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今週のメキシコホラー 『魔女の鏡』

今週もやってまいりました、土曜の朝のメキシコホラーの時間。

私の登録してたチャンネルが消されたため、本当は観たかった作品が観られなかったが、適当に検索したらこれにぶつかった。魔女の鏡という意味の、El espejo de la bruxa。

お屋敷の使用人であるサラは魔女。魔法の鏡でもってお屋敷の奥方エレナに未来を見せると、なんと、夫エドゥアルドがエレナをサツガイしているではないかッ!夫は別の女デボラに心を奪われていたのだった。恐慌に襲われるエレナと、何とか命を救えないかとサタンに願掛けするサラ。しかしサタンは運命は変えられない、と拒否。結局エレナはまんまとサツガイされる。

ここまでの展開が冒頭わずか10分位で起きる。怖いというより笑えてくるのだ…サラは明らかにエレナだけの味方で、ほとんどアタシ『レベッカ』のダンバース夫人状態。サラがエレナを好き過ぎて…

もはや本家より好きな、韓国ミュージカル版のダンバース夫人!レべぇェェッカァァァああ♪

サラは魔術でエレナの魂に復讐の機会を与える。そしてエドゥアルドと、その新しい妻デボラに降りかかる災厄の数々。デボラはエレナの死の原因を知らなかったようなんだけど、もし知らなかったならとんでもないとばっちり。エレナの手によって一番残酷に罰せられてしまう。エドゥアルドだけを破滅させるとはいかないのが、女幽霊復讐ものの定番。このメキシコの幽霊譚にも、『ゴーストランド 幽霊のいるアメリカ史』が指摘するような意味での集合的な罪悪感ってのは読めない。

ジェンダーや階層の問題として怪異を捉え、怪異の存在に復讐の意味を持たせるのは、一つの視点を選ぶことに過ぎないのだということを改めて考える。グアテマラ映画『ラ・ヨローナ』はその意味では新しい方の描き方であるし、アメリカ版の『ラ・ヨローナ』は、むしろ古典的な枠組みなのだと思う。モンスターに人間の正義を読み込むかどうか、という問題だ。

本作がコミカルに感じられるのは、サタンがやけに饒舌なためだ。怖いっちゃあ怖いんだろうけど、サタンが話せば話すほど、サタンでも何か逆らえないこの世の理があるらしく見える。サラ役の人も楽しそう。私もふくろうとか黒猫に変身したいわよっ!!!何ならサラの娘さん時代を演じたいわよッ!!!自分の力に喜びながらも恐れおののく演技がしたいッ!!!!!

ごめんなさい、最後に私の中のデモンズが出てきたわ…最近好きなの…

さあ皆も一緒に

デモンズ!デモンズ!

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