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Googleの独占禁止法違反訴訟の訴状を読む【広告編】 7

この節では、ディスプレイ広告ネットワークで広告枠を販売している売り手が、地方新聞社、ニッチなメディアサイト、ブロガーなど、PV数やインプレッションが保証できない小規模なパブリッシャーであり、買い手が小規模な広告金額を使う広告主である事を利用し、落札価格や取引手数料を双方から隠蔽することで高額な手数料で稼いでいる実態を解説している。

C. ディスプレイ広告ネットワーク

1. 米国のディスプレイ広告ネットワークは、関連する反トラスト市場である。

81. 米国におけるディスプレイ広告ネットワークの市場は、関連する反トラスト製品市場である。
ディスプレイ広告ネットワークは、取引の売り手側と買い手側にインプレッションごとの価格の透明性を提供する事なく、小規模なパブリッシャーの広告在庫を広告主とマッチングさせる市場である。
ネットワークはオークション内の価格を不明瞭にしている為、非公開のマージンを獲得する事ができ、買い手と売り手は、ネットワークがマッチングされた取引の20%を取るのか50%を取るのかを知る事ができない。
さらに、ネットワークは在庫リスクを負う事ができる。
つまり、特定の広告主や広告主の中間業者に直接依頼するのではなく、自分たちの代わりにインプレッションを購入することができるのである。
82. 広告ネットワークは、パブリッシャーの広告サーバ、取引所、広告購入ツールとは互換性がない。
ネットワークは、取引所と同様に広告在庫の市場であるが、運営方法や提供するパブリッシャーの種類が異なるため、取引所の市場とは互換性がない。
ネットワークは、取引所のようにインプレッション毎の価格の透明性をパブリッシャーや広告主に提供していない。
また、ディスプレイ広告ネットワークは、取引所で在庫を販売するほどのトラフィックを持たない小規模なパブリッシャーを対象としている。
ネットワークでは、パブリッシャーの初期投資がほとんど必要ないため、パブリッシャーは販売する在庫が少なくてもネットワークに参加して在庫を販売することができる。
例えば、GoogleディスプレイネットワークのAdSenseパブリッシャーには、毎月のページビューやインプレッションの要件がない。
このようなタイプのパブリッシャーには、地元の新聞社、ニッチなウェブサイト、ブログなどがある。
83. ディスプレイ広告ネットワークに関しては、関連する地理的市場は米国である。
他の国で利用可能なディスプレイ広告ネットワークは、米国で利用可能なディスプレイ広告ネットワークの合理的な代替品ではない。
したがって、米国が関連する地理的市場となる。

2. Googleはディスプレイ広告ネットワーク市場で市場独占力を持っている。

84. Googleは、米国のディスプレイ広告ネットワーク市場において独占的な力を有している。
Google は、自社の広告ネットワークである Google Display Network(以下、GDN)を ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● と表現している。
Google のネットワークは、世界中の 200 万以上の小規模オンラインパブリッシャーを含む、他のどのディスプレイネットワークよりも多くのユーザーインプレッションとWebサイトにリーチしている。
Googleは、小規模オンラインパブリッシャーのロングテールの中で、巨大なスケールを持っている。
85. Googleのディスプレイ広告ネットワークの独占力を裏付ける直接的な証拠がある。
GDNは、広告取引に対して非常に高い二桁の●●%の手数料を請求しており、公的な情報源によれば、業界の他の場所では●●%が「標準的な料金」である。
内部的には、Googleはその手数料が非常に高く、Googleがその市場支配力のために高い手数料を要求できることを認めている。
例えば、2016年のある社内会話ではGoogleの幹部は、Googleの広告ネットワークは●●%の手数料を保持することで ●●●●●● を稼いでいるとコメントする一方で、Googleが●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●、あるGoogle社員に顧客が利用できる利用可能な競合ネットワークが存在しない事を指摘した際に、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●と述べたと説明している。
86. Googleのディスプレイ広告ネットワークの市場支配力は、参入障壁によって守られている。
Googleは、パブリッシャー広告サーバを利用して、後述する多くの反競争的行為を通じて、ディスプレイ広告ネットワークに優先的に取引を誘導することにより、大きな参入障壁を課している。
またGoogleは、その広告購入ツールであるGoogle Adsが、後述する多くの反競争的行為を通じ、同社のGDN広告ネットワークへ優先的に取引を誘導することで、さらなる障壁を生み出している。
最後に、広告ネットワークは需要と供給の両面で規模が必要であり、自然なネットワーク効果により、新しいネットワークが参入して規模を拡大することは困難である。

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