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手話通訳士試験(筆記)、いろんな意味で終わった私の話

こんにちは、タケイユウコです。
7月24日(日)に、第33回(令和4年度)手話通訳技能認定試験(筆記)の受験を終えました。
受験後の率直な気持ちとその後の過ごし方についてご紹介します。

そもそも手話通訳技能認定試験って?

手話通訳技能認定試験とは、「手話通訳士」になるための試験です。
その「手話通訳士」については、厚生労働省のHPには、以下のとおり記載されています。

手話通訳士とは、「手話通訳を行う者の知識及び技能の審査・証明事業の認定に関する省令(平成二十一年三月三十一日厚生労働省令第九十六号)に基づき、手話通訳技能について審査・証明事業を行う法人として、厚生労働大臣が認定した「社会福祉法人聴力障害者情報文化センター」が実施する手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)に合格し、手話通訳士として登録を行った者であり、手話を用いて聴覚障害者と聴覚障害を持たない者とのコミュニケーションの仲介・伝達等を図ることを業とする者をいう。

厚生労働省「手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)について」

記者会見の時に知事や市長のとなりに立ち(時にはTVのワイプに映り)通訳しているのは、「手話通訳者」の方たちです。コロナ禍で注目を集めた職業のひとつで、手話を学ぶ人たちの中には目標にしている資格といえます。
この試験に挑戦するため、3月ごろから準備を始めていました。
思うように進まなかった受験対策についてはこちらをお読みください。
では改めて、受験の感想を。

はい、おわったー。

試験問題は大きく4本の柱から出題されます。
Ⅰ 障害者福祉の基礎知識
Ⅱ 聴覚障害者に関する基礎知識
Ⅲ 手話通訳のあり方
Ⅳ 国語
受験時間は90分×2回で、初めの90分でⅠとⅡを、次の90分でⅢとⅣの問題を解きます。

「それでは、始めてください」と試験官から言われて、問題の冊子をめくった瞬間……「はい、おわったー」とのけぞりそうになった私。
勉強、しましたよ?自分のできる限りだけども。
傾向と対策や、過去問を繰り返し解いてきたから「1問目はこういう問題が来るはず」って思っていました。それが……

思っていた問題じゃない!

ちょっと出題に戸惑った方いません?(ぼやき合いたいです、笑)
そう、1問目で私のチキンハートが発動してしまったのでした。

ダメでもともと!最後まであきらめない

1問目で戦意喪失した私ですが、今回の受験は「ダメでもともと」で挑戦しています。
なぜかというと、毎年の合格率が10%前後であること、試験問題も手話に関することだけでなく、福祉全般の法律や制度についても理解しておく必要があることが示すとおり、難しい試験だからです。
コロナ禍で手話を使う頻度が少なったにもかかわらず、2022年になってから受験を思い立った私にとっては1発合格はかなり高いハードルでした。

一方で、今年はチャンスといえる状況でもありました。それは受験方式です。
2019年度までは「連続方式(筆記と実技が連続して行われる方式)」が実施されていましたが、新型コロナウイルス感染症の感染状況に鑑みて、2021年度から「分離方式(筆記試験と実技試験の受験日が異なる。筆記試験に合格した人のみが実技試験に進むことができる方式)」になったのです。
本試験は筆記試験には合格したけれど、実技試験は不合格だった場合、翌年の筆記試験は免除されます。私の今年の目標は筆記試験の合格なので、潔く、筆記試験に標準を絞っていたのです。だから、だからこそ……

最後まであきらめない!

試験はマークシートの四択問題。まずはすべての問題を回答。そのあとは制限時間いっぱいになるまで見直しを行いました。
(だいたい回答しなおした問題って間違えるんですけどね……)

試験後の不安と開放感

ⅠⅡで生まれたチキンハート。でも読みたい本やお出かけを我慢して、勉強はしたので(多少やけど)奇跡は起こるかもしれない!
そんな気持ちで挑んだⅢⅣ。
手ごたえ?そりゃあもう、ありませんとも。
最後の1秒まで、見直しに使って、試験を終了しました。

終了の合図とともに、私の今年の挑戦が終了しました(笑)。
試験問題は持ち帰ることができるので、回答は記しておきました。とぼとぼと帰る道中、後ろでは「難しかったね」とか「あれは〇〇で合ってる?」などと話して帰る方々が。
一緒に挑戦するお仲間の存在がちょっぴりうらやましくなりました。

私はと言えば、帰りの電車内ではスマホで問題を検索し、数問の誤答を確認。自宅に着くころには心はサンドバック状態でした。
(送り仮名とか間違えたくなかったなー。)

それでも、ひとしきり友達に「試験、オワッタ」とLINEすると、「しばらく筆記の試験対策はしなくて良い」という解放感から、これまで我慢していた本のうち「どれから読もうかなぁ」などと物色しはじめる始末。
自分って、単純だなぁと思います。

翌日からの私

試験が終わった翌日から読みたかった小説を2冊読み欲求を満たし(笑)、四日目からは渋谷智子さんの『コーダの世界―手話の文化と声の文化ー』を読み進めています。
そして、3日目からは『わたしたちの手話学習辞典Ⅰ』を見返し始め、実技(聞き取り通訳と読み取り通訳)のための動画学習を始めました。

手話を学ぶ、資格をとるってこういうことなのだと思います。もちろん自分のスキルを磨くことは大切ですが、その先にはろう者がいることを忘れてはいけない。
一緒に活動している地域のろう者がいるから、その友達が応援してくれているから、その人たちのこれからのためにも頑張りたいという、意外に真面目な自分がそこにいました。

実技に進めるかはわからないけれど

筆記試験の結果は9月2日(金)に郵送されます。
正直、合格基準(ⅠからⅣのそれぞれに得点があり、総得点の6割程度)に達しているかは非常に微妙なラインです。
自己採点をする勇気と回答を導き出すまでの労力がありません……。
だからといって、実技を投げてしまうのは違う気がしました。時間は足りないかもしれないけど、自分にできることはやっておきたいというのが今の私の気持ちです。

もし、不合格だった場合、来年も挑戦したいと思っています。筆記の受験勉強と実技の練習に1年をかけて、どの角度から問いが出されても自信をもって答えられるよう準備します。

正直、資格の有無で自分の人生が大きく変わるとは思っていません。ろう者に対する気持ちや姿勢、聴覚障害者福祉の危機感みたいなものはこれからも変わらないでしょう。
幸い、私の周りには優しく厳しい、そしてめっちゃ面白い先輩たちがたくさんいます。さらに、私の受験を応援してくれるろう者の友達も。

手話を学びたいと思ったこと、そして聞こえない人と出会えたこと、これは私の人生において宝物のような出来事です。
だからこそ、歩みは遅くとも学び続けます。
全国の手話学習中の方、手話通訳者試験に挑戦中の方、手話通訳士試験に挑戦中の方、そして手話通訳の第一線で活躍している先輩方。
どうか、心ひとつに頑張らせてください。

本日も読んでくださりありがとうございました。



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