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【読書メモ】岳飛伝 2 飛流の章

岳飛伝第2巻を読了しまたので、印象に残った部分をまとめておきます。


概要

生き残った梁山泊の人たちは新たな梁山泊の姿を模索しながら、戦や交易といったそれぞれの役割をこなす日々を続けています。それぞれの想いを議論しながら新体制を構築して行く一方で、金軍との戦が始まり、徐々に物語は進展していく展開となります。

感想

第二巻ではそれぞれの想いをぶつけ合いながら、新たな梁山泊の形を見つけて行く部分が印象的でした。

志とは何か?

本書の中盤では梁山泊の面々が議論し尽くす場面が描かれます。年代や立場を問わず、これだけ議論することは現実には難しく、「心理的安全性」が確保された組織を構築できていたんだなと感じた。
この場面の後に志を見つけようとする宣凱に対して、母は言う「立派に生きられたから、志をもつことができたのです。志が、先にあるのではありません」。つまり、今をきちんと生きていれば志は見えてくると。
現実の世界でも若い時にミッションやビジョンを腹落ちすることはできなかったが、仕事経験を積むうちに次第に納得感が生まれていったので、共感できる場面であった。若い梁山泊の面々がどのように志を見つけて行くかをもうしばらく追っていきたい。

組織化して動く

「水滸伝」や「楊令伝」の時はベンチャー企業が大きくなっていき、ミッションに共感した人たちがそれぞれ意思を持って、能動的に動く世界観であった。本書の中盤では、「軍の頭領、水軍の頭領」という言葉が出てくるが、縦割り組織としての大企業ができて行く様を見ているようであった。ピラミッド型組織のメリット/デメリットは両側面である。
関係してきそうな部分で言うと、
 メリット:役割と責任の明確化、効率的なマネジメント
 デメリット:情報伝達の遅延、従業員の自律性低下
があげられる。これがどのように物語に寄与していくか、といった視点でも読み進めていきたい。

旅は人を育てる

本書では、さまざまな人が各地を訪れる場面が描かれている。旅の中では、現地でしかわからないこと、人との出会い、さまざまな困難に出会っている。このような経験はやはり人を育てると思う。
特に一人旅をすると自分でやるしかない状況に置かれる。初めての方にいきなり海外は難しいかもしれないが、機会があればぜひチャレンジしてみてほしい。

気になる地名:淮水(淮河)

物語にたびたび登場する淮水について調べてみました。中国はとても広いので、いろいろな地名が出てきますが、ぜひ一度訪れてみたいです。

地理的特徴
淮水は中国の主要な河川の一つで、以下の特徴があります:全長は約1,100kmに及びます。
河南省南端に源を発し、東流して大運河、黄海、長江に分流します。
流域面積は174,000平方キロメートルに及びます。

歴史的・文化的重要性
淮水は中国の地理的・文化的境界線として重要な役割を果たしてきました:秦嶺山脈と淮水を結ぶ線(秦嶺・淮水線)は、中国を風土的に南北に分ける境界線とされています。
歴史的に南北朝時代や南宋時代には、この線が国境として機能しました

コトバンク

こんな人におすすめ

  • 北方謙三好きの方

  • 中国の歴史物が好きな方


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