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海辺の食堂
ヤヌさんと海へ行くことになり、気乗りはしなかったがだましだまし海へ行く。
海へついたら曇っていて、空も海も鉛みたいな色だった。
ヤヌさんがクラゲを捕まえて、それを両手に持って踊っている。大海原を渡って来た風が、野暮ったい風体のヤヌさんを劇的に煽り、得体の知れない迫力をヤヌさんに与えている。帰ろうと言っても聞かない。
仕方なく待っている間、空腹だったので閉店していた海辺の食堂の厨房を勝手に借りて料理をしていたら、通り掛かった人が勘違いして店に入って来て料理を注文する。
腹が減ったんだと悲しそうに呟いているので言われた通りのものを作って出すと、すぐに平らげて勝手に代金を払って帰って行った。
浜ではまだヤヌさんが踊っている。
もう一度帰ろうとヤヌさんに声を掛けたがまったく聞いていない。
そんなことをしているうちに、食堂に勘違いした客がぞろぞろやってきて食堂は大繁盛となり、結局空腹なまま料理を作り続けるはめになる。
ところでヤヌさんはまだ踊っている。
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