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サカエダさんとリンの留守番の事

6月22日
 僕の散歩の習慣も、定着してきたようだ。小雨が降っていたので今朝は一人で公園を一周して終わりにしておく。
 帰宅してから、子犬のリンに人肌に温めた犬用の牛乳と子犬用のドッグフードを用意して、自分も朝食を摂る。
 サカエダさんとリンは相性が良いらしく、昔から一緒にいたような雰囲気さえ感じる。
 カンダさんから教わったように、別室にリンのドッグフードと飲み水を用意して、サカエダさんにお昼頃にこの部屋にリンを連れて来てもらえるだろうかと言ってみると、サカエダさんはにこにこと頷いているが、相変わらず何も言わない。

 会社でヨネヤに礼を言われた。
 僕はいっこうに構わないので気にするなと言ったら、ヨネヤはチカコさんと仲直りできたと報告してくれた。
 子犬は元気かと言うので、とても元気だと答えると自分の事のように嬉しそうな顔をした。
また子犬を見に行きたいと言うので、いつでも大丈夫だと返事をした。
 そういえば、ヨネヤは犬が好きだが今住んでいるマンションでは飼えないのだと以前言っていたのを思い出した。
 サカエダさんに頼んでは来たものの、どこまで任せて大丈夫な存在なのか分からない。残業はせずにまっすぐ帰宅する。

 家に帰ると、リンがすっかりトイレをおぼえていたので驚いた。早速リンの柵を外してやる。
 サカエダさんは、それを横目に窓際で外を眺めていた。きっと、サカエダさんが教えてくれたのだろう。
 台風が近づいてきているとニュースで言っていた。霧雨が降っているので、窓は閉めたままだ。時折強く吹く風に、風鈴がくぐもった音を立てていた。

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