マガジンのカバー画像

ほんのり創作を

11
現実と創作のはざま 全てが未完成
運営しているクリエイター

2024年8月の記事一覧

隠しきれない04

隠しきれない04

バーを出て急に喧騒から隔離されたような廊下を歩く。

はじめて自分の好意を意識したのはあのとき。よく覚えている。

職場が同じになってはじめの頃、フォンさんに業務を教わることが多かった。自然に二人で話す時間も多くなった。

館内ではスタッフ同士が大声で話さないよう控えにしているので、ついつい歩きながらの質問が聞き取れなかったらしい。

そのときの、その仕草。
背が高い人特有の、相手の顔の高さまで耳

もっとみる
隠しきれない03

隠しきれない03

職場では内線をかけることが多い
受付スタッフやカウンタースタッフなど、基本的にその場を動けないことが多いためだ

彼女へ内線をかけたときの、あの電話口の緊張した声色
そして名乗った電話の相手が自分だと分かったときの、ふわっと吐息が聞こえてくるかと思うほどの安心感

そんなとき自分は絶対に口許が緩んでいる

そんな反応、自分にだけだろうか
きっとそんなはずはないというのにほんのり期待してしまう

もっとみる