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「小中学校の断熱化について」2024年2月議会 文教委員会 議案外質問議事録

○竹腰連
学校の断熱化について伺っていきたいと思います。
今、学校の断熱改修の必要性が叫ばれているかと思います。公立小中学校のほとんどの校舎は無断熱で、夏は暑く冬は芯まで冷えるのが当たり前と聞いています。エアコンをつけても、物価高騰の影響から光熱費がかなり増え、適温にならないため、子供たちの健康や学習への悪影響に加え、自治体の財政負担にも寄与しているということを伺っています。
また、断熱改修は子供たちの健康や快適性向上及び電気代の削減だけでなく、温室効果ガスの削減にもなります。
本市でも環境基本計画を改定し、CO2の削減目標を大幅に引き上げています。今こそ断熱化を進めるべきだという考えで質問をさせていただきたいと思います。

(1)市内小中学校の教室及び体育館等の断熱化の現状について

○竹腰連
文科省の4月の通知では「熱中症は屋内の授業中も発生している〜中略〜空調、建物の 断熱、気密性の向上、必要な換気を組み合わせていくことが必要だ」というふうに出されていますが、初めに市教委としてのこの断熱化についての必要性についての認識はどのようになっているのか伺います。

○管理部長
令和5年4月28日付文部科学省通知、学校教育活動等における熱中症事故の防止についての中で「熱中症の予防策の一つとして室内環境の向上を図る上では空調、建物の断熱、気密性の向上、必要な換気を組み合わせることが有効であり、施設設備の状況に応じて日差しを遮る日よけの活用、風通しをよくするなどの工夫をすること」と示されております。教育委員会といたしましても、こうした取組は熱中症予防に有効であると認識しております。

○竹腰連
必要性は認識されているということで、よかったなと思います。具体的な数字も幾つか伺っていきたいと思います。 初めに、小中学校における断熱の数字について確認させていただきたいと思います。
1つ目が、小中学校の断熱化率です。これは、現在使用している教室に対して何%程度進んでいるのか。
2つ目が、市内小中学校の体育館の断熱化率は、これはどの程度進んでいるのかということです。
3つ目が、避難所になっている体育館での断熱化ができていない体育館は何か所あるのか、それぞれ伺いたいと思います。

○管理部長
教室数での集計は行っておりませんので、学校数での集計となりますが、小中学校合わせて162校のうち、小学校10校、中学校2校でリフレッシュ工事を実施しております。改修工事では、主に既存校舎の屋上に断熱を施しております。改築工事は、省エネ性向上のため床、壁、屋上に断熱材を施しております。
次に、体育館の断熱化率についてでございますが、こちらも学校数での集計となりますが、小中学校合わせて162校のうち、小学校10校、中学校2校でリフレッシュ工事を実施しておりますので、原則体育館の屋根に高反射の遮熱塗料を塗ることで断熱対策を行っております。
次に、避難所になっております体育館で断熱化していない箇所の数ということでございますが、避難所になっている学校は小中学校合わせて161校です。
そのうち小学校10校、中学校 2校のリフレッシュ工事において体育館の断熱化を図っております。
その他の体育館の断熱については正確なところ把握しておりませんが、リフレッシュ工事施工前の体育館は全部で149か所ということになります。

○竹腰連
断熱化があまりに進んでおらず、ちょっと驚いてしまいました。 今、確認した数字というのは、全ての学校と体育館というのを単一の条件で算定したものだと思うんですが、断熱化の必要性は多分それぞれの教室の条件などを比較しないと優先順位というのはつけづらいと思います。そのための実態調査のようなものは、市教育委員会として今行っているのかどうかというのも伺いたいと思います。

○管理部長
実態調査ということでございますが、各教室の温度設定については、温度測定につきましては、学校環境衛生基準に基づいて測定はしております。
検査方法は、毎学年2回、学校の授業中などに各階1室以上の教室を選び、測定をしております。測定時期は7月から9月、それから1月から2月を目安として実施をしているところでございます。

○竹腰連
その調査の数字が出たとして、どのように生かしていくんでしょうか。

○管理部長
こちらの調査の目的でございますが、児童生徒などの健康の促進、保持促進、それから学習効率の向上を図る目で行っておりますが、これを現時点で断熱化に向けて何か実施するという予定は現在のところはございません。

