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【考察】ジェターク社におけるラウダの立ち位置

前回ダリルバルデはラウダが製作主導したモビルスーツであると結論づけましたが、ではジェターク社においてのラウダの立ち位置は実際どうなのか、今回はそれを考察していきたいと思います。

※なお、この考察はあくまで私の考えであり、確定情報ではありませんので、この先設定が明らかにされて否定されても、私自身に責任は発生しないものとします。
当ページに載せているスクリーンショットは考察による説明の補足として引用しているものであり、三次利用はいかなる理由があろうとも禁止とします。

ダリルバルデ製作チームと深い信頼関係を構築している可能性


ダリルバルデのコンセプトなどは前回の記事を参照していただきたいのですが、もしこの通りであるとすると、ダリルバルデの製作開発チームは、
1.次世代の技術をしっかりと使いこなせる技術力がある
2.ヴィムに反抗できるぐらいの権力や誇りがある
3.でもラウダの要望は可能な限り通すし、やり方を合わせることもする
このような集団であるということになります。

まず技術力については、最新鋭のドローン技術に着目し、そのために最適化させたAIで運用するなど、高い技術力が保証されています。

着眼点が新しいので若い世代が中心となっている可能性もありますが、ジェターク社の次世代モビルスーツ開発という、かなり重要なプロジェクトなので、ディランザにも関わった熟練エンジニアも多数参加していることが予想されます。それを補強するように、絶対権力者であるCEOでも一筋縄ではいかないために、調整のためだけに新しくチームを編成しなければならなかった。それも軽薄な若い連中を(グエルの周りにいる二人以外は遠かったり背中を向けていますが、若い感じを受けます)。

しかしそんな熟練エンジニアで一癖も二癖もある彼らが、ラウダに対しては全面的に協力している。

コンセプトも機体の武装も、彼らのメイン課題であるドローンについてもラウダの意見が反映されている形跡がある。

熟練、ということは当然彼らはずっとそれでやってきたルールがあり、ディランザをメインに担当してきたとしたら装備をモリモリにして、機体自体もマッシブにする選択も当然視野にあったし、慣れているはずなんです。

旧型機であるデスルターも、実戦機であるディランザ・ソルも華美ではなくいぶし銀な塗装色をされていて、学生が乗るディランザも一般的にくすんだ水色という地味な色をしているのも、彼らの好みがド派手な朱色をしたダリルバルデとは真逆であることを示しています。

しかし、彼らはそれらを置いて、ダリルバルデのための新しいやり方を受け入れた。それは技術の発展のためには当然した方がいいことなんですが、これがまた難しい。
特にジェターク社は代々家族が継承する、悪く言えば古臭い財閥系の企業体系をしている可能性が高いので、なおさら新しいやり方というのは敬遠されやすい。

それが行われているということは、ラウダのやり方に合わせてもいいと彼らが判断するぐらい、そしてそのこだわりを叶えるために技術を使ってもいいと思えるぐらい、信頼関係を築いているという証左になるはずです。

ラウダはジェターク社においてヴィムに継ぐNo.2の地位にいる可能性


ラウダはグエルの夢を応援していたので、いつ頃からはわかりませんが、恐らくかなり早い段階から、グエルがジェターク社に残ることはなく、代わりに自分が残らなければならないことを知っていた。つまり元からジェターク社を実質的に継ぐことを覚悟していて、そのために活動をしている可能性が高いんです。

だからこそ、次世代機であるダリルバルデの開発を任され、プロスペラの足止めという、ガンダムという競合技術をつぶすために必要な対応を任されるだけの信頼を得ているのだと思います。

何をしたのかは詳しくはわかりませんが、恐らく「そこ(自分が用意した子会社)で俺の仕事を学べ」というグエルへのヴィムの発言や、もっと幼い段階で父の仕事を手伝っていたと仮定すると、社内の調整や父親の営業回りなどに同伴したりから始まり、プロスペラへの慣れた様子の対応から、他社との交渉をCEO代理としてこなしたり、技術部門はもちろん、営業部門や人事にも人脈を広げているのかもしれない。

そう考えると、ラウダは現在ジェターク社でもCEOであるヴィムに継ぐ地位を獲得している可能性があり、そしてその権力や勢力はヴィムを脅かすほどであった可能性もまたあるのです。

ヴィムはラウダとの直接対決を避けていた可能性


グエルに対して非常に高圧的で、すぐに暴力で黙らせようとしているので、子供には常に暴力で黙らせ反論は許さない態度なのかと思いきや、振り返ってみるとヴィムはラウダに対してはある一定の気遣いというか、グエルとは全く違った対応を見せています。

