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竹美のホラー映画論

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ホラー映画について考えたこと、またそれに関連する作品の評をまとめました。
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#映画感想文

竹美映画評98 加害性と悲劇性が交差する 『スケアリー・アパートメント』(”Malasa…

本当に映画を観る体力すら落ちて来ている気がする。ものすごく暑い。 とは言えなんか見ようと…

ホラー映画から見る現代社会④ 身体から脱走するSF、身体が追って来るホラー

昨今、同性カップルの子育てというトピックが日本でも目に入るようになってきた。 私は、自分…

ホラー映画から見る現代社会③ 弱者は「外」を恐れ「内」に籠る

ホラー映画で私がとても気に入っている部分は『隠しておきたいほど恐れている秘密』とその暴露…

竹美映画評97 サブコンテクストも美味。インドホラーの新しい傑作 ”Bramayugam”(…

そのうちマジで『ホラー映画で巡るインドの旅』という本を書きたいという企画を持っている。需…

竹美映画評96 韓国女幽霊映画と『エクソシスト』のマリアージュ 『너 또한 별이 되…

(ま、写真は月なんですけども…) 前回紹介した韓国映像資料院の2009年の季刊誌から見つけた…

ホラー映画から見る現代社会① 悪魔が吐かせようとしている本音

昨年、「ソーシャルスリラーとホラー映画から見る現代社会」という連載をしてみたが、今度は、…

竹美映画評93 そっとしておいてくれる妖怪譚 『すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』(2021年、日本)

最近、『すみっコぐらし』の最新映画が上映中で、内容はブラック企業を描いたホラー的な作品と聞いた。急にすみっコに会いたくなり、『すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』を観た。 前作に劣らず、いい作品だった。 あらすじ すみっコの街には、五年に一度の青い満月の夜に魔法使いがやってきて、夢を叶えてくれるという伝説がある。すみっコたちは青い月夜の夜、伝説のとおりに魔法使いたちと楽しいひと時を過ごすが、一番若い魔法使いのファイブがすみっコの街に取り残されてしまった!とかげはファイ

竹美映画評91 悪魔と神がアメリカを再生させる 『The Exorcist: Believer』(2023年…

映画は、異文化や相容れない人々の世界を覗き込み空想するための窓である。 宗教保守主義と自…

サム・スミスと悪魔映画の楽しみ方

日本では公開されてからラッセル・クロウの新しい当たり役としてファンの間で話題になっている…

竹美映画評86 ヒステリーを起こしかけているアメリカ? 『フォーエバー・パージ』(…

今やホラー・スリラー映画のヒットメーカーであるブラムハウス社がライフワークのごとく続けて…

家族ホラー2作品

『ホール・イン・ザ・グラウンド』と『The boogeyman』を続けて観た素敵な土曜日。ららら。本…

プロパガンダ映画とホラー映画の曖昧な境界

インドの状況を色々と考えていくうちに、私の中でも考え方がぐるぐると変わっていくのを感じる…

竹美映画評80 『Punnami Naagu(పున్నమి నాగు=満月のナーグ)』(1980年…

いつになったら読み終わるのか分からない本Mithuraj Dhusiyaの『Indian Horror Cinema』(2018…

竹美映画評68 機械仕掛けのビッチはアメリカをぶった切るか?『M3GAN』(2023年、アメリカ)

ブラムハウス・プロダクション社は、『ゲット・アウト』に代表される所謂ソーシャルスリラー作品群により頭一つ飛び抜けたホラー製作会社として浮上した。同社は人気のホラークリエイターとコラボし、コントロールを利かせながら、一方では彼らの好きにさせる作品群、もう一方ではブラムハウス印のマーケティング戦略のための作品群を作らせているように思われる。 ポリティカルコレクト時代のホラーは、意外…とももはや言えないのだが、古典的ホラーの図式に則って物語が展開する。モンスターは必ず排除されなけ