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【2021最新】FDM3Dプリンターで金属造形まとめ

FDM3Dプリンターと言ったら、ABSやPLAなどの樹脂材料を手軽に造形できるとして最も普及している造形方式です。
高温で樹脂材料を溶かし、積層する事で、形状を1層1層作り上げていきます。

このFDM方式の3Dプリンターでは、今まで金属材料を造形する事はできませんでした。
それが最近の開発によって、金属材料も使える様になりました。
これはすごい技術進歩です。

今まで大規模な鋳造設備や切削設備を、高コストで導入しなければ作り得なかった金属部品が、自宅で手軽に造形できるようになります。
金属材料が造形できれば、より実用性の高い製品を作ることが可能です。

今回の記事では、そんなFDM方式3Dプリンターでの金属材料造形について最新の情報をまとめました。


どうして今まで金属造形はできなかったの?

どうして今まではFDM方式での金属材料の造形ができなかったのでしょう。
まずはそこから掘り下げていきます。

FDM方式では、基本的に加熱はホットエンド内のセラミックPTCヒーターにて行っています。
また、セラミックPTCヒーターの熱を効率良く樹脂に伝えるために、ホットエンドはアルミニウムでできている3Dプリンターが多いです。
PTCヒーターは今のところ、最高加熱温度は500℃程です。

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500℃という温度は、普段の生活からすると高温に感じますが、金属を溶かすには非力すぎる温度です。
500℃以下で溶かせる金属といえば、錫や鉛、ビスマス等の他に、一部の合金のみです。

500℃以下の融点を持つ金属
 ・錫:231.9℃
 ・鉛:237.4℃
 ・ビスマス:271.3℃
 ・はんだ:210℃

錫や鉛で形状が作れたとしても、柔らかく実用に足る性能はありません。
実用に足る金属の融点としては、アルミニウム合金は530℃~660℃、銅は1087℃、鋳鉄で1200℃もの温度が必要です。

金属を溶かして積層するには、500℃ほどでしか加熱できないセラミックPTCヒーターは非力すぎるのです。


また、ホットエンドの材質として使われているアルミニウム合金にも問題があります。
先ほども出てきましたが、アルミニウムの融点は530℃~660℃ほどです。
これは金属の中では、比較的融点が低い部類です。
融点の低いアルミニウムがホットエンドに使用されている理由は、高い熱伝導性を持っているからです。
セラミックPTCヒーターからの熱を、アルミニウムが樹脂材料に上手に伝えてくれます。

これを、樹脂材料ではなく、金属材料を溶かして積層する3Dプリンターを作るとすると、金属材料よりも先にアルミニウム部品が溶けてしまいます。
アルミニウムよりも融点と熱伝導率の高い金属材料というと、とても限られます。

融点と熱伝導率の高い金属  融点(℃) / 熱伝導率(W/m K)
 ・金:1064.4(℃) / 320(W/m K)
 ・銀:961.9(℃) / 420(W/m K)
 ・銅:1084.5(℃) / 398(W/m K)
 ・アルミニウム:660(℃) / 236(W/m K)
 ・鉄:1536(℃) / 90.9(W/m K)

表の中で、アルミニウムよりも融点と熱伝導率が両方高い金属は、しかありません。
言うまでもなく、金と銀は貴重で高価なので、なかなか部品に使うことはできそうにありません。
銅であれば、安価で手に入りやすい材料ですが、柔らかい金属なので部品が破損する可能性が高まります。
なかなかアルミニウムに代わる良い素材というのがないのが現状です。


セラミックPTCヒーターの限界加熱温度アルミニウム合金の融点の二つの理由から、FDM方式での金属造形というのは、今までできませんでした。


金属フィラメントの登場

金属フィラメントが登場し、今までできなかったFDM方式での金属造形ができるようになりました。

金属フィラメントは金属粉末を熱可塑性樹脂に混ぜ合わせたFDM方式3Dプリンター用フィラメント材料です。

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