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一人芝居台本

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#小説

【芝居台本③】昔も、今もアイシテイナイあなたへ。

【芝居台本③】昔も、今もアイシテイナイあなたへ。

カーテンからちらちら見え隠れする月明かりが眩しい。

あなたの額から、体全体から流れ落ちた汗が私の頬に、胸にぽつりぽつりと落ちてくる。

いつの間にか寝てしまっていたようだ。

好き、とか。

好きじゃない、とか。

あなただけ、とか。

わたしだけ、とか。

そんなちっぽけなことで傷つけたし、傷ついたふりもした。

もう随分前から外れなくなってしまった指輪を月明かりに照らしてみる。

違う男との

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【芝居台本①】キラキラした世界に憧れる眠り姫



この世の中の朝というものは、とても気持ちが良くって、

カーテンの隙間からキラキラ輝く眩しい光は

自分が住んでいる世界とは別物かのように美しい。

学校へ行くこどもたちの声や、ゴミ収集車の音、
毎朝早起きの鳥たちのさえずりが遠くで聞こえる。

またこの世界の一日が始まるようだ。

昼過ぎに目が冷めて、寒さに負けて、また眠りにつく。

そして夕方目が冷める。

なんだかもったいない時間を過ごし

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【芝居台本②】あんたに、わたしの何が分かるってんだい。

最近傷ついたことがあるのだ。

それは、「キミは無理をしている。見ていて疲れる」という言葉をかけられたというもの。

わたしはお調子者で、常に人を笑わすようなコトをしてしまうのだけれど、それがわたしが無理くりやっているように見えるのだとか、、

しかし、私はもちろん無理をしているわけでもなく、

嫌々やっているのではなく、

むしろこれが「わたし」なので、もはやわたし自身を否定されたようなものだ。

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