まず仕事を任せているという時点で対応が違うのですが、ダリルバルデ戦の前、裏工作をきちんと行ったかの確認のときの、「手は打ったか?」というセリフ、声の聞こえ方は人によって違うので置いておいて、この言葉回しからして一定の配慮を感じさせるのです。

高圧的な言い方をするのなら、「手は打ったのか?」や「手は打ったのだろうな?」とかになるはずで、「手は打ったか?」というのは多少ヴィムの方が立場が上であるという感じはあるものの、あくまで確認という意味合いが強い。「やってくれた?」という感じですね。

その前のラウダの「学生以外が決闘にかかわるのは」という苦言にも「社用だ」と端的に告げ、さらに「それより」と話題をずらし、それ以上のラウダの追及をかわしている。グエルのように「子どもの理屈だ」と切り捨ててもいいのに、きちんと理由を説明し、暗にこの話は終わりだと告げて話を変える。グエルへのものと比べるとかなり気を遣った対応をとっているんですよね。

しかもこの後、ラウダは「あんなことをしなくても兄さんは勝ちます」と、「子どもだ」と見られてもおかしくないロジックで最後まで反対する。それに対するヴィムのリアクションは描写されていませんが、頬を赤くした様子がないのでラウダは殴られてはいないと思われます。し、「見ぃろ~!俺の言うとおりにして正解だろ~!」とヴィムは上機嫌でラウダをちらちら見ているので、頬を殴ったり強く𠮟りつけた直後に息子にキャッキャッするのは正直サイコパスなので、「ふん」と流した程度な気がします。
このキャッキャッしているのも内容的に、「お父さんすごい!さすが!」と言われたい感じで、逆にラウダから認められたい、すごいと称賛してほしいという、普通のお父さん的マインドからのものな気がしますしね…。まぁ結果はこの通りですが。

7話のシャル・ウィ・ガンダム?でも、「そろそろだ。指示通りにな」と、まぁヴィムのような男だったらそういう言葉遣いだろうというような無難な言葉でラウダに指示を出している。特に高圧的な感じはありません。

このようにアニメ本編だけで見ても、ラウダに対しては比較的気を遣った対応をしているのです。

ここでさらに、「ダリルバルデはラウダが開発主導したモビルスーツ」という仮定を加えると、ヴィムはラウダに気を遣っているだけでなく、彼と正面衝突を避けている可能性が浮上するのです。

エアリアルとの戦闘で敗れたダリルバルデは、その後さっさと回収されてしまう。いずれ戻す予定なら、食い下がったであろうラウダが言及しないはずがないので、恐らく二人が在学中にダリルバルデが戻ることはない。これも少しおかしな話で、せっかくガンビットを装備したガンダムがいるのだから実戦データを取るために学園に残しておく選択肢もあるし、グエルが敗れたのなら調整を施す必要はあってもラウダに下げ渡して次の機会をうかがえばいい。

しかしヴィムは、そういった判断もせず、また間を置かずにダリルバルデを本社に回収させている。それはなぜかといえば、「調べられたら自分がグエルが操縦できないようにしていたことがラウダに知られてしまう」から。そして「知られてしまえばラウダは必ず敵に回る」と予想したから。だからそれより前に何としても回収して、証拠を隠滅しなければならなかった。と考えると筋が通ります。
そして機体を返しても、グエルとラウダが会話すればいずれそれが露見してしまう可能性が高い。それまでと変わらずに接するラウダに、グエルが苛立ってダリルバルデの裏工作を問いただすことは全くもってありえる未来なので、二人が齟齬についてちょっと話し合えばすぐに露呈したでしょう。だから機体を返すわけにもいかなかった。

ラウダがヴィムに反抗するのは決まってグエルが理由です。決闘委員会でも黙認される程度の工作でも、ラウダははっきりと父親に反抗しています。

結局従いはしましたが、本当にやるつもりだったのかも微妙だったんじゃないかと思います。というのも、廃熱処理が行われるのは何度かダリルバルデとエアリアルが戦ってからで、「手は打ったか?」という言葉にうなずいていることから、すでにフェルシーとペトラは配置についているはず。なのにタイミングがずれているのは、ある程度の熱が溜まってから反応した、という自然なタイミングを狙ったか、あるいはグエルの動きがおかしかったからやむを得ず行わなければならなかったか。そのどちらかの理由であると推測できます。

自然なタイミングを狙った可能性については、その後エランが「システムエラーを修復してから再戦するべき」と、廃熱処理のタイミングがおかしい旨を言われても一顧だにせず、むしろそれも実力のうちと肯定していることから、仮にもっと不自然なタイミングでも同様に黙認されている可能性が高い。
何より7話でプロスペラの足止めを命じられて、指示通りになと言われてはいるものの恐らく「父からの伝言です」だけで乗り切ろうとしていたところを見ると、ラウダは父親からの命令か、もしくは気の乗らないことには最低限の対応しかしない、そういうところもありそうな節があります。指示にないことをしたらヴィム怒りそうですしね。

