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住まい探しと定期借家契約

自宅の賃貸借契約が年内までなので、いま次の住まい探しをしています。このご時世ですので郊外の物件も検討に含めているため、少し難航していますが、もともと賃貸マンション派であり、引っ越しには慣れています。

都心の賃貸物件とは面白いもので、賃料がとても厳密に計算されているのか、相場がかなりはっきりと形成されています。なので、慣れてくると住所と平米数でほとんど賃料が予想できるようになります。相場より安い場合は、築年数や、なにかしらのデメリットがあるものなのです。


やけに賃料が安いなと思ったら・・・

今回多く遭遇したのが、リフォーム済みでキレイな内装&十分な間取りと平米数、なのに相場より数万円安い賃貸マンションです。一瞬掘り出し物かな? と喜ぶのですが、そうではありません。こちらも慣れているので「なにか理由があるに違いない」と察しがつくわけです。よくみると案の定、定期賃貸借で期間がかなり短い(たとえば半年間だけの賃貸)物件ということがよくあります。せっかく引っ越しても半年とかでまた退去しなければならないので、賃料が安く設定されているのです。

もちろん定期賃貸借契約は、期間が短いという意味ではなく、一般的には2年とか3年というのが多いです。ただ、たまに数か月の定期賃貸借も存在し、賃料が安く設定されていたりするのです。


定期賃貸借とは?

いい機会なので今後も普及が見込まれる「定期賃貸借契約」のポイントをまとめます。これから住まいを借りる方も、貸したいオーナーさんも参考になると思います。

定期賃貸借とはその名の通り、期間を決めて不動産を賃貸借する契約です。つまり、更新がないということ。借りた人は契約が終了すると、たとえ住み続けたいと思っても退去せざるを得ません。


定期賃貸借契約の要点まとめ

このようにちょっと特殊な賃貸借契約なので、普通の賃貸借とは異なるルールがあります。流れにそってポイントを説明しますと、

①事前説明文書の交付と説明をしなければならない
定期借家契約の締結には、オーナー(貸主)さんは僕ら(借主)に対して、契約の期間を明確に定めなければならない上、「この賃貸借は更新がなく、期間の満了により終了します」ということを、契約書とは別の書面を作成して説明する義務があります(借地借家法第38条第2 項)。もし文書での説明を忘れてしまったら、あとで僕ら借主から「そんなの聞いてなかったよ」といわれてしまったらアウトです。
②必ず書面で契約する必要がある
説明する義務に加えて、定期賃貸借契約は、必