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風鈴の事

7月5日
 早朝、また雀が庭に集まっている。
 リンが気にしているが、別に悪さをしている様子もないので放っておくことにする。
 散歩から戻り、座敷の窓から覗くともういなくなっていた。

 会社からの帰り、駅前に托鉢僧が立っているのを見かけた。
 聞くところによると、駅前や通りに立っている托鉢僧はほとんどが偽物だという。正常な托鉢というのは大切な修行の一環であり、鉢を手に地方の都市などを巡回して米や金銭などの施しを受けるのが本来の形なのだそうだ。
 それが都心の一定の場所に立ちっぱなしというのはおかしいのだと、京都で生まれ育った友人のキスミが話してくれたことがある。
 事の真偽はともかくとしても、暑い中大変なことだとは思う。

 窓を開け、居間で夕飯を食べていると、涼しい風が通り抜けて風鈴を鳴らした。
 リンもサカエダさんもこの音が好きなようで、こうしてふと音が鳴った時は風鈴の方に目を向ける。音が見えるわけでもないが、暑かった昼間の熱気がすっと取り払われ、気分も清浄になる。
 昨日、遊びに来た妹も言っていたが、本当に良い風鈴だと思う。

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