【自家製サッカー概論】63 なでしこジャパンの振り返り
話題に遅れてしまったが、なでしこジャパンの個人的な振り返りを。
準々決勝でスウェーデンと対戦し、結果は1-2で敗戦。
なでしこジャパンの世界一へのチャレンジはベスト8で潰えた訳である。
スウェーデンはFIFAランク3位で、日本より上位となる。
その相手に最後の最後まで追い詰めたのは評価したいと思う。
得点場面を振り返ると先制点はスウェーデンのセットプレーからだった。
日本が大きくクリア出来ず、混戦となったところを押し込まれた。
逆に、日本の得点は植木理子選手の強引なシュートに相手DFがこぼし、それを林穂之香選手が押し込んだものだ。
何が言いたいかというと、「ゴール前の人数は攻撃の迫力になる」ということ。
林選手はボランチの選手だが、あの場面ではゴール前に現れた。
そこでこぼれ球にいち早く反応した。
逆にスウェーデンはセットプレーだったので、ゴール前に選手を揃えることが出来た。
そこで得点機となったのである。
さらに言えば、「得点を獲りたい!」、「点を獲らなければならない!」となれば、選手は自然とゴール前に入って行くのでは、ということである。
多くの人は、「攻撃や得点のために、『しっかりした戦術』が必要だ」。
そう考える。
だが、こちらは以前から「ゴールを欲する選手の『点を獲りたい』という気持ちがゴール前に走らせる」と主張してきた。
単純な図式では、リードを許したチームが後半に怒涛の攻撃を見せることがある。
あれは、戦術的に攻撃に人数を割いたというのもあるが、それ以上に「点が欲しい」と選手が攻撃に出た結果だと思うのである。
その点で、なでしこジャパンはもっとリスクを負って攻撃に出てもいいと思う。
これはWEリーグの成長にもつながると思う。
点を獲りに行こうと、多くの選手がゴールに向かって駆け出していく。
そんな場面が増えれば、観ている人にも伝わると思う。
「点を獲りたい」という思いは、コメントなんかに残すものではなく、プレーによって見せるものだ。
今後の女子サッカーの攻撃姿勢に期待したいと思う。
さて、もう一つは「球際」である。
サッカーは「ボールを取ったり取られたり」のスポーツである。
この球際で強さを出し、「ボールを取ったり取られたり」で優位に立てれば、そのままゲームを優位に進めることが出来る。
この球際で、ノルウェー戦とスウェーデン戦を比較すると、明らかに後者の方で苦戦を強いられていた。
ボールを奪うところ、ボールをキープするところ。
そこで、苦戦していたのである。
世界と戦う為に、ここは強化する必要があると思う。
今年5月に行われたU-20ワールドカップを思い返しても似たような感じではないか。
日本代表は先制するも、相手の攻勢に防戦となった。
守るのは悪いことではない。だが、そこから攻撃に出られないのは問題だろう。
逆に、カタールワールドカップのスペイン戦では後半、点と獲りに行こうと、ボールを積極的に奪いに行った。
守備から攻撃に転じる。
この部分で日本はまだ弱さがあるのではないか。
そのために、球際の強化は急務になると思う。
ボールを奪う、ボールを奪われずにキープする。
戦術論ではなく、個人の強化に目を向けるべきではないか。
そして、それをWEリーグで行える様に持っていくべきではないか。
女子サッカーの関係者は、この点でもっと議論を深めるべきだと思う。
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