見出し画像

卵巣腫瘍と一緒に子宮を全摘出した。

とくに書くこともないのだが、主治医が書いておけ(追記:私が小説家なのでこの経験を記してみては、という意味)というので書く。

子宮全摘した。晴れ晴れと言うか、ジョジョの4部最後で仗助が言っていたような、新しいパンツをはいた元旦の朝のように爽やかな気分だ。

ほんとうに要らなかったのだ、子宮。子供いらないし、PMSも生理痛も酷かった。数日寝込むこともざらにあった。学校や職場で倒れたこともなんどもある。必要な検査は10代のころからなんどもやったが異常があるわけでもなく、生理痛がひどくなる傾向にある子宮後屈(子宮が後ろに傾いている状態)である、ということがわかっただけだった。ヤーズフレックスという生理が最大3カ月に1度になるという素晴らしいピルを飲んだが、お金がつづかなかった。低用量ピルは私には高かった。月経カップなども試した。しかし「生理が来る」ことを私は根本的になくしたかったのだ。

今年たまたま皮様嚢腫という卵巣嚢腫(良性の腫瘍)が見つかり、精密検査のため大病院に回された。5センチ弱の丸い皮様嚢腫があり、いますぐ取らなければいけないものではないが、このまま大きくなると「捻転」といってねじれて激痛を起こす可能性がある。経過観察でも、摘出でもいいですが、どうします、と言われ、私は聞いていた。

「嚢腫を取るついでに子宮全摘したいんですが、できますか?」(追記:通常は腹腔鏡で卵巣嚢腫のみを手術摘出する。現段階で異常が見られない子宮を摘出する必要はない)

ずっと思ってきた。「子宮いらないな」と。

前述のようにPMSも生理痛も酷かった。子供もいらない。将来癌になるリスクもある。必要ない、リスクのあるものをなぜいつまでもつけていなくてはいけないのか。「ついでに」取ってしまえ、と思った。主治医はあっさり言った。「選択として考えてもいいんじゃないですかね」。ほんとうは難色を示されると思っていた。しかしいいんじゃないかとGOが出るなら、とってしまおう。いまさらやめろという人もいない。私の選択だ。

先日腹腔鏡手術で卵巣嚢腫と子宮の摘出を行った。手術は4~5時間ほど。全身麻酔が点滴で回ったとき、酒がいちばん悪い回り方をしたときのような、ぐるぐる世界が回る感覚があり、たいそう気持ち悪かった。寝ている間は、味噌汁を飲む夢を見ていた。起き抜けは非常にハイで手術室からピースして出てきたような気がする。たぶんあれがトリップにちかい感覚なのだろう。術後の経過は良好で、術後1日で歩くようになっている。

子宮を取ることにまったく躊躇いはなかった。しかし周囲の「ええ~……」という反応はあった。どことなく憐みというか、(まああなたが決めたんなら……いいけど……)(後悔しないかしら……)という憂い。糞面倒くさい。だから私はあまりこのことについて話したくないとどうじに、こういう選択をする女もいるのだと知ってほしいという、矛盾する気持ちを抱えている。女は子供を産んで一人前、という風潮に中指を立てたくて、こういう選択をする人間もいるのだということを、知ってほしい。

ただそれだけ。


※追記
卵管と子宮を全摘出(卵巣は温存)するタイプの手術でホルモンバランスの乱れは少ないそうですが、なにぶん取ったばかりで長期的な影響等についてはわかりかねます。判断は個々人の症状によるところが大きいと思いますので、各婦人科医にご相談願います。

※追記2
表題を「異常がないけど子宮全摘した。」より改題。ご指摘頂きました藤ノ木優先生、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?