異文化とか異分子な中小企業診断士である意味
企業や創業者にとって、中小企業診断士に相談したり対応を依頼したりすることって、組織に異文化とか異分子を入れることじゃないかなと感じています。
慣れ親しんでいないものを入れるのですから、かなりの度量・余力・余裕、そして変化したい気持ちがないと、できないのではないでしょうか。
中小企業診断士として8年目を迎えようとしている今も、組織に入る際には緊張します。
目に見える成果を出さなければならないから……。
とはいえ、時には、「目に見える結果を出すこと以外にも、中小企業診断士が入ることの意味ってあるよね」と感じるケースもあります。
今回はそんな話から書き進めてみます。
(本記事に出てくる企業の社長には掲載のOKをいただいています)
◆素晴らしさに気づいてもらうって大事
今年スポットで行った中小企業での出来事。
突如やってきた見ず知らずの私に対して自然な笑顔で挨拶ができる従業員さんばかりだったのです。
中小企業診断士として活動するようになってから、多種多様な企業を見てきていますが、こういう企業って本当に少ないんです。
なので、従業員さん達がいる前で社長にお伝えしました。
「皆さんは普通だと思っているかもしれませんが、見ず知らずの人間に自然に挨拶ができる従業員さんがいる企業さんって、いろいろな企業さんを見てきていますが本当に少ないんです。凄いことなんですよ!」
すると、社長も、私の言葉を聞いていた従業員さん達も、驚いた表情に。
普段から当たり前だと思ってやっていることが、異文化というか異分子なポジションの中小企業診断士から「凄い」と言われたことで、自分たちの強みなんだと感じていただけたようです。
異文化とか異分子なポジションの人からの称賛って、身内からの称賛とは少し異なる感情が芽生えるのではないかと考えています。
「組織の枠組み外から認めてもらえていることで自信を得る」みたいな。
◆ 改善してみようと思える伝え方も大事
同じ企業さんの話。
社長から抱えている悩みを聞くだけではなく、仕事風景を見せていただいたり、根本的な原因を探るために全従業員による4時間のワークショップも経験していただきました。
社長は売り上げ面や人材育成面など、「できていない」と感じていることばかり気にしていましたが、なんのなんの!
それに、ワークショップを通じて「そんなこと考えていたの!」と、従業員同士だけでなくオブザーバー参加の社長も、普段は聞けない(らしい)想いを共有できたと喜んでいました。
一方で、改善ポイントも出てくる、出てくる……。
そこで、私から伝えたのは、こんなこと。
「▲▲が改善されると■■が良くなるので、今までよりもハッピーな気持ちで仕事に取り組めそうな気がしませんか?」
改善してほしい点を伝える際には、豪速直球にならないように気を配っています。
異文化というか異分子なポジションだからこそ、特に。
改善することに気づいてもらうことも大事ですが、私たち中小企業診断士としては、改善に向けて第一歩を踏み出してもらうことも大事。
どんなに正論なことだったとしても、伝え方を誤ると「うちのこと分からないくせに」となっては、改善に繋がりませんから……。
◆ 中小企業診断士に求められていること
異文化というか異分子なポジションとして組織に入る中小企業診断士には何が必要なのか。
そんな問いを提示すると、多種多様な“必要なもの”が出てきそうですね。
もし私がこの質問を受けたら……
素直さ
共感力
物事の伝え方
知識の量とバリエーションの豊かさ
あたりが必要だって言いそうです。
ただ、ここまで書いてきてふと感じたのは、受け入れてくれる組織と同じように、慣れ親しんでいないものを受け入れる度量・余力・余裕・変化したい気持ちが、中小企業診断士も大事なのではないかと。
ま、ひとことで言うなら“柔軟性”っていうのでしょうか。
中小企業や創業者の悩みって、同じに見えるようなものでも、千差万別ですよね。
原因が異なったり、解決策が異なったり。
解決に向けた決め技も、同じに見えそうだけれど、細かく見ると違ったり。
自分の得意技に持ち込んだほうが解決に繋がることもありますが、そこに固執すると解決しないこともあります。
ケースに応じて臨機応変に。企業を客観視しつつ、自分自身のことも客観視する。
ま、書くだけなら誰だってできます。
簡単にできないからこそ、日々試行錯誤しています。
固定概念を押し付けていない?
視野は狭くなっていない?
異文化コミュニケーションできてる?
成功体験を他業界に横展開できてる?
成長の余白はある?
心に余力はある?
急にはできないけれど、日々1ミリでも変化できて、それを積み重ねることができるなら、いつかは柔軟性のある百戦錬磨な中小企業診断士に近づけるんじゃないでしょうか。
異文化とか異分子として組織に入ることを望んでいただいたからには、良い化学変化を起こせる中小企業診断士でありたいものです。
そうなれるきっかけは、もしかしたらココにあるかも……。
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