そうなると今回はもう、めっちゃくちゃに嫌なことだし父親からの命令なので、そんなタイミングどうのこうのまで気を回すつもりは毛頭ない。という塩対応をしたはず。しかし実際はすぐに行っていない。つまりやるつもりはなかった可能性が浮上するのです。

それでも不正を行わなければならなかった理由は、グエルの動きが明らかにおかしかったからでしょう。
ラウダは社運のかかったダリルバルデ戦はもちろんのこと、恐らく格下相手な最初の決闘についてもいつもの定位置で観戦しているので、ほぼすべての戦いを見守ってきているはずです。(パイロットとしてのグエルを尊敬しているフェルシーとペトラが決闘を見ずに授業を受けていたので、授業も兄と同じものを選んで、スケジュールを合わせている可能性もある)

そんな彼のことなので、ヴィムのようにグエルの動きがわからず敵と思う、というようなこともなく、エアリアルの攻撃を避けるのではなく受けた時から(グエルは少なくとも盾で受けるつもりはなかったのは、その後の「こいつ…」というセリフから察せられます)、もしかしたら囮に引っかかって前に出た時から、「いつもの兄さんの動きじゃない」と気づいていた可能性がある。

ただAIが動かしている、と気づいたかは微妙で、もし気づいていたなら父親に詰め寄り、兄に指示を出してリンクを切らせるか、あるいは最初のスレッタのように乱入してプログラムを書き換えるぐらいのことはしそうなので、恐らくそこまでは見抜けなかった。
これはダリルバルデがそれまでとは全く違う、新しい第5世代モビルスーツであり、グエルもそこまで触れていないということも原因で、要するに「慣れていない」のだろうというところまでしかラウダは考えが至らなかったのでしょう(ラウダが開発者だとすると逆にまさかAIに小細工がされていると思わないところも含めて)。

そしてあの時のダリルバルデの動きも、遠距離武器がないのにエアリアルに距離を取らせる動きばかりで、ビーム兵器を封じなければもっと早くやられてしまっていた可能性が高い。
だからラウダは廃熱処理を行うしかなかった。兄を救うためにはそれしかできることがなかった。いや、今回は救うことができる手段があってしまったと言うべきか。

…それがために兄弟間の仲がこじれるので、ヴィムてめぇこのやろ~と罵倒が口からまろび出ますが、それは今回関係ないので置いておいて。
このように、ラウダがヴィムの言うことを聞かなくなるのはグエルをないがしろにしたりすることが原因で、今回が初めてでもないでしょうから、もしグエルを木偶人形にしてダリルバルデを勝手に動かしていたことが知られたら、烈火のごとく怒り狂うだろうということはヴィムもよくわかっていたと思うのです。ラウダだけなら息子なのでまだしも、かわいいダリルバルデを下手くそどもが弄り回し(1アウト)コンセプトとまったく合わない戦い方をさせて(2アウト)負けさせた(3アウト)というオマケつきなので、ラウダの側についているジェターク社を支える職人たちも一緒になって立ち上がることは間違いなく、そうなるとジェターク社の根幹の人材が一斉に離反することになり、さすがのヴィムも勝てない可能性があるんですよね。

ヴィムが主に使っている人材は、部下もSPもイエスマンばかりなので、こういう有事の時に役に立つかと言われれば恐らく役に立たない(そもそもプロスペラの足止め役をラウダにやらせてたってことはこの部下も無能なんじゃ…)。つまりヴィムが直接相手をしなければならない。権力に物を言わせて戦っても、ボイコットされればモビルスーツ製造自体が危うくなり、そのうち自分の陣営がラウダ側に何割かついてしまう可能性もあり、そうなったら人数自体が逆転されてしまうかもしれない。つまりCEO解任までいくかもしれない。

それを避けるためには、ラウダとの全面的な衝突を避けなければならない、とこういうわけですね。だからラウダのいないところでグエルを殴るし、ダリルバルデのAIについては絶対に触らせないし、グエルを子会社に入れるのもラウダを間に挟まない。姑息だぜ、ヴィム・ジェターク!

