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目指せ、滋賀まるごとアドベンチャーツーリズム王国〜滋賀がとるべきアフターコロナの観光戦略〜

皆さん、こんにちは。Takeです。

いきなりですが、京都府民の方でこの記事をご覧になっている方がいらっしゃいましたら、ゴメンナサイ。京都様の観光スローガン丸パクリバナーを高々と掲載させていただきました。ただあなたたちは、JR東海の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンにて滋賀県大津市に所在を置く比叡山・延暦寺を京都の文化財として掲載していたのでお互い様。ということでお許しくださいませ。

さて、前回の記事では「半年間でのアメリカ留学の学びは、ジ ャ パ ン ・ ヤ バ イ。」と題して①University of Central Floridaで学んだこと ②ジャパン・ヤバいの理由 ③日本の観光産業にかける希望についてお話させていただきました。お陰様で累計2000pv(ぶっちぎりで過去最高)を記録し、数多くの貴重な意見と感想もいただき、感謝しています。

今回の記事では、第二弾としてUniversity of Central Floridaで学んだ事柄を元に『故郷・滋賀県が持つポテンシャルを活かしたアフターコロナの観光戦略』について書き記していきます。そもそも自分がなぜ地元・滋賀県の観光経営に携わりたいのかキッカケについては下記noteをご覧ください。

滋賀県=??〜琵琶湖の潜在的価値〜

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皆さんは「滋賀県」と聞くと何を思い浮かべますか?

そう、琵琶湖ですよね。恐らく大多数の方は滋賀県=琵琶湖として認識されている方が多いと思います。既知の通り日本最大の湖である琵琶湖は古来より滋賀県民のアイデンティティ・シンボルとして存在しており「近畿の水がめ」と呼ばれる通り、近畿地方の1400万人の人々の生活を支えています。

しかし、最近では(いやもっと前から?)滋賀県や琵琶湖はネタ的な扱いを受けており、何かと京都・大阪府民から馬鹿にされた際、対抗心を表すために用いる「琵琶湖の水止めたろか」「滋賀は京都の植民地」と呼ばれたり、挙句の果てには「琵琶湖の面積は滋賀の半分(実際は約1/6です)」とまで勘違いされています。

それもそれで、ネタ的ポジショニングは悪くないし美味しいし、楽です(笑)ただネタにされてることに慣れてしまった滋賀県民は、元々県民性として兼ね備えている「謙虚で穏やかな性格」が悪い意味で助長し、結果的に県民の自己肯定感が低くなってしまいました。

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しかしながら、実際は皆さんが思っているより「滋賀県=琵琶湖以外何もない場所」ではありません。

歴史的には中山道や北国街道などが交差する古来より東西日本を結ぶ交通の要所であったり、織田信長が天下統一を目指した居城安土城や、井伊直弼の彦根城、豊臣秀吉の長浜城など、日本史で名を馳せた武将のお城や城下町が沢山あります。

自然的にもスキー・スノボ、SUPやキャンプ。そして忘れてはいけない自転車びわ湖一周ビワイチなど、自然アクティビティも盛んな面があったりと"意外"と滋賀の観光は凄い可能性を秘めています。

アメリカへの観光留学中に様々な湖やその自然環境を活かした観光施策事例を学ぶ中で、滋賀県は日本のみならず世界の中でも有数の観光デスティネーションになれる可能性を秘めているのは間違いないです。

しかし「灯台下暗し」という言葉がある通り、滋賀県民が何よりそのポテンシャルに気づいておらず、観光にも活かしきれていない現状があります。特にアイデンティティである「世界一の湖、琵琶湖」を観光資源としたブランディング・マーケティングに関しては発展途上感が否めません。

滋賀がとるべきアフターコロナの観光戦略


長い前置きはさておき、本題に移ります。

まず前提として滋賀県は現状として、北海道や京都、大阪のような有名かつ人気観光地ではありません。企業規模で例えると、それらの有名観光地が大企業であれば滋賀は中小企業です。そうなると、取るべき観光戦略は必然的に弱者なりのランチェスター戦略(中小企業が大企業に勝つための戦略的法則)に基づいて観光戦略を進めていく必要があります。