○竹腰連
断熱の必要性が叫ばれる根拠としては、今言ったような数字以外にも様々な数字が用いられています。例えば、無断熱の学校ではエアコンの効きが悪くなり電気代がかさむと。冒頭にも言いましたけれども、そういうことが各地で報告をされています。
断熱に詳しい東京大学の前准教授によると、さいたま市の小学校で天井の温度を測定したところ42度あって、エアコンをフル稼働したとしても教室内の温度は30度から35度までしか下がらなかったということが報告をされております。
物価高騰の影響ももちろんあると思いますが、エアコンの効きによって電気代が大きくかさむ ということも考えられるので、過去3年間の電気代の推移は一体今どのようになっているのかということを伺いたいと思います。
もう一つですが、日本スポーツ振興センターによると、熱中症の発生は体育的部活動や保健体育の教科中など、基本的には運動関係が全体では多いものの、総合的な学習、つまり屋内での授業中でもが増えているということが報告をされています。
そこで伺いますが、過去3年間における熱中症の人数とその内訳、具体的には屋外活動での発症と、屋内での活動中での発症数の推移、対比をさせていただきたいと思いますが、それはどうなっているのかということを伺いたいと思います。

○管理部長
過去3年間の小中学校の電気代の推移についてでございますが、令和2年度を申し上げますと、使用量につきましては3,378キロワットアワーで、電気料金は約6億3,200万円。令和3年度の使用量につきましては約3,286万キロワットアワー、電気料金につきましては約7億2,500万円でございます。令和4年度でございますが、使用量が約3,233万キロワットアワーで、電気料金は約15億1,100万円でございます。
ちなみに、市内の小中学校の電力の使用量につきましては、学級数が毎年増加している中ではございますが、節電の取組、例えば照明器具のLED化によって減少はしているところでございます。
一方で、電気料金でございますが、燃料費の高騰の影響などを受ける形でございまして、電気料金については大幅に増えていると、こういった状況でございます。
続いて、熱中症の人数でございますが、その人数と内訳でございます。令和3年度からでございますが、屋外の活動中に熱中症となった、診断された件数は8件、それから屋内の活動中に熱中症と診断された件数は2件。令和4年度でございます、屋外の活動 中については9件、屋内の活動中は1件。令和5年度でございますが、屋外の活動中では12件、 屋内では4件ということになっております。

○竹腰連
電気料金の上げ幅がすごく多くて、驚きました。それだけ物価高騰が影響していると思うんですが、やはりLED化等の省エネ対策ももちろん必要ですけれども、この断熱化によるこの電気そのものを減らしていくということも、やっぱり重要なのかなと改めて思っております。
同時に、今、熱中症の人数を教えていただきましたが、この内、屋内の活動で熱中症になった方、令和3年が2人、令和4年が1人、令和5年が4人ということなんですけれども、具体的にはどういった 活動中に熱中症に屋内でなられたのかというのは分かりますでしょうか。

○管理部長
令和4年度の屋内での活動中の熱中症の1件につきましては、体育館での活動中のものでございます。令和5年度の屋内での活動につきましては、これも体育館での熱中症と、それから多目的ホールでの活動中での熱中症、それから教室内での熱中症でございます。


○竹腰連
基本的には、この体育館で活動中というのは、何か運動をしていたということでよろしいんですか。それとも体育館に含まれるということですか。

○管理部長
そのとおりでございます。

○竹腰連
分かりました。でも、少なくともその多目的室と教室でも熱中症が出ているということは、やっぱり重要なことだと思います。
次に行きます。今後の取組についてなんですけれども、今後どういうふうに、さいたま市が取り組んでいくかということも確認させていただきたいと思います。
省エネ法が改正をされまして、2025年から全ての新築住宅、そして非住宅に断熱化が義務化されるかと思います。当然これから建設される小中学校においても、これは断熱化が必要になってくると思いますが、そうした日程、予定はあるかどうかということと、併せて今、既存の学校はどう対応していくのかということも伺っていきたいと思います。
そして、今後学校施設においての断熱化をどう取り組んでいきたいと、いくのかということを、 市教委としての認識、その点を確認させていただきたいと思います。

○管理部長
既存校舎の断熱対策につきましては、現在リフレッシュ工事の中で屋上に断熱工事を実施しておりますが、これによりまして最上階の教室に断熱効果が期待できるものと考えております。 今後も引き続き、熱中症予防策、それから省エネの観点からリフレッシュ工事の機会を捉えて対応してまいりたいと考えております。 失礼しました。新設校につきましては屋上、それから外壁、それから床、こういった新しい基準に基づきまして進めていきたいと考えております。

○竹腰連
新設校と既存校で、今のやり方だとちょっと差が出てしまうというところは課題なのかなと思います。
先ほどおっしゃっていただいたように、断熱化というのは基本的に3点セットだというふうに言われています。1つが、これまでやっていると思いますけれども、天井などに断熱材を入れるということ。
2つ目が壁に断熱材を入れるということ。最後に3つ目に、内窓を入れて3重サッ シにすると。この3点セットをやって初めて断熱化だというふうに専門家の方はおっしゃっています。
やっぱり、全ての学校でこうした取組が本当は必要だと思うんですが、やはりなかなか難しいというのも当然理解するところですが、部分的にでも、先ほど調査もやっているということだったので、先行実施、ここは必要だというようなところについてはやっていくということは考えていないのかどうか、伺いたいと思います。

