2023オフで鹿島に補強したい選手たち
このnoteはYouTubeのロニー会議の企画に合わせて書いているので、動画を見てから読んでいただくのをおすすめします。
2023オフシーズンのポイント
2024シーズンも例年通り春秋制で変わりはなく、2月第3週開幕で約2週間のサマーブレイクを挟みながら12月閉幕というカレンダーの予定だ。リーグを中断するような国際大会もないため、ほぼ今季と同じようなスケジュール感が予想されるが、来年初頭にアジアカップがある影響で今季はずれた天皇杯決勝が再び元日開催になる可能性はあるかもしれない。
大きなトピックスとしては、J1リーグのチーム数が増えることとルヴァンカップがトーナメント方式になることだろう。J1は18→20チームに増え、試合数も34から38になり、またルヴァンカップはJ1~J3までの全60クラブが参加しての一発勝負となる。これにより、リーグ戦は今季一度しかなかったミッドウィーク開催の試合が増えることが予想されるし、ルヴァンカップはグループステージがないため決勝までのトータルの試合数は減るものの、最初から負けたら終わり、ということで1試合ごとの重要度は増してくるだろう。
来年の代表の主なイベントとしては、1月~2月にかけてA代表のアジアカップ、4月~5月にかけてパリ五輪の最終予選となるU-23アジアカップ、そして7月~8月にかけてパリ五輪が予定されている。
クラブにとっては当然、この期間に選ばれた選手は抜きで戦わなければならないし、特にアジアカップ、U-23アジアカップに選ばれるということは、シーズン前のキャンプの時期や序盤戦に当たるため、チームビルディングにおいて少なからずの影響は避けられないだろう。
また、五輪前のシーズンオフというのは、五輪へのモチベーションが高く、代表の中でもクラブの中でもそれなりの地位を保っている選手は注目銘柄でも移籍しにくい傾向がある。下手に環境を変えることで、ポジションを失ったりしてコンディションを落とすリスクを抱えているからだ。現時点だと、柏の細谷真大、新潟の三戸舜介、京都の川﨑颯太らは代表に継続的に呼ばれているし、クラブでもレギュラーポジションを掴んでいる。逆に言うと、上記の条件に当てはまらない部分があり、このままでは五輪に行けるかどうかわからない選手は、自身の評価を高めるために環境を変えてチャレンジする可能性が十分あると言えるだろう。
最後はクラブの財政状況についてだ。鹿島は昨年度決算で赤字を出しており、今年度も赤字を出すようだと2年連続になる。クラブライセンス制度では3年連続で赤字のクラブはライセンスをはく奪される可能性があるため、鹿島としては今オフで積極的に投資はしづらい状況だ。
現状、鹿島は売上高や人件費で(昨年度の数字で)リーグ5位に位置しており、資金的に大きなハンデがあるわけではないが、それでもマネーゲームで常に優位性を示せるわけではないという立場である。それでも、今年度は今季で順調に入場者数が増えていることもあり、入場料収入が昨年度よりも増加することが予想されている。また、鹿島は3月決算のため4月以降の移籍動向で人件費は算出されており、そう考えると海外に完全移籍した常本佳吾の分がプラスで計算できるし、逆に移籍金を払って獲得した須貝英大の移籍金周りやフリーで入ったとはいえ給料が上から数えた方がおそらく早い柴崎岳の加入は支出として計算することができるだろう。
現状整理
GK
現時点では質量共に問題ない陣容だが、クォン・スンテが今季限りで引退、また沖悠哉が出場機会を求めて移籍する可能性があり、そうなるとマイナス2となり、山田大樹を復帰させても頭数に不安が残る状況となる。
CB
こちらも現状問題はないが、気がかりは昌子源だ。出番を失っている現状を考えると移籍を選んでもおかしくはなく、そうなるとバックアッパーが手薄になる。関川郁万の海外移籍の可能性を考えても、林尚輝の復帰を含めて1枚プラスしてもいいかもしれない。
