GlobalTechNews(2020/0425-0501)

はじめに

デジタルホワイトボード開発のMiroや文字起こしのOtter.aiなどリモートワーク周辺のサービスは今後伸びる市場として間違いないと思うので、順調に資金調達が行われているなと感じました。そして日本のニュースですが、吉本とUUUMの連携もグローバルで大きいニュースだと感じました。

1.デジタルホワイトボード開発企業Miro(ミロ)がシリーズBで5000万ドルを調達

ニュースの要約

デジタルホワイトボードを提供するMiro(ミロ)がシリーズBで5000万ドルの調達を行ったことをTechcrunchが報道した。

Iconiq Capitalがラウンドをリードし、Accel(アクセル・パートナーズ)のほか多数の個人投資家が参加。Miroによると調達総額は約7500万ドル(約80億円)に達した。同社のエンジェル投資家の中には、バスケットボール選手のSteph Curry(ステフィン・カリー)氏や東欧の投資家として最も多数の投資を手掛けた1人でオランダ在住のBas Godska(バス・ゴドスカ)氏が名を連ねているとのこと

Miro co-founder and CEO Andrey Khusid(アンドレイ・フシド)氏は「はじめからプロダクトコンセプトは、リアルタイムのコラボレーションのためのプロダクトを作るということでした」とTechcrunchに答えている。

他の一般的なツールと統合し、個々のチームや組織のニーズに合わせてベースとなるツールをカスタマイズすることができるようにしているとのこと。顧客にはNetflix、Salesforce、PwC、Spotify、Expedia、Deloitteなどが含まれる
・そして同氏は「パンデミックの影響で何百万人もの人々が自宅で仕事をすることを余儀なくされているため、ビジネスと教育の両方の顧客の間で利用が急増しています。この需要に対応することはエンジニアリングチームにとっての課題でしたが、同社はこれまでに対応してきた」とコメントしている。

ニュースの補足

最近Miroは従業員数300人を突破したばかりとのことです。この新たな資金の流入でさらに雇用数を増やし続けていく予定です。Khusid氏は、製品に対する需要の増加に対応するために、年末までにさらに150人の従業員を確保する予定だということ。

Accel(アクセル・パートナーズ)はSeries Aでの存在感を示していて、Facebook、Slack、DropboxなどにSeries Aの段階で投資実行をしている。
https://www.accel.com/

Iconiq Capital(アイコニック・キャピタルは米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)などシリコンバレーの著名人たちの財産を運用しているファンド。現在は、プライベートエクイティ(PE)投資を積極化している。
https://iconiqcapital.com/

2.UUUM社が吉本興業株式会社のMCN運営権の一部譲受および業務提携

ニュースの要約

UUUMが2020年4月28日開催の取締役会において、吉本興業株式会社が持つMCN(マルチチャンネルネットワーク)運営権の一部譲受および同社との業務提携契約を締結することを決議したことを発表した。

MCNとは、複数のYouTubeチャンネルと提携し、デジタル著作権管理、収益化、タイアップ広告営業などを含むサービスを提供する事業のこと。つまりUUUMのMCNヘ吉本タレントが移管するということ。

業務提携の背景としては、従来マスメディアで活躍してきた吉本興業のタレントが YouTube チャンネルを開設するケースが増えるなど、デジタルシフトが加速しており、一方、従来インターネットを主戦場としてきた YouTube クリエイターがマスメディアに出演する機会も増えていることから、マスメディア領域において強みを持つ吉本興業と、デジタル領域において強みを持つUUUMが協業することにより、お互いのタレントやクリエイターの価値向上を図ることができると考えたからとのこと。

今後、吉本興業が専属マネジメント契約を締結するタレントのYouTubeチャンネルに関連する、アドセンス収益やタイアップ収益等が当社売上に寄与する見込み。一方、費用面では吉本興業へのレベニューシェアや、運営権の一部譲受に伴う無形固定資産の償却が発生する見込みとのこと。

ニュースの補足

コラボ第1弾として、人気YouTuber「HIKAKIN」と吉本興業所属の人気YouTuber「カジサック」が共演する動画を4月28日午後6時に公開されました。このようにマスメディアのポジションがYoutubeへ移り変わっていることが浮き彫りになる提携だと思います。現状として明らかにインターネット基盤のメディアが強いです。今後どのように両社がコラボレーションしていくのか非常に楽しみなところです。

3.教育スタートアップBonsaiが150万ドルの資金調達

ニュースの要約

学生や若い専門家と専門分野のメンターを仮想的にペアリングする新しいオンラインプラットフォーム「Bonsai」が、150万ドルの資金調達を受けてサービス開始するとTechcrunchが報道した。

プレシードラウンドとして、資金調達はグーグル、フェイスブック、コロンビア大学を含むエンジェルのネットワークから行われた。

BonsaiのCEOであるPatrick Sullivan(パトリック・サリバン)氏は「就活の根本的な問題は内定の有無ではなく、民主化されて誰もが就活にアクセスできるようになったからだと感じています。民主化されていたとしても、就活生は適切な情報や指導を受けて企業ネットワークにアクセスできなければ、その求人のエントリーポイントには絶対にひびくことはできません。 特にGoogleのような会社に就職したければ、科学的に設計された面接プロセスを乗り越えなければなりません」とTechcrunchの取材に対して答えている。

Bonsaiは今のところゆっくりと規模を拡大していくことを目指していて、プラットフォームに登録された学生や若い専門家が適切なネットワークとマッチするようにしているとのこと。

そしてBonsaiチームはこれまでに100回以上のバーチャルミーティングをファシリテートしてきていて、アフィリエイト・コミッションサービス販売に関して大学と協議中とのことだ。

ニュースの補足

このスタートアップの創設者でありCEOのパトリック・サリバンは、以前に2つのIPマネジメントのスタートアップを設立しており、そのうちの1つはGoogleに、もう1つはFacebookに売却しています。

今回のグーグルとフェイスブックからの資金調達も過去の資産から成り立つものだと考えられます。

YouTubeが買収したのは、RightsFlow社(2011年)
https://techcrunch.com/2011/12/09/youtube-acquires-music-licensing-and-payments-platform-rightsflow/

Facebookが買収したのは、Source3社
https://techcrunch.com/2017/07/24/facebook-source3/

4.マネーツリーがシリーズCラウンドとしてフィデリティ・インターナショナル運営のファンドから第三者割当増資を発表

ニュースの要約

マネーツリー株式会社がフィデリティ・インターナショナルが運用するファンドを含む第三者割当増資により、資金調達を実施したことを発表。

この調達はシリーズCラウンドで、三菱UFJイノベーション・パートナーズ、ソニーフィナンシャルベンチャーズ、NTTデータとの資本提携などを行ってきた。

本資金調達に対して、マネーツリー株式会社代表取締役ポールチャップマンは「現在、世界中が未曾有の状況に瀕し、企業を始めとした様々な経済環境において不安定な時期が続いています。そのような中、今回の資金調達は今後の当社のビジネスにおける成長と、経済への貢献を期待されているものと理解し、身の引き締まる思いでいます。当社は2012年の創業以来、人・企業と金融機関の距離を縮め、個人の金融健全性を上げることをミッションとし、個人向け、企業向けに金融データプラットフォームを提供してまいりました。今後も引き続き、プライバシーおよびセキュリティを重視し、より人々に信頼される金融データプラットフォームの構築を目指し、事業の拡大に注力してまいります」とコメントしている。

ニュースの補足
マネーツリーは2012年に日本で創業し、2013年より金融資産を一元管理できる個人資産管理サービス「Moneytree」を提供しています。2015年より企業向けの金融データプラットフォーム「MT LINK」の提供を開始し、金融・会計業界の標準APIとして認知され、2017年にはオーストラリア市場へ進出しました。

米国セールスフォース・ドットコム、三大メガバンク系ファンド、SBIインベストメント、地域金融機関系ベンチャーキャピタル、海外大手運用会社から出資を受ける。人々に信頼されるデータプラットフォームの構築を目指しています。

5.Otter.aiがZOOMと統合し「ライブビデオ会議メモ」サービスを提供開始

ニュースの要約

リアルタイムで音声から文字起こしをするサービスのOtter.aiがZoomと統合して「ライブビデオ会議メモ」を提供開始したとTechcrunchが報道した。

この機能を利用するには、Otter for TeamsとZoom Pro以上のサブスクリプションが必要で、会議を主催するのに必要なOtter for Teamsのサブスクリプションは、1ユーザー、1カ月あたり20ドル(約2100円)、最低3ユーザーからで、支払いは1年分となるとのこと。

Otter.aiの創業者でCEOのSam Liang(サム・リアン)氏によると「Zoom会議でのOtterの利用はここ数週間で5倍以上になり、リモートワーカーや在宅学習をしている学生のサインアップが増えている」とTechcrunchにコメントしている。

ニュースの補足

Techcrunchによると、Otter.aiは2020年1月に新たな戦略的投資家のNTTドコモから1000万ドル(約10億6900万円)を調達したとのことです。そして同社はこれまでにFusion Fund、GGV Capital、Draper Dragon Fund、Duke University Innovation Fund、Harris Barton Asset Management、Slow Ventures、Horizons Venturesなどから2300万ドル(約24億5800万円)を調達しています。

ぼくも愛用しているサービスで、他の文字起こしサービスと精度と利便性が段違いです。

最後に

今週1週間も注目ニュースをまとめました。コメントなどいただけると嬉しいです。ラジオでも放送しています。


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