○管理部長
委員御提案の部分的な断熱化の先行実施ということでは、現在のところは予定しておりません。しかしながら、御指摘のとおり断熱対策が熱中症予防に有効であると考えておりますので、今後も引き続きリフレッシュ工事の中で校舎、体育館の断熱化を図ってまいります。また、他の自治体の対策事例を参考にして研究してまいりたいとは考えております。


○竹腰連
私もいろいろ調でさせていただいて、また今後も御提案させていただければと思います。 2022年の8月のさいたま市芝川小学校で断熱ワークショップが行われたという報道がありました。このWSでは、企業からの寄附とクラウドファンディング等で200万円の予算を用意して、芝川小の教室の天井裏を断熱化して、大変好評だという意見が出されていると思います。
そして、現在は、先ほど紹介した前准教授が教室に機器を設置して計測を続けているというふうに伺っています。そのデータは市教委も今、共有することができているのかどうかということを伺いたい。

○管理部長
委員今おっしゃっていただきました事業につきましては、教室に遮熱対策を実施して、それから事前事後の測定、温度測定等を行ってその効果検証を行うと、こういった事業です。 また、専門家による断熱セミナーを併せて行って、学校及び家庭の快適な環境づくりに向けて、 そのきっかけ及び省エネ活動の啓発となるということを目的としております。これをさいたま市教育委員会も後援をしております。
こうしたことから、効果検証の内容としては、窓ガラスの内側に反射板を追加したことなどで室温が低下したことですとか、天井裏に断熱材を入れるといったことによって天井の表面温度が低下したということが報告されております。
また、環境教育の一環ですので、参加した児童などからは環境意識が向上したという御意見も寄せられております。
詳細データについては、学校のほうには報告がありますが、教育委員会のほうにもその報告書は上がってきております。この活用については、今どのように活用するかは決まっておりませんが、有効にしていければと考えております。

○竹腰連
せっかくこの芝川小という、さいたま市の学校でこういった取組が行われていて、そのデータも教育委員会として見ることができるということなので、ぜひ生かしていただいて、子供たちの断熱につなげていっていただければというふうに思います。
やはり、これまで伺ってきても、なかなかこの断熱化が進んでいかないというのが実態だと思います。その障壁になっているのは何なのか、一番の課題、一番じゃなくてもいいですけれども、 課題は何があるのかということを伺いたいと思います。

○管理部長
熱中症対策におけます環境、教育環境の整備につきましては、限られた財源の中で効率、効果的に整備を進めるということが重要であると考えておりまして、現在は計画的に学校施設への空調設備の導入を進めているところです。
既存校舎などの断熱化につきましては、こうしたことから引き続きリフレッシュ工事の中で対応してまいりたいと考えているところです。

○竹腰連
くしくも、この限られた予算というところが最大のネックになっていると。 皆さんとしても当然断熱化できるのであれば進めていきたいというような考え方だと 思うんですけれども、やっぱり予算がというところだと思います。
その予算の中でいうと、文科省の補助金で学校施設環境改善交付金というものが出されているかと思いますが、これは大臣の答弁によると断熱改修にも使用することかできるというふうに示されております。これを利用した断熱化ということは今やっているんでしょうか、確認させていただきたいと思います。

○管理部長
委員おっしゃったとおり、文部科学省の学校施設環境改善交付金におきましては、建物の断熱改修が補助要件となっております。このため、リフレッシュ工事の際に断熱改修を行うことで国庫補助金を頂いているところです。
なお、令和5年度までに断熱改修を含むリフレッシュ工事を実施しておりますので、全てこの 学校施設環境改善交付金を活用しているところです。

○竹腰連
最後の質問ですが、なかなかこの補助金だけではリフレッシュ工事の中での断熱化にとどまってしまうということが確認をすることができました。
やはり、これはさいたま市だけではなくて全国的にもそうだと思うんですが、国に対してきちんともう少し予算をつけてほしいということは教育者の願いなのかなというふうに思います。
さいたま市教育委員会として、国に対してこの断熱化に対しての予算をもう少し増やしてもらえな いかというような要求、要望はされているかどうか、確認させていただければと思います。

○管理部長
リフレッシュ工事におきまして、現在断熱改修を行うことで国庫補助金を頂いておりますことから、今、文部科学省に対しては特段この補助金の要望活動を行っているということはございません。


○竹腰連
もう質問はしませんが、新設校は3点セットの断熱が行われていて、既存校はリフレッシュ工事の中でしか、屋上のところの部分しか、基本的には今のままでは断熱化されないということで、学ぶ子供たちの環境に大きな差が生まれてしまうということは、看過しないでおいていただきたいと思います。
せっかくいろんな方が取組をしてこの断熱化を進めていますから、そういった方々と協力をしながら、やはり国に対してもきちんと予算をもらえるように訴えていっていただければと思います。

※これらの文章は、議事録の速記録から引用です。確定した文章ではないということをご了承ください。

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