SB
現時点で全員レギュラーで出られるだけのメンバーが揃っているのに加えて、即戦力として大卒の濃野公人が入ってくる。5人となると、溝口修平を武者修行に出せる余裕があるくらいになるため、特にここに手を加える必要はなさそうだ。
DH(ボランチ)
ディエゴ・ピトゥカ、佐野海舟、柴崎岳、樋口雄太と現時点では最も充実しているポジションだが、ピトゥカの退団が決定的となっており、佐野にも近い将来の海外移籍が迫っている。試合に中々絡めない若手も含めて人員整理や新加入の補強が必要なポジションか。
OH(2列目)
こちらも人数は揃っているが、現状で試合に絡むメンバーは限られているのが実情。樋口雄太、仲間隼斗は欠かせないし、生え抜きの土居聖真や鹿島1年目の藤井智也も残留が基本線としても、それ以外のメンバーは出場機会の面も考慮すると、移籍してもおかしくはない。チームの底上げを含めて新たな選手を獲得してもいいポジションかもしれない。
CF(FW)
確固たる鈴木優磨の相方が欲しいところ。数はいるのだが、優磨の次のゴール数を記録してるのが知念慶の5ゴールなのは寂しいところであり、垣田裕暉も貢献度は高いがゴール数はかなり物足りない。もう1枚2ケタゴールが期待できるFWが必要か。
補強ポイントと候補選手たち
①前線で起点になれるだけでなく、2ケタゴールが期待できるストライカー
今の鹿島の攻撃面で一番足りないのは、9番の存在だ。垣田は十分身体を張ってくれ起点になってくれているが、ゴール数は正直かなり物足りない。本当は10番を別の選手に託して、優磨をこの位置に持ってくるのが理想なのだが、チームの崩しのクオリティを考えるに上田綺世のような選手を置いて、優磨をその下で自由にさせる方が結果を出すには手っ取り早いだろう。そう考えると、まずは前線で身体を張ることができ、それでいてJリーグで2ケタゴールが期待できる実績を持った選手が必要だろう。
候補選手
レオ・セアラ(セレッソ大阪)
セレッソのエースにして、Jリーグでの実績十分なブラジル人ストライカー。上背はそこまでないが、フィジカルが強いボックスストライカーで、プレーエリアが広くゴールパターンも多い。パンチ力あるシュートもあれば、空中戦も強い。前線からの守備も精力的にこなし、かつ3年連続2ケタゴールを記録している優等生であり、補強ポイントにも合致することから、投資してでも獲得する価値がある選手だ。
チアゴ・サンタナ(清水エスパルス)
清水のエースにして、昨季のJ1得点王。ペナルティーエリア内で絶対的な強さを持つレフティーで、典型的な9番タイプ。派手さはないが、しっかりとボールを収め、巡ってきたチャンスは地上戦でも空中戦でも確実に仕留めてくる。今季はJ2でのプレーとなり、途中離脱もあったが、それでもしっかり2ケタに得点数を乗せてきた。運動量はそこまで多くなく、今季は途中交代も多いのが気がかりだが、移籍金がかからないことを考えると狙い目の人材だろう。
②繋がれるだけでなく、「違い」を見せられるアタッカー
今季の鹿島を影で支えていた選手を1人挙げるなら、仲間隼斗だろう。攻守ともに献身的で、特に攻撃面ではあちこちに顔を出しながら身体を張り、発展途上だったチームの組み立てにおいて大きな貢献度を示した。仲間のような、流動的な形の中で流れに入り込み、周りと「繋がれる」選手が今の鹿島の2列目には求められているが、さらに上にいくにはそれにプラスアルファとしてゴールやアシストといった「数字」や、個で局面を打開できる「違い」を見せられる選手を求めたいところだ。
マテウス・サヴィオ(柏レイソル)
