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電車での事

8月2日
 朝、出勤の電車で小学生の一団と乗り合わせた。座席は埋まっていたので、ドアの脇に立って壁に寄り掛かって車内の吊り広告を眺め、それから車内全体をなんとなく眺める。
 小学生は男の子四人、女の子五人の集団だった。はじめは男女に分かれて七人掛けの座席に、向かい合わせで離れて座っていたので気がつかなかったが、時間を確認しあっているのでそうと分かった。
 夏休みに出た宿題のためか、それとも遊びに行くのかも知れない。
 男の子たちの方は、携帯ゲーム機をいじりながら、攻略の話題で控え目に盛り上がっている。
 女の子たちの方は、二人ずつ内緒話でもするように、小さな声で会話しているようだった。時々話し相手が入れ変わったりする。

 そのうちの一人、女の子のグループの右端に座っている白いワンピースを着た女の子と目が合った。
 女の子は屈託なくにっこり笑うと、すぐに視線をグループの方に戻して、友達の話に耳を傾けているようだった。

 会社の最寄り駅で電車を降りると、後から電車を降りて来た彼らが、元気に走って僕を抜かして行く。
 一人、二人三人、四人、五人六人、七人、八人……おや? と思って振り返る。女の子は五人いなかっただろうか。後ろに子供の姿はない。
 電車はホームを滑り出すところだった。
 前に向き直ると、階段をはしゃぎ声が下って行く。たぶん、僕が数え間違えたのだろう。

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