そこで滋賀にあり、他にはない観光資源・魅力は何なのか?という話になりますが、自分なりに考えた滋賀県が集中的に発展し突き詰めるべき観光戦略は以下の3つです。これら3つにだけ、リソースを注ぐべきです。

①アドベンチャーツーリズム
②スキーツーリズム
③レイクツーリズム

ここからは、3つの分野にて取るべき具体的な戦略について書き記します。

1. アドベンチャーツーリズム (Adventure Tourism)

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【琵琶湖を活かしたもの】
・ビワイチ(琵琶湖1周サイクリング)
・キャンプ・グランピング(琵琶湖岸)
ウォータースポーツ(SUP、カヤック、ウェイクボード、カイトサーフィン)
・湖北バードウォッチング
・トライアスロン

【周辺の山を活かしたもの】
・シャワークライミング(渓流アクティビティ)
・ラフティング
・パラグライダー&ハングライダー
・登山&トレッキング
(滋賀は伊吹山、蓬莱山、賤ヶ岳など山に囲まれている地形)
・フォレストアドベンチャー(ジップラインなど)
・スキー・スノーボード


【その他】
・サイクルトレイン(自転車を持ち込み途中下車しながら観光)

以下、滋賀県内で出来るアドベンチャーツーリズムの種類です。僕が軽く調べた限りなので、実際はもっと多くのアドベンチャーが体験できるかもしれません。このように地形的に四方を山に囲まれ、中心に大きな湖がある滋賀県は、いわば"アドベンチャーツーリズムの宝庫"と言えます。

現状、滋賀に来てもイマイチ何をすれば良いかピンと来ない思っている方も多いかもしれませんが、裏を返せば新たに創り出すことができるスペースが空いています。そこで僕が提唱するのが「滋賀=アドベンチャーツーリズムを体験する場所」というブランディング・ポジショニングです。

地域の観光を根本から変えることのできるアドベンチャーツーリズムは、日本の観光産業全体で目指すべきと言われる"量"から"質"へのシフト(観光入り込み客数よりも観光消費額に焦点を当てた観光施策)にも相性が良く、理にかなっています。以下、アドベンチャーツーリストに当てはまる傾向です。

・アドベンチャーツーリストのうち8割が4大卒業者で4割が年収1000万超え
72兆円の市場をもち、2012年から年率21%で成長している
・一般的な旅行者と比べ、一人あたりの消費額が1.7〜2.5倍
・地域に落とされる金額がマスツーリズム14%に対して65%

加えて、アドベンチャーツーリズムを好む傾向人にある欧米のラグジュアリーツーリストは、平均して1回の旅行で38〜55万円を消費していると言われています。

以上から、滋賀の観光産業においてアドベンチャーツーリズムは元々持っている地理的な強みを活かし、稼げる観光地を目指す上で大きな起爆剤として期待されることから、早急に取り組むべき観光施策だと考えます。

2. スキーツーリズム (Ski Tourism)

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アドベンチャーツーリズムの一種であるスキーツーリズムも、滋賀が特に注力するべき分野です。前提として日本人に向けてのスキーツーリズムは競技人口およびマーケット市場が減少しており、しかもそのほとんどが日帰り客または短泊の層のお金を落としてくれないため、国内向け市場は一旦無視します。

国内における人気スキーリゾートといえば安比高原や軽井沢など甲信越、東北、北海道を中心に多く点在します。その中でもインバウンドに絞れば「ニセコ」「白馬」はスキーリゾート地の2大巨頭と言えます。

それらのスキーリゾートが概ね東日本に位置している一方で、西日本におけるスキーリゾートはそこまで知名度はありません。その中で滋賀県のスキーリゾートは西のニセコ、白馬になれる可能性を十二分に秘めています。

県内に大小6つのスキー場があり、それぞれが離れた場所に位置しています。そこで僕が着目したのが、湖北にある「グランスノー奥伊吹」です。

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このスキー場に着目した理由はシンプルで、大都市圏内または空港からのアクセスが良い点です。