次期CEOはジェターク社の宝


さて、上記のようにラウダはジェターク社においてもNo.2に近い位置にあり、実力も実績もある人々に慕われ、あるいは可愛がられているとして、それはラウダがヴィムの息子だからではなく、ラウダが自分で勝ち取った努力の結果であるのだと私は思います。

ラウダが腹違いということでジェターク家でどういうポジションだったのかは、これまた基本的に兄にも父にもないがしろにされていないし、ラウダ自身も周りも特に気にしている様子がなく、推測情報すら見えないので置いておくとしても、ただヴィムの息子であるという価値だけでは、これだけの人々に信頼されるには至らないはずなのです。

ヴィムが古い人間なら、ジェターク社の中堅から上の社員も古い人間。ヴィムにも気に入らなければ反抗するような激しい一本気の通った昔気質の職人たちが、ただ息子であるというだけでラウダを気に入ることはないでしょう。
むしろ、ラウダは同じ兄弟であるグエルと比べて線が細く顔立ちも女性的なので、相応に舐められたはずです。ヴィムがマッチョイムズなので特に。こんなナヨナヨしたのがCEOの息子かよと。

グエルがちっちゃいけど公式ホームページ時点で小さめ調整されてるので…
それでもほぼ横幅が変わらなそうなラウダ細い…

しかし今ではラウダは次期モビルスーツの開発に深く関われるほど彼らから信頼されています。それはひとえに彼がひたむきに努力したからでしょう。
彼の夢はドミニコス隊でエースパイロットとなった兄が乗る機体を開発すること。そして我欲を通しながらジェターク社のためも考えている。「社用」と言われて、それ以上ヴィムが関わることに文句を言わなかったり、プロスペラ相手に表情を作る程度には父親の命令を遂行しようとしているのがその証拠です。何よりジェターク社についても考えていなければ、部下がここまでついて来てくれる訳もないので、グエルやヴィムに負けないぐらいラウダも愛社精神が強いのだと思います。

そして、信頼されているだけではなく、ラウダはそんな職人たちから相応に可愛がられているのだろうなというのが、色から武装からグエル好みのダリルバルデを見ると察せられます。

前回の記事で、ダリルバルデがいかにグエルを想定パイロットとして製造されているのかということは考察しましたのでご参照いただきたいのですが、これがラウダからの発案じゃないとするとジェターク社内部にグエルファンクラブみたいなのができていることになるので、さすがにそんなことにはなってないだろうと信じたいのでその可能性には目をつむると、今度は逆にラウダに対してはちゃめちゃに甘いことになるんですよね。

何しろほぼほぼラウダの意見が通っていることになるし、グエルが想定パイロットなんだろうなというのは熟練エンジニアである彼らにはバレバレでしょうし、実際ラウダもグエルに本当に合った機体を造りたいからと特に隠さなそうですし、想定競合はグラスレー社のガンダム特化型というのも念頭に開発していたとすると、ドミニコス隊にグエルが行くのか…というのもバレバレだった可能性が高いです(さすがにヴィムに勘づかれたら潰されるので、はっきりとは言わなかったと思います)。
さらに商品開発というのは顧客の意見や、顧客に受けなければお話にならないので、マーケティング部や営業部も噛んでいる可能性が高い。こんなグエルナイズされたものをお出しされて、普通なら「どう売れってんだ!」となりそうですが、「ガンダムへのアンチアピールを激烈にしてドローンに着目させ、近接武装だけだってのをカバーして、性能面においてはひたすら意思拡張AIとドローンのコンビネーションを売りにしていこう」という、むしろ営業もマーケティングもエンジニアも、綿密に打ち合わせをして売り文句を考えているような気がします。プラモデルの説明書に書かれている記述が、社外向け資料と仮定すると、ですが。

こうして考えると、エンジニアはもちろん、そこと本来は反目する(顧客要望と技術的課題はミスマッチするものなので)立場である営業も、ラウダにかなりというか全面的に協力している可能性が浮上してくるので、むしろ本社でファンクラブができているのはラウダに対してなのかもしれない…。いや、二期で全然ラウダが孤立していたら泣き叫びますが、ラウダ個人の性格に着目すると、こうやって可愛がって要望を聞いて甘やかしているというのは納得もいくのです。が…それは次回の記事で…。

まとめ


ラウダはジェターク社において、ヴィムに継ぐNo.2に近い地位にあり、会社の中堅から上の層の支持を集めていてヴィムも滅多に怒らせられない、そのぐらい深く重要な立場にあると、私は考察しました。

2期からはラウダが実際にジェターク社においてどういうポジションなのかというのにもスポットが当たるかもしれないので、非常に楽しみですね。

次回はそんなラウダの性格とは実際どうなのか、なるべくグエルを絡めずに考察していきたいと思います。グエルとのものは次々回を予定。

※なお、この考察はあくまで私の考えであり、確定情報ではありませんので、この先設定が明らかにされて否定されても、私自身に責任は発生しないものとします。
当ページに載せているスクリーンショットは考察による説明の補足として引用しているものであり、三次利用はいかなる理由があろうとも禁止とします。