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オフィスは終わるのか(The Economist 2020年9月12日版)

The Economist 2020年9月12日版から、「Is the office finished?」の記事を取り上げてみたい。内容は「オフィスはコロナウイルスをきっかけに終わりをむかえるのか」についてだ。

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コロナウイルスの影響によって、日本では在宅勤務が推奨され、多くのビジネスパーソンが在宅勤務というものを経験した。ほとんどのビジネスパーソンにとって、日常的に在宅勤務をするというのは初めての経験であったはずだ。

さて、問題はコロナウイルスが落ち着いた場合、オフィスに人は戻るのか、もっと言うと戻るべきなのか、これはとても難しい議題のひとつだ。

初めて在宅勤務を経験した方の多くは、満員電車に揺られて通勤することがあれだけ体力を奪っていたのかと気付き、仕事と子育てを両立している方にとっては、少しばかり余裕が持てて精神的に楽に生活できるという声も聞く。

ただ、もちろん良い面ばかりではない。在宅勤務をすることで、同僚との間で雑談が少なくなり、いわゆる「企業文化」というものが希薄化する可能性も否めない。

これからのオフィスはどうあるべきなのだろうか。身近な問題であるオフィスに、正面から考えてみたい。

重要英単語

・conformity(順応)
・dither(躊躇する)
・upend(~をさかさまにする)
・synonymous(同意の)
・notary(公証人)
・swap(~を交換する)

記事の簡単な要約

コロナウイルスのパンデミックをきっかけに、世界的にテレワークが浸透しつつある。しかし、テレワークへの考え方は国や会社によって様々である。

例えば、ツイッター社のトップは「永遠」に在宅勤務というものを推奨した。一方で、ネットフリックス社の創業者はこれに否定的である。

そもそも、オフィスに行って仕事をするという起源は約200年前である。産業革命が起き、人々の働き方は大きく変わった。工場に勤務する者は、もちろん工場に集まって仕事をした。またこれと同時に、オフィスに車や電車を使って出勤するという文化も出来あがった。

ただ、このオフィスに行くという文化は敬遠されつつあった。単純に通勤の時間を計算するともったいないし、そもそもオフィスで集中して仕事ができない人もいる。200年前の産業革命時と比べて、もちろんテクノロジーも発達した。PDFをはじめ、テレビ会議システムもテクノロジーの発達による恩恵だ。ただ、テクノロジーがこれだけ発達してきたにも関わらず、200年前に起源を持つオフィスに行くという文化は一向に消えなかった。

それはなぜか。理由は、すでに投資してしまったオフィス、リースしているあらゆるものが無駄になってしまうという考えからきている。投資したものは取り返さなければならないという感覚に陥っている(埋没費用)。

ただ、コロナウイルスのパンデミックによって、良くも悪くもテレワークをせざるを得ない状況になり、埋没費用がどうだとか言えない状況になった。皮肉にも、オフィスプリンティングの専門であるゼロックスでさえ、在宅勤務をしているし、民事裁判や公証人ですらテレワークをしているのだ。

さて、コロナウイルスのパンデミックによってもたらされた在宅勤務であるが、これは長く続くのか、もっというと続けるべきなのか。そもそも、オフィスがある意味ってなんだっけ、オフィスがあることで何を生み出していたんだっけということを真剣に考えるときが来たといえる。

確かに、人が集まって直接コミュニケーションすることが減ることで、偶然の会話も減り、雑談も少なくなり、「企業文化」というものが薄れてしまう可能性もある。

政府はこの機会にどう対応すべきか。エディターの提言によると、オフィスに人を戻すという努力をするよりも、この環境に適応すべきだ。

政府は、この環境にあった雇用の法律を整備すべきであるし、中心都市への考え方も変えていくべきだろう。日本でいう、新宿や品川のオフィス街にある高層ビルもいつかはビジネスパーソンがいなくなり、ただのレジャー施設に変わる可能性もあるのだ。

自身の見解

個人的には、在宅勤務は推奨だ。ただ、日本の現代の働き方にマッチしているかといえば、そうとも言い切れないと感じる。

なぜならば、日本は高度経済成長からずっと「同じ釜の飯を食う」という文化を大切にして、成長してきたからだ。いわば、同僚は家族同然で、もっというと家族よりも多くの時間を過ごしてきたかもしれないからだ。

ただ、変わるタイミングがあるとすれば今なのではないだろうか。テクノロジーで解決できることから目をそらし、埋没してしまった費用のことを悔しがるならば、スパッと切り替える勇気も必要なのかもしれない。

企業文化というものをテレワークで残すことや育むことはたやすいことではない。実際に、私もいまそう感じている。

ただ、企業文化が希薄化するからオフィスに行って仕事をしようとする前に、多様な働き方を保ちつつ、企業文化も守る方法を考えなければならないのかもしれない。

おわりに

緊急時には、民主主義よりも独裁主義の方が早く決断できるから優れているという意見がある。

これは会社に当てはめてもそうだと言える部分もあるかもしれない。

ただ、テレワークによって物理的な距離が離れた今だからこそ、ビジネスパーソン一人ひとりが「セルフマネジメント」をして、一人ひとりが会社のことや社会のことを考えて仕事をすることで、コロナウイルスのパンデミック以前よりも大きな成長が見えると信じている。

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