グランスノー奥伊吹の最寄り駅である米原駅は新幹線の発着地であり、名古屋・東京からの観光客を呼び込めるチャンスがあります。また、空の玄関口である名古屋・セントレア国際空港からグランスノー奥伊吹までわずか1時間30分と、周辺のライバルスキー場となる「茶臼山高原スキー場(約2時間)や御在所スキー場(1時間30分だがスキーヤー専用)と、アクセス面・施設のクオリティではこちらに分があります。

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以上から、東京〜大阪のゴールデンルート上(外国人観光客が東京、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪などを巡る広域の観光周遊ルート)に位置し、新幹線の発着地であり、空港からも近いグランスノー奥伊吹はポテンシャルしかありません。

しかし、多くの課題点もあります。

まずはスキー場周辺の宿泊・体験アクティビティ施設不足問題です。特に米原駅周辺は新幹線発着地にも関わらず、本当に"何もない"駅です。スキーツーリズムのインバウンドを狙っていく中で、宿泊施設や、スキー場以外の観光体験施設が足りていないのは致命傷(逆を言えばここから開発し放題であり、最近はグランピング施設や湖畔のサウナ体験施設が新設されるなど徐々に増えていますが...)

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他には、グランスノー奥伊吹へのアクセスとして空港からの直行シャトルバスが無かったり、専用プライベートラウンジやリフトの優先搭乗など多くのお金を落とす仕組みがスキー場になかったりと、インバウンドを狙う中でそもそもプロダクト開発が出来ていません。ただしこれらを解決できた暁には西日本屈指のインバウンド向けスキーツーリズム観光地へと変貌できると信じています。"南高北低"といわれる滋賀県で、守山・草津・大津など南の地域は一定数は京都・大阪からの観光客を見込める点を考えると(それでも1人当たりの観光消費額という点ではまだまだ改善点はあります)米原含む湖北地域は無限の可能性があります。

またグランスノー奥伊吹以外のスキー場でも琵琶湖バレイスキー場は京阪神エリアからのアクセスが良く、湖西側の3つのスキー場も琵琶湖岸からのアクセスが良いこともあり、湖岸に別荘を持つ富裕層のプライベートゲレンデとして売っていくことも可能だと思います。そうすることで所得の高い富裕層のみをターゲティングしたラグジュアリー・スキーリゾートを新たに創り、消費額の高いラグジュアリーなプロダクトに集中することや、何よりリフトや滑走場の混雑を避けることができます。(ジャストアイデアですが)

以上から、滋賀のスキーツーリズムは大きな可能性を持っており、今後注力するべき分野であると言えます。

3. レイクツーリズム (Tourism&Development)

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最後に提案するのは、湖を拠点とした観光開発を行う「レイクツーリズム」です。

先日、琵琶湖アドベンチャーツーリズムシンポジウムというイベントの動画を閲覧しました。

本動画の中で、講師である藻谷浩介氏はまさに自分が思い描いていたレイクツーリズムのヒントとなるコトを仰っていました。以下動画見ながら取ったメモです。


・琵琶湖は世界最古の湖
・湖水はそのまま飲めるほど水質が良い
・奇跡の条件(気候, 地形)が重なり枯れずに何百万年も存在している
・琵琶湖岸は観光開発しやすい
・湖畔に別荘を建てるのが富裕層のステータス
・真横に京都・大阪・名古屋がある価値
・県民の自己肯定感を上げ、観光アドバイザー的な役割を担わせる
・世界的に見ても平地の横で水質が綺麗な場所は他に類を見ない
・都会では味わえないもの・感覚を全て滋賀で味わえる
・織田信長は京都でなく滋賀(安土)を選んだ
・地域資源をフル活用すれば若者雇用を増やせる⇢滋賀は活かせていない、ニセコは活かせている
・日本で最も知名度はあるのに全く観光地に活かせていない場所は関ヶ原と琵琶湖。知名度=人気観光地ではない
・高校生・大学生・女性が琵琶湖の価値をもっと知るべき
湖岸カフェを増やすべき?琵琶湖の畔でティータイムを楽しむマダムをターゲットに。


上記太字でチェックした項目ように、藻谷氏は琵琶湖の観光開発について「湖岸を埋め立てたり、道路など交通インフラのみ開発は本当に勿体ない」としきりに仰っていました。前項で紹介した米原の琵琶湖岸を活用した『OUMI WAVE』や、コロナ禍にアウトドアアクティビティ需要が増えたことにより湖岸のキャンプ場が賑わいを見せてきたものの、まだまだそのポテンシャルを活かせていない印象があります。

もっと湖岸にシャーレ水ヶ浜のようなお洒落で琵琶湖の綺麗かつエモエモな景色を楽しむことのできるカフェがあっても良いし、富裕層向けに琵琶湖畔に別荘を建てるのがステータスというブランディングイメージを創り、売り込みすることも出来る。その中で琵琶湖岸を自転車で一周するびわ湖一周ビワイチは良い活用事例です。

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アメリカ大学院の授業の一貫で、好きな観光地を選びその観光開発を調べるという取り組みがありました。そこで僕はアメリカのReno市という場所を選びました。ここはTahoe湖という湖を起点に様々な観光開発を行っているアメリカ国内では割と著名な観光地で、僕が着目したのは「Tahoeで何ができるのか?」のわかり易さです。

現地観光局の公式HPでは湖や周辺の自然環境で出来るアクティビティを分かりやすくシンプルなデザインで全て羅列されています。

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興味のあるアクティビティを選ぶと、そのアクティビティの動画から一気に予約まで飛ぶことができ、最終的には宿やレストランまで予約することができます。Reno市やTahoe湖ではそういった風に観光事業者・地域住民・観光局が相互に協力し、湖を起点に一つの一枚岩となって観光産業を盛り上げています。滋賀が参考にするべきデスティネーションとしてReno市・Tahoe湖の湖を活かしたレイクツーリズムは先進事例として大いに参考になるのではないかと思います。

また、京都に行くとなると寺社仏閣に行く、抹茶を食べるなど"すること"が用意にイメージできます。北海道ならスキーや海鮮丼、沖縄は海水浴など。その中でまずは琵琶湖で何をするのか、できるのかという一般的なブランディングを旅行者に刷り込むことが、先決なのかなと思います。

しかし、滋賀県民が一番その部分を分かっていないのが現実です。故にまずは滋賀県民が琵琶湖で出来るコトを知り、足を運び、体験することが大切なのかなと思います。

琵琶湖しかないのでなく、琵琶湖がある。

世界一の湖は、レイクツーリズムにおいて無限の可能性を秘めています。

さいごに

改めて、自分なりに考える滋賀県が集中的に発展し突き詰めるべき観光戦略は、

①アドベンチャーツーリズム
②スキーツーリズム
③レイクツーリズム


これらが観光地の中小企業である滋賀県が他の都道府県に無い、追い求めるべき領域であると主張します。

よく周りの方から「どうしてそんなに滋賀県に愛があるの?」と言われます。その正直な理由は、自分が滋賀県出身だからという純粋な地元愛ではありません。(こう言った方が聞こえは良いかもしれませんが...笑)単純に滋賀という観光地が可能性はあるのにそれを活かせておらず、未完成であり観光地経営において成長見込みしかないので面白そうだからです。滋賀のみに囚われず、ゆくゆくは日本の本当はユニークで面白いけど燻っている地方の観光地の魅力発掘をコンサルタントみたいな立場で行っていければと思っています。

本記事の中でしきりにポテンシャル可能性と連呼しましたが、滋賀だけでなく日本の観光も同じく可能性に満ちあふれています。だからこそ、もっと多くの人に滋賀の、日本の観光的魅力を知ってほしい。という想いを持って観光経営・マーケティングを勉強しています。

滋賀から日本一へ、そして世界一へ。

道のりは厳しく、険しいかと思いますが、今後滋賀県が観光地としてどこまで成長し発展できるのか。またそこに僕がどういった形で関わっていけるのか楽しみです。

--End--


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