見出し画像

穏やかな復職のための心得

復職してからの毎日は驚くほど平穏に過ぎている。
穏やかすぎて不安になるくらい。


まだ大した仕事はしていないので、わ〜私ちゃんと働けてる〜!と言えるほどではないけど、それなりに社会人として平日を過ごしていてよろしい!ではある。


復職してから社内で会う人は口を揃えて「戻ってきてくれてよかった」と言ってくれる。
引き継ぎもなしに私の仕事を丸々背負うことになった人にまで、普通に何事もなかったかのように明るく話しかけられる。

最初のうちは「まぁそう言うしかないわな」などと捻くれていたけど、逆に何を期待していたんだろうか。
過度な心配も嫌がっていただろうし、以前と全く同じ対応をされてもやっぱ無理などと嘆いていただろう。


私も復帰して2,3日は挨拶する度に「ご迷惑をおかけしすみませんでした」と言っていたけど、大抵の場合「元気そうでよかった」と返された。

絶妙に噛み合ってない。


大人の対応されてるなぁなんて思ってたけど、途中で、他に言うことがないんだ!と気付き始めた。

逆の立場だとしたら絶対にそう。
多少業務の皺寄せがきたとて、休んでた本人が復帰してる姿を見て「うん、本当忙しくなって大迷惑」なんて言う大人はあまりいない(多分)。

大人だから、会社員として、当たり前のことを言っているだけなんだ。
ビジネスコミュニケーションなんだ。


会社の良いところはこれだ。
相手のことを同僚として役割的にしか見ていない。
冷たく聞こえるかもしれないけど、うつ病明けの人間にとってあまりにもありがたい無関心を向けられている。

多少は物珍しさもあるだろうけど、そんなのは数日だけで、一週間もすればなんてことない。

確かに気は遣われている。
早く帰れと言われるし、簡単な仕事をゆっくりでいいからと渡される。

でもそれは、会社員としてのビジネス気遣いに他ならない。
ドライな言い方にすれば「もうこいつを休ませない」という仕事を、周りの人たちは粛々と遂行している。


定時過ぎてもまだいたら「もう帰っていいよ」と言うし、少なめに見積もったタスクを渡して「ゆっくりでいいよ」と言う。
そういう仕事をしているんだ。


という風に考え始めると、異様に大切にされている自分のことにも少しずつ慣れてくるということを発見した。

まだ大して稼働してない社員がいることで何かが劇的に変わったりなど絶対にしない。でも、私が復帰して毎日出社しているという現実は、周囲にとっては成果物になっているんだ。そう思うと申し訳なさが軽減される。

むしろ私がそこにいるというだけで、オフィスの家具が一個増えたくらいの認識でしかない(多分)。

だから最近は「ご迷惑をおかけしすみませんでした」ではなく、「ご心配をおかけしました、またよろしくお願いします」とだけ言うようにしてる。


心の中でどう思われてるかは知らんが、少なくとも私本人に対して悪意や棘のある言葉が直接向けられない限り、私はちゃんと自分と自分の環境を前向きに肯定してあげたい。

もちろん、心からの優しさを届けてくれる人もいらっしゃるだろう。でも、あまりにそれを真摯に受け止めすぎると、結構受け取り側のキャパが足りなくなったりしてしまう。

だから私はあえて一線を引いて考えるようにしてる。

腫れ物でもお荷物でもない、私は家具だ。


まだ元々の思考癖は直らないけど、自分にも周りにも良い意味で期待をせず状況を真っ直ぐ飲み込むことは少しできるようになって、週5日が前より少し軽くなった気がしている。


ゆっくりぼちぼち、今の自分にできる心地よいペースを安定して続けられるように、まずは1日ずつ自分を褒めて、そして必要以上に職場や仕事をセンセーショナルに捉えないようにしていければ良いなと思う。

私は「復職」という仕事を粛々と遂行していきたい。

この記事が参加している募集

仕事のコツ

with 日本経済新聞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?