悩みの出口
一人じゃ抱えきれなくなって爆発しそうになっていたので、友人に形にも言葉にもならないようなことを吐き出させてもらった。
友人は「分かる、言ってることがとってもよく分かる」と言ってくれた。
その言葉に、私はこの上なく救われた。
悩みの出口は「解決」ではない。
いつもそう思わせてくれる彼女はどうしてここまで私を上手に導いてくれるのだろうか。
夏が好きな彼女と、冬が好きな私。
冬でもアイスコーヒーを飲む彼女と、夏でもホットコーヒーを飲む私。
ピンクが好きな彼女と、白が好きな私。
ブラウスが好きな彼女と、Tシャツが好きな私。
明るいアッシュでロングヘアの彼女と、暗いカシスブラウンでボブの私。
一緒に買い物に行っても、趣味が違いすぎて同じ店で何かを買うことは絶対にないけど、あぁこれ好きだろうなとか、これ絶対似合うだろうなみたいなことを的確に言い合えるから、一緒に買い物をするのも楽しい。
彼女は好き嫌いが多くて、私の好物が食べられない。
でも一緒にご飯を食べる時間はあまりにも幸せで楽しい。
2人でいると、私たちってなんで仲良いんだろうねなどと笑い合ったりする。でも、私の人生にいてもらわなかったら今頃私はこんなに生きてないかもしれない。
そんな重たいことは絶対に言えない。けど、私がそうやって重たいことを思っていることを多分彼女は知っている。
幾度となく彼女に救われて、生かされて。
どうして私のことをそんな風に上手に支えられるんだろう。不思議で仕方ない。こんなに重苦しくてジメジメしている私を、多分この世で一番上手に受け入れて、受け流すことができる。
そんな彼女自身は、あまり心情を自分から吐露しない。
強がりだからと自分で言っているけれど、本当に強がりで少しだけ秘密主義。カラッとしていて、いつも軽やか。
人の心にも引きずられやすい私だから、わざとそうしているのかな。
あまりにも真逆すぎるのに、私が話すことにいつも「分かる、分かりすぎる」と言って絶対に寄り添って共感して、私の痛いところも落ち着くところも的確に見つけてくれる。
「なんで分かるの?」と聞いても「だって分かるもん」と言う。
多分、超能力者なんだと思う。
特殊な訓練を受けているに違いない。
もらってばっかり、救われてばっかりで、ギブアンドテイクが成り立ってないよね、と言うと「なんでそんなこと言うの?」と怒られる。いつも怒られる。
そんな彼女は、私が悩むことを決して否定しない。
「考えすぎだよ」とは絶対言わない。
「考えちゃうよね、考えて当然だよ」と言ってくれる。きっと彼女は私みたいにぐるぐると同じところを回りながら沈んでいくようなことはしない人。
彼女は私のことを必ず私軸で判断してくれる。彼女の生き方や考え方があって、それは私とは違う物だと明確に分かるけど、私が悩むことは私だったらそうだよねとこちら側に立ってくれる人だ。
だから、悩みの出口を彼女は示さない。
解決策を提示したり、悩むことを止めたりすることは絶対にない。
だからこそ、私は抜け道から外に出ることができるようになる。どの道もどの扉も開けておいてくれるのが彼女だから。
本当にしんどかった。しんどくてまたダメになるかと思った。でも、私は抜け道を使って外に出られた気がする。
何かが大きく変わったり、状況が好転したりしたわけじゃない。
でも、今日は、少なくとも今日は、明日も生きていたいなと思える。
進むべき道とか、解決の糸口とか、そんなんが見つからなくたって、人は少し前に歩けるんだ。
私の目を見て、手を取ってくれる人がいる限り、私も生きるのを諦めたくない。
そういえば、
私を何億回目か分からないけど救ってくれた日、
彼女は珍しくホットコーヒーを飲んでいた。
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