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ロックダウン後の生活(The Economist 2020年5月2日版)

The Economist 2020年5月2日版から、「Life after lockdowns」の記事を取り上げてみたい。

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テーマは、「ロックダウンの後の生活」について。日本は「ロックダウン」ではなく「緊急事態宣言」だが、この記事から学べることは多いにあった。

中国はロックダウンを終えたが、日常生活にはまだ大きな傷が残っている。アメリカでは、低所得者労働の方を中心に失業率が高まっている。格差はさらに広まる可能性が高い。

2007-09年以降(リーマンショック後)に、政治は一般的な人々の要求に対処できずポピュリズムへと移った。しかし、またここで政治的にも大きな転換点を迎えているように思える。

基本概念の整理

■populism(ポピュリズム)

大衆迎合により人気を集め、既存のエリート層などを批判する政治思想のこと。こちらの本はBrexitや米国大統領選挙などを例に詳細に書かれている。
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■lockdown(ロックダウン)

都市を封鎖を行い、外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗閉鎖などを強制的に行うこと。違反したものには罰則もある。

一方、日本の「緊急事態宣言」には強制力や違反者への罰則もない。

■ zombie company(ゾンビ企業)

実質的には経営破綻しているが、政府や銀行の支援によって存続している会社のこと。

日本政府は、コロナウイルスへの措置として企業への支援を行う予定。しかし、コロナウイルスの影響を受けたことに関係なく経営破綻している企業にも支援が行き届く。無利子であっても借金を返せるかどうかは別問題であり、数年後に企業がきちんと健康的な経営ができているか注意が必要である。

記事の簡単な要約

ロックダウンを終えた後も、元の生活に戻ることはとても難しいと言えそうだ。理由は、(ⅰ)ウイルスが依然として世界に残っていること、(ⅱ)ウイルスへの対応に不確実性が残っていることがあげられる。

(ⅰ)ウイルスが依然として世界に残っていること

一つの国がロックダウンをして、ウイルスをある程度根絶できたとする。しかし、グローバル化した世界は他国との貿易や人の行き来を前提とする。つまり、世界レベルでウイルスを根絶しない限り戦いは続くことになる。

(ⅱ)ウイルスへの対応に不確実性が残っていること

ワクチンや治療法が確立されていない。また抗体(antibody)がいつまで続くかわからない。

(ⅰ)(ⅱ)によると、人々の経済活動には支障が残り続ける。なかなか経済を元に戻すことは難しそうである。

このような状態が続くとどうなるか、一つあげられる大きな懸念点としては「格差拡大」であると言える。実際にアメリカでは低所得者の労働が崩壊し始めており、さらに格差が広がりそうだ。

企業は存続するためにお金を借りるが、それがいつ返せるかきちんと返せるかという保証はない。いわゆるゾンビ企業が増えるかもしれない。

2020年11月はアメリカの大統領選挙もある。人々の政治への関心は、コロナウイルスの影響でさらに高まっている。また、「ポピュリズムという政治思想は本当に正しかったのだろうか」という疑問を持つ一般市民も増えそうだ。

記事の最後は、「今はより良いものに向けて議論し始めるときである。」と書かれている。

自身の見解

コロナウイルスの影響によって、「企業の経営」「政治体制」「格差拡大」などあらゆる問題が浮き彫りになってきた。

ただ、これはコロナウイルスの影響が出る前からある問題であったように思う。コロナウイルスの影響によって、厚化粧に厚化粧を重ねていた企業や政府の化粧が剥がれ落ち、大きな痛手を受けているに過ぎないと感じる。

個人的には、「企業とは何か」「政治とは何か」を考え直すきっかけにしようと思う。

まとめ

コロナウイルスとは長期戦になると予想される。

命を守り、経済も戻す。両軸で考えることが必要だが、必ずそこにはジレンマが存在する。ただ、我々は前を向かねばならない。

今こそ世界で連携して、世界の事例から学んで、より良い世界にしたい。

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