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【自家製サッカー概論】50 「足を振りぬく」ということ

 ワールドクラス。
 最近、Jリーグであまり聞かれなくなった言葉だと思う。
 
 それは、Jリーグのレベル低下ではなく、そんなプレーが頻繁に出てくる様になったから、だと信じたいなぁ……。
 
 ワールドクラスのプレーが増えた。
 それを証明する様に、トンデモないプレーが飛び出した。
 
 J1第13節、横浜FM対新潟、後半22分、新潟・三戸舜介選手の豪快ミドルシュートである。
 
 後半22分、横浜FM陣地でボールを奪うと、ボールは三戸選手の足元へ。
 そこからドリブルで持ち込む三戸選手。
 
 持ち込んだ位置は、ボックスの外、やや右側。
 ゴールまでは25mくらいはあるかと思われるところだった。
 
 横浜守備陣は、態勢を落ち着かせようと一瞬足が止まっていた。
 
 その瞬間、足を振りぬいた三戸選手。ボールは豪快にネットに突き刺さった。
 
 スポーツ報知の記事によると、この試合には森保一代表監督も視察に訪れており、本人からこうコメントがあった。
 
 「試合を見て『おお』ってなることはあまりありませんが、シュート自体はすごかった。興奮しました」
 
 さらに…、
 
 「日本人でもああいうシュートを打てる選手たちがいるんだなと。Jリーグの歴史の中で間違いなくレベルアップしているなっていうプレーを見させてもらった」
 
 凄い賛辞だと思う。
 
 三戸選手本人は、いつも松橋監督に「思い切って振りぬいていけ」と言われていたという。
 
 この「振りぬく」は、日本サッカーをレベルアップさせるキーワードだと思う。
 
 サッカーの理屈としては、次の様なことが言えると思う。
 「ゴールに近い所にボールを送り、ゴールに近い所でシュートを放つ方が得点になりやすい」
 
 だが当然のごとく、「ゴール前に近づくにつれて、シュートを放つ機会が減る」のである。
 
 そこで、ミドルシュート、ロングシュートである。
 
 その理屈は次の様になるだろう。
 「ゴール前から離れれば離れるほど、『思い切り(気持ち良く)振りぬく』チャンスは多くなる」
 
 こういうことである。
 
 そして、選手に言いたいのは、「思い切り(気持ち良く)振りぬくのだから、決めてくれよ」ということである。
 
 決めるためには…、「練習(準備)あるのみ」である。
 
 これはJリーグに限らず、少年サッカーでも当てはまることだと思う。
 
 思い切って振りぬいて強いシュートを打つ。しかもそれが、気持ち良い! 
 こうなれば、意欲を持って狙っていけるのではないか。
 (ただし、決めきるためには練習が必要ですよ、ということ…)
 
 Jリーグでのミドルシュート、ロングシュートの得点は増えていると思う。
 だが、世界と伍するため、もっと増やす必要があると思う。
 
 ゴール前にボールを運んでいくのが戦術なら、遠くから「思い切り振りぬく」のは個人の力だろう。
 
 世界に示せる「個人の力」、それが「思い切り振りぬく」だと思う。
 もっと、こうしたシーンが増えることを期待したい。

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