takehanaichi

竹花一乃です。小説を書いています。BFC1とBFC2の一回戦に出場していました。

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最近の記事

才能狩り

 「きみには才能があるね」と彼は言った。  彼はこの界隈では有名な才能商だった。この世界では誰もが彼に才能があると言われたがっていた。その言葉を言われたいがためにみなあらゆることをした。  変わり種であれば才能があると思っている美大生。SMクラブで働けばいいと思っている大学生。それはもうすでに使い果たらされているというのに、才能があると言われるために血道をあげた。あげく風俗で働いているという子は才能を育てるためだ、と秘密めいた口調で言った。  彼女たちは才能を得るためにどんな

    • 「歯形」

       わたしの歯形は丸くてきれいだ。もちろん噛んだ跡は丸くて美しい。 気になった子がいたらとりあえず噛みつくことにしている。丸くてきれいな歯形がついたら嬉しいだろう。だってまん丸いんだし。  びっくりされるが、びっくりしすぎて印象に残り、その歯形が残っているうちはわたしのことを思い出す。十四のころは面白がられ、二十のころは気に入られ、二十六でもまだ効果があった。  噛みつきは女の子だから許されるちょっとしたいたずらみたいなものだ。嚙みつかれた歯形を自慢げに同僚に見せびらかす