柏のNo.10。攻撃的な位置ならどこでもプレーでき、パス・ドリブル・シュートの全てがハイレベルな万能アタッカーだ。下がってパスを引き出したり、そこからドリブルで相手を剝がしたり、一気にサイドチェンジで局面を打開したりと、プレーのバリエーションも豊富で、まさにポイントにドンピシャの選手だ。契約は残っているが、チームが今季低迷したことと、ネルシーニョ監督がシーズン途中で解任されたことで、移籍の可能性はあるはず。
長沼洋一(サガン鳥栖)
今季鳥栖でキャリアハイの数字を残しているアタッカー。元々、両サイドどこでもこなせるユーティリティだが、今季は右サイドハーフで継続起用されている。一番の武器は身体能力の高さで、スピードで相手をぶち抜くこともできれば、空中戦で大外から飛び込んで競り勝つこともできる。崩しに加われながらも、時にストライカーのような動きを見せる飛び道具的存在は、チームにとって大きなアクセントになるはず。移籍金がかからないのも魅力的だ。
ドゥドゥ(ジュビロ磐田)
Jリーグ初挑戦となった昨季はインパクトを残せずに終わったが、今季は磐田で左サイドハーフのレギュラーを確保しているブラジル人。本職はボランチだが、予測能力の高さと推進力を買われて、攻撃的な位置でプレーしている。運動量豊富でボールのある所に積極的に顔を出し、ボールを持てばどんどん前へと運び、チームを一気に押し上げる。ミドルシュートやヘディングも得意で、得点力も持っている。外国籍選手特有の圧倒的なスキルを持っているわけではないが、「違い」を生み出す存在としては面白い選手だ。
③テンポを変えられる左利きの中盤の選手
今の鹿島には左利きが少ない。現状、フィールドプレーヤーだとピトゥカと溝口しかおらず、しかも来季はピトゥカがいなくなる。鹿島の崩しや繋ぎが右サイドに偏っているのは、選手の個性を踏まえてもあるが、左利きが少ないのも要因としてはあるはず。中盤にテンポを変えられる左利きの選手を加えたい。
高嶺朋樹(柏レイソル)
今季札幌から柏へと移籍したボランチ。運動量多く動き回り、左足からの長短のパスで攻撃を司る。自らも積極的に前線へと進出し、ミドルシュートでゴールを狙うこともあり、またボールハントもガンガン行く積極型の選手だ。構えることの多い柴崎との相性も良さそうだし、潰し屋として佐野の後釜も託せそうな選手だ。
山下優人(いわきFC)
いわきの主将にして中盤のダイナモ。J2でも強度の高いプレーを続け、2年連続で全試合出場を果たした。いわきの選手らしく、フィジカル面で相手と戦うことができるだけでなく、左足から繰り出す長短のパスで展開を動かしていく。セットプレーのキック精度も高く、ボランチが本職だがサイドバックなどサイドをこなすこともできる。
佐藤亮(ザスパクサツ群馬)
群馬の10番を背負う司令塔。元々はゴール前での勝負強さが光るストライカーで、明治大時代は早川や須貝の1つ上の代のキャプテンだった。北九州から移籍した今季は右サイドハーフに固定されており、その左足から多くのチャンスを作り出している。精度の高い左足はもちろん、大外からのドリブルやクロス、さらにはストライカーらしい抜け出しでもゴールに絡むことができるプレイヤーだ。
④ピトゥカ、佐野の後釜となれるレギュラークラスのボランチ
ピトゥカが抜けることがほぼ確定、佐野もいつまでいるかわからないボランチは、鹿島の中で一番充実しているはずのポジションだが、場合によっては一気に手薄になる可能性を孕んでいる。ピトゥカ、佐野がいなくなり、出場機会の少ない選手たちをレンタルに出すと、計算できる選手は柴崎以外に、2列目から樋口、名古を持ってくるしかない状況だ。レギュラークラスの選手は最低でも一枚は確保しておきたい。
高宇洋(アルビレックス新潟)
※12/5にFC東京への移籍が決定
新潟の屋台骨を背負うボランチ。運動量豊富にボックスtoボックスで攻守に顔を出せるのが持ち味で、そのうえで基本技術が高いのが特長だ。ポジショニングがよく、顔を出してボールを受けそれを捌くまでをそつなくこなすことができる。新潟ではキャプテンも務めており、リーダーシップも魅力的だ。今のJ1でトップクラスのボランチの1人と言えるだろう。
鍬先祐弥(V・ファーレン長崎)
長崎の主軸を張るボランチ。東福岡高校出身で、2年生の時には同級生の小田逸稀らと共に選手権優勝を果たしている。どちらかというとアンカータイプで、中盤の底であまり動かずにスペースを的確に埋め、またボールを受けては随所に配球していく。派手さはないが、チームの効率を一つ上に引き上げることのできる、玄人好みのプレーヤーだ。
⑤早川と切磋琢磨できるゴールキーパー
現状の4人がベストバランスではあるのだが、スンテに引退の可能性があり、沖も出場機会を求めて移籍する可能性がある。そうなると、早川とパク・ウィジョンのみになってしまい、山田を岡山から戻しても3人、と頭数が足りなくなってしまう。おそらく、来季も早川が守護神、ウィジョンが未来枠なら、山田と2ndキーパーの座を競い合える存在が欲しいところだ。
武者大夢(アスルクラロ沼津)
中山雅史監督率いる沼津の守護神。沼津では2年連続でレギュラーを確保しており、今季はチームが一時昇格争いに絡むほどの躍進に貢献した。アグレッシブなスタイルのビッグセーバーで、積極的に前に出ていき、反応の速さから繰り出すシュートストップでピンチを救う。フィードも武器で素早い展開で攻撃へと繋げていく。沼津には社長に鹿島で長らく勤めていた高島さんがいるなど、鹿島関連のスタッフも在籍しているため、パイプは構築しやすいだろう。
山口瑠偉(水戸ホーリーホック)
水戸の守護神。フランス人とのハーフで、元々はFC東京の下部組織で育ったがポジションを掴めずに、単身で渡欧。そこから海外でプレーを重ね、水戸に逆輸入で加入したという変わり種だ。恵まれた体格を持ち、ギリギリまでシュートコースを見極めながら素早い反射神経で反応して、ゴールを守る。最終ラインを動かすコーチングも武器の一つだ。年代別の日本代表に選ばれた経歴もあり、早川のポジションを脅かせるだけのポテンシャルを持った選手だ。
⑥レギュラークラスの高くて強いセンターバック
現状の4人に特に不満はないのだが、関川の将来的な海外移籍のことや、昌子の出場機会のことを考えると、万が一の流出があってもおかしくはないポジションである。津久井はまだ試合経験が心許ないし、レンタル組のキム・ミンテは片道切符が濃厚。林もJ1の強度を考えると疑問符は拭えないだけに、主力レベルの選手が1人いてもいいところ。繋ぎの部分も優先させたいが、鹿島のセンターバックとしてまずは空中戦と対人に強くあるべし、という点でリストアップした。
チャン・ミンギュ(FC町田ゼルビア)
J2優勝を果たした町田のレギュラーセンターバック。大卒で千葉に加わり、Jリーグではすでに4年プレーしており、どの年でもレギュラーだ。恵まれたフィジカルを持ち、速くて強くて高いので基本的に対人には滅法強い。また、繋ぎの能力も高く、フィードの質もそこそこあるという総合力の高いセンターバックだ。来季は順当にいけば町田でJ1初挑戦となるが、町田の財力を考えるとさらにレベルの高い選手を獲得にいくかもしれなく、そうなるとチャン・ミンギュの立場は今季のような主力レベルでない可能性が出てくるので、そうした意味では狙っていきたい選手だ。
リカルド・グラッサ(ジュビロ磐田)
磐田のブラジル人センターバックで、金メダルを獲得した東京五輪ブラジル代表のメンバーでもある。彼もまた、センターバックとして総合力に優れており、またスピードがあってカバーエリアが広いのが特長。左利きであり、正確なフィードも持っている。磐田のセンターバックでは一番手であり獲得は難しいかもしれないが、契約が切れるタイミングとのことなので、獲得レースに名乗りを挙げてもいいかもしれない。
リストアップした候補選手たち
遠征費とスタグル代に充てるので、恵んでください