態で作られており、
それが通りから確認出来なければならない。
一過性集客事業が通行量の増加を実現するための必須条件です。

これまで取り組まれてきた一過性集客事業が当日の集客には成功しながら、恒常的な通行量の増加を実現出来ないのは、集客事業に参加した客相を「遊歩客相」に転換する仕組みが実現していなかったため。
〈見える・魅力ある売場〉を作り、供覧するというステップが取り組まれていなかった。

一過性集客事業が通行量増大事業として成功するためには、
①集客力のあるイベント事業の催行と
②イベント客を遊歩(ショッピング}に転換する魅力的な売場の供覧

①は取り組まれたが、②はほとんど取り組まれていないことが、従来の一過性集客事業が目的を達成出来なかった原因です。

イベント催行と魅力ある売場の供覧が〈車の両輪〉として展開されてはじめて一過性集客事業が商店街活性化の実現につながる「通行量の増大」を実現します。
確認して下さいね。

さらに「魅力ある売場づくり」と活性化そのものである「遊歩客相の増大」の関係について。

「遊歩客相の増大」と「魅力ある売場づくり」の関係について。

遊歩目的の通行量増大:
(1)ショッピング目的以外の来街者の
 ①お試し入店促進
 ②愛顧客への転換

(2)既存顧客の
 ①来街回数の増加
 ②買い回り店数の増加
に取り組む。
(2)既存客への訴求が特に有効


遊歩客相の通行量を増大するには:
「ア新規顧客増+イ愛顧客の頻度向上」の二法がある。アに向かいがちだが結構難しい
比較してイは取り組みやすく成果が得やすい。

いずれにせよ、来街者からみて〈魅力ある売場〉が揃っている、漸進的に増え続けている、状況を一日も早く実現したい。

ちなみに (1)を狙いがちだが、新規客の候補者は今現在はどこか他店のお客。
こちらを向かせ、愛顧客にするのは容易では無い。
その点、 (2)は今現在街区内のどこかの顧客だから、〈売場の変化・魅力アップ〉に気づきやすく、反応しやすい。
取り組みの第一標的は (2)既存得意客相。
·
既存客の来街回数・買い回り店数増は、「通行量増大」の取り組みの最優先目標
この目標の達成―売場の魅力アップを通じて新規・一見客の増加の可能性が向上する。

通行量増加を目指すなら、通行量増加催事に取り組むよりも〈魅力ある売場〉づくりに集中すること
通行量増加と並行して個店の増収増益が実現する。
逆から言えば、個店が増収増益を実現するほど魅力ある売場を作らない限り、商店街の見果てぬ夢・通行量の増大は達成出来ない。

集客イベントで通行量を増やす、という短絡条件反射では通行量は増えません。
毎度のイベントで体験しているところ。

結論:
目標=通行量増大を掲げるなら、取り組む課題は来街訴求イベントでは無く、「魅力ある売場づくり」です。
通行量が減った―増やせ、空店舗が増えた―減らせ、といった対症療法は、対応のあり方として根本的に間違いです。

よろしく確認の上、「魅力ある売場づくり」に舵を切りましょう。

〈遊歩通行量〉維持・生成装置としての〈魅力ある売場〉について

以上見てきたとおり、商店街活性化を実現する通行量の増大とは、ショッピング客相=遊歩客相の来街・遊歩の増大のことであり、それを維持(既存顧客)・生成(新規、遊歩以外の客相の転換による)するのは〈魅力ある売場〉の任務ですね。

俗に言われている「通行量の増大が事業機会=繁盛店を作る」のではなく、常識とは真逆、
「魅力ある売場が通行量を維持、生成、増大する」というのが論理的思考に導かれて到達
した結論です。

集客イベントは一見イベント客への「魅力ある売場のお披露目」である
GoTo商店街的事業の実施に際しては、先行して「魅力ある・売れる売場」づくりに取り組みその成果を披露して、AIDCA、AIDMAの起動を促すこと。
売場の準備を怠ってはいくら集客力に優れたイベントを催しても遊歩通行量の増大、個店の増収増益は実現出来ないのだと肝に銘じて下さいね。

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