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普通第一種回想記(前編)

 おう、夏だぜ。おれは元気だぜ。ご無沙汰しております。竹生夏です。

 虚実混淆週記を投稿していたのがつい昨日のことのように思えたり思えなかったり、いつの間にか半年以上が経過しました。その間にいろいろあったり、無かったりしました。

 さて本題に入りますれば、わたくし現在大学4年生として卒論の下ごしらえに精を出し、その他家事やら趣味やら飲酒やらに大忙しの充実した日々を送っております。そんな中、up出来ておりませんでしたメモ書きを発掘、またそれにかかる事案が満了したため広大なネットの海に放流することで、その供養としようというのがこの記事の主眼です。散骨みたいなもんですね

 その草稿というのが、ある種わたしの人生を左右するような七転八倒の奮闘劇と申すればいささか羊頭狗肉ですが、要は「竹生夏が第一種普通免許を取得するまで」のお話です。お暇がございましたらお付き合いいただきたく存じます。ほぼ覚書のままですが所により加筆(という名のツッコミを)しています。


 たぶん前後編くらいで出すと思います。ではどうぞ


 12月9日、昼ごろ親に「そろそろいい加減免許を取りに行け」と言われしぶしぶ了承、さっそく予約の電話を入れて手続きに行くことに。送迎バスに間に合うよう支度を済ませて家を出ると家の直上をカラスの大群が飛んでいった。果たして吉兆か凶兆か。バス停に着くと既にバスが待っていた。どうやらカラスを見て呆けているうちに発着時刻に遅れてしまったらしい(加筆:このあと発着時間に間に合っていてもバスが到着していることは往々にしてあることがわかります)。

 学校につき手続きを済ませる。必要書類に抜けはなくスムーズに事が進む。手早く視力検査と写真撮影に移る。散髪に行くのを面倒がっていたお陰で写真にうつる私はさながら指名手配中の左派系テロリストであった(加筆:マジでアパートで爆弾作ってそうな見た目でしたが私はテロを計画・実行したことはありません)。適性検査は楽しかった、「大学の勉強もこれくらい単純だたらいいな」と一瞬思うが、すぐさま「それはそれで嫌だな」とも思った。学科までの休み時間に自販機で買ったマウンテンデューを飲む、高校の昼休みを思い出した(加筆:昼休みに飲んでたのはメローイエローですが、同じ系統の甘さがあります)。
 学科を2コマ受講。教科書のサラサラと粉っぽい紙質がノスタルジーを喚起する。教員の話し方はアクが強い。1人目の朗読はイントネーションが独特で噴水の水のような軌道を描く。2人目はやたらと「ネッ」という。そしてどちらも訛り(加筆:というか個人の癖だネッ)がきつめだ。時限の終わりに観るまとめの教材ビデオが良すぎる。ソフトはなんとレーザーディスクである。画面構成も古めかしいフォントもディゾルブの仕方もチープでオケラヒットがやたら入るBGMもたまらない。クラッシュする車といい何といい、ビデオを視聴するあいだ終始興奮がおさまらなかった。
 受講を終えて帰りのバスに乗った。が、どうやら思っていたのと違うルートをまわるバスだったらしく面食らった。が近いところは通るので(そもそも教習所が家から近いのだ)問題はない。次回の送迎バスの予約を忘れてしまったことに車中で気づく。AMラジオからは『津軽海峡・冬景色』が流れている。親から「帰りにビールを買ってこい」とラインが届く。6缶パックを小脇に抱え帰路につく(加筆:何ともいじらしい情景ですね)。


 12月15日。行こう!と決心した日は何度かあってもバス予約の電話をことごとく忘れて(加筆:前日もしくは当日の朝にしなくてはならない)だいぶ間が空いてしまった。発着時刻に余裕をもってバス停に到着。バスに乗り込んだ瞬間イヤホンで聴いていたシャッフル再生のトラックが切り替わりGET UP AND DANCEが流れ出す(加筆:スチャの方)。謎に旅気分。

今度は忘れないよう到着一番にバスの予約をする。今日もまた「ネッ」の人が担当だった(以降、ほぼ全ての授業がこの人による)。教材ビデオによく行く天下一品(加筆:高円寺店、なんか他の店舗より美味しい気がする)が映り込んでて面白かった。標識表示のビデオは名作だった

 12月22日。(加筆:大学の授業の)レポート締切日だが同時に初技能の日でもあった。教習は昼からなので午前中はレポートを書き13時半から16時まで教習所へ(実質の教習時間は2時間)。教習前に適性検査の結果を貰ったけどネタ的に美味しいような結果は全く無くて残念だった(加筆:「若気の至り」的な項目以外問題無しという面白くない結果だった)。初めてアクセルというものを踏んだが程度がわからないので足指の力だけで押すくらいの気持ちで踏んだらわりと速度が上がって(20キロちょい超えたくらいではあったが)ビビり倒した。時計回りが半分、反時計回りに半分外周を回って終了。何も小賢しい攻略法とか無いので経験値積んでレベル上げて素手で殴るのが一番強いんだろうなと思った。明日も1時間やることになった。

 12月23日、技能1時間学科2時間受講。16時くらいからだったので運転し始めて数分であたりは真っ暗に。あと路面にバリバリの氷が張り始めててたまにABSが作動した。ビビり倒した。指導員曰く順調らしいので順調なんだと思う。技能教習はピアノのレッスンみたいな感じがする、ピアノと違って自主練が無いので楽だ(加筆:私は2歳からピアノをやっていたが自主練が嫌すぎて13歳くらいで辞めた、10年もようそれで続いたな)。学科試験のビデオのノスタルジーにだいぶ鈍感になってきたようだがそれでもハッとさせられるようなショットがたまにあって、ナニワ金融道を読んでるときの感覚に似てるような気がする(加筆:この頃ナニワ金融道を熱心に読んでいた)。内容は俗なんだけどいきなり聖性が挟み込まれるような感覚。授業後、帰りのバスで1番後ろの4人掛けに座ったら女子高生2人がひとつ空けて横に座ってきたので怯えた。いきなり自撮りとかし出したので(本当にするんだ……)て思った。自分も数年前は高校生であったはずだけどなんかすごい乖離を感じた(加筆:私服の高校に通っていたのも一因と思われる)。


 12月26日、家を出たら雪が降っていた。「きょうはもう暗いけど日が出て見通しがいいとまた感触違ってくるから」(教官の談)ということでお昼に技能講習を入れたのだが今までで一番見通しが悪い。線も何も見えないのでなんとなくでやっていくしかなかったけどなんとかなったっぽい。明日も同じ時間に来ることになった。


 12月27日、今日は晴れていて見通しが良かった。行きのバスの窓から見た冬毛のスズメが愛らしかった(加筆:冬毛のスズメは可愛い)。


 1月5日、バカ寒い。年を越したあたりからずっと最高気温が零下4、5°Cの寒い日が続く。そんな中で早起きするのは大した苦行だった。早いといっても起きたの8:30だけど(加筆:小学校低学年のときはポケモンサンデー観るためだけに7時半に起きれたのに不思議ですね)。1限目から技能を受けて、2限目が空いてまた3限目に技能教習。夕方に学科を受けるのがRTA的には理想だけど他にやることもあるし一日中を車校で過ごすのは流石に嫌だ。今日はクネクネした狭い道をクネクネする練習をした。クネるたびにタイヤにすり潰された雪がギュギョ!と断末魔めいた音を立てるので不安になる。


 1月20日。5日からの間に何日か車校には行ったが特に変わり映えしないので割愛(加筆:単に書き留めるのを忘れてた)。早いもので技能も残すところ3時間となり、金曜日には仮免試験を受けることになった。今日は2時間教習を受ける。なんかいい感じっぽい。効果測定のことをうっかり忘れていたのでこの日にまとめてやっつける。模擬試験を5つほど受けてから本チャン。なんとか2つの問題をクリア。これで仮免試験に受かれば晴れて路上デビューである。気が重い。中途半端な時間に終わったのでバスが出る時間まで携帯している文庫本を読む(確かナボコフの『ロリータ』だったと思う)。本当は期末課題とか色々ヤバいのでこんなことをしてる場合じゃないけど他に出来ることもないので仕方ないな〜と思う。


 1月21日。今日は一コマだけ技能教習を受ける。いつも通り技能試験で回るコース三種類を40分ほどかけて走り、余った時間でクランクとS字をダメ押しで練習。特に問題なし。それよりも課題がヤバいので急いで家に帰る。


 1月22日。朝から仮免試験へ。同じ日に受ける人は私を含めて6人。技能試験は滞りなく進み、全員がパスした。トップバッターだったため待ち時間が長く、学科試験の復習ができた。学科試験の受験者は7人。1人はおそらく前回落ちたのだろう。課題に追われほぼ勉強できてなかったためわからない問題もちらほら。勘で回答した。自信は無かったが受かったようで受付前で待機していると手続きをするよう招集がかかった。気づくと1人減っている。どうやら試験に落ちた場合は個別にこっそり帰るよう言われるらしい。配慮はありがたいがなんか怖い。第二段階の教習についてのガイダンスを受け、救護の講習を受ける日を予約して帰る。この日はまだ手もつけていない課題があと2つ残っている上に演習授業で発表しなくてはならないためかなりハードだ。その日に遂行しないといけないタスクが2つ以上あると機能不全に陥りやすい体質なため、もうこの時点でだいぶ神経がやられている。無事に一日を終えることができるのだろうか(加筆:なんとかなりました)。 

 

(次回、第二段階〜本免試験編へ続く)


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