見出し画像

東京さくらユニバーシティ物語 【第四章 日曜日の悲劇】

キャンパスの公園には、生き生きとしたエネルギーが満ちていた。TOSHIのギター、ロナードの電子楽器、そしてANNAのダンスが完璧に融合し、周りにいる人々を魅了していた。

「これはまるで魔法みたいだね!」ANNAは笑顔で言い、軽やかにステップを踏んだ。彼女の動きは音楽と完璧に同期していた。

TOSHIはギターを弾きながら目を輝かせた。「本当にそうだね。僕たちの音楽が、こんなにも人々を引きつけるなんて思ってもみなかったよ。」

ロナードは電子楽器から手を離し、二人を見渡した。「これは僕たちの情熱が生んだ結果だよ。僕たちの音楽とダンスが一つになって、新しい何かを生み出しているんだ。」

その時、キャンパスを散策していた数人の学生が、彼らのパフォーマンスに足を止めた。彼らの表情は驚きと喜びに満ちていた。

「みんな、こんなに集まってくれてありがとう!」ANNAが言った。彼女の声は明るく、歓迎するような響きを持っていた。「私たちのパフォーマンスを楽しんでくれているみたいで、嬉しいわ。」

「音楽って、本当に人をつなげる力があるんだな。」TOSHIは感慨深げに言った。「僕たちのセッションが、こんなに素敵な瞬間を作り出すなんて。」

ロナードが頷いた。「そうだね。僕たちの合作は、ただの音楽やダンス以上のものを生み出している。これは、創造性と友情の素晴らしい証だ。」

ANNAとTOSHI、そしてロナードの周りでは、人々が彼らのパフォーマンスに夢中になっていた。しかし、その平和な光景は突然変わった。キャンパスの他の端から、金属がぶつかり合う音が聞こえ始めた。最初は誰もその音に気づかなかったが、徐々にその音は大きく、そして明確になっていった。


「何の音?」ANNAがパフォーマンスを中断し、首を傾げた。

TOSHIはギターの弦を静かにさせながら、不安げに言った。「わからない…でも、あまり良くない感じがする。」

ロナードは電子楽器を手に持ったまま、警戒しながらその方向を見た。「あれは…ロボット?」

それからすぐに、20台ものロボットが互いに激しく戦い始める様子が見えた。彼らは、キャンパス内の静寂を乱し、恐怖をもたらしていた。ロボット同士の衝突は、まるで古代の戦士が戦うかのように激しく、その光景は見る者を圧倒した。

「みんな、こっちに来て!安全な場所に移動しよう!」TOSHIが叫んだ。彼は、すぐにギターケースを背負い、ANNAとロナードを安全な場所へと誘導し始めた。

ANNAは驚きと恐怖で目を見開きながら、周囲の人々が慌てて逃げる様子を見た。「こんなことが起こるなんて…」

ロナードは混乱した表情で、ロボットたちの戦いを見つめた。「これは一体何のための戦いなんだ?」

周囲にいた観客たちは、パニックに陥り、一斉に逃げ出した。彼らの足音と叫び声が、キャンパスの公園を埋め尽くした。

「安全な場所を見つけないと…」ANNAが言いながら、TOSHIとロナードの後を追った。彼らは、ロボットの戦いから離れ、キャンパスの建物の一つへと向かった。

ANNAとTOSHI、そして彼らの友人であるロボット、レオナードは、緊急避難を試みていた。公園を駆け抜ける彼らの前に、突如として10台の異なるロボットが現れた。これらのロボットは、目の前で猛烈なスピードで接近してきた。彼らは逃げる方向を変えようとしたが、その瞬間、世界は真っ白になった。


目を覚ましたANNAは、白い天井を見上げた。彼女の頭はぼんやりとしていて、どうしてここにいるのかわからなかった。隣にはTOSHIが、同じようにベッドに横たわっていた。

「TOSHI…?」ANNAの声はかすかで、不安に満ちていた。

TOSHIはゆっくりと目を開け、彼女の方を向いた。「ANNA…ここはどこだ?」

二人の間には混乱と不安が漂っていた。彼らの記憶は、キャンパスの公園での一連の出来事が途切れていた。

「覚えてる?ロボットたちが…」ANNAは言葉を探しながら、目を閉じようとした。しかし、具体的な記憶はつかめなかった。

TOSHIは頭を振った。「うん、ロボットたちが争っていたのは覚えてる。でも、その後が…全然思い出せない。」

「TOSHI、これは…」ANNAの声は震えていた。彼女の右腕は肘から先が精巧な機械の手になっていた。

TOSHIは自分の左足を見つめ、驚愕した。「どうしてこんなことに…?」

その時、部屋には静かな足音が響き、一人の医師が彼らのもとへと近づいてきた。「目を覚まされたようですね。心配されていました。」

「私たちの手足は…?」ANNAが尋ねた。

医師は優しく説明した。「あなたたちはロボットたちの紛争に巻き込まれ、重傷を負いました。最新のサイバネティック技術を用いて、失った手足を代替しました。」

「サイバネティック技術…?」TOSHIが繰り返した。

「はい、この技術により、失われた身体の一部を補い、場合によっては元の能力以上の機能を持たせることが可能です。」医師は説明を続けた。「これからは新たな身体の一部として、これらを受け入れていただく必要があります。」

ANNAとTOSHIは互いに目を見交わし、そして新しい現実を受け入れようとした。彼らの身体が変わったことで、今までとは違った生活が待っていることを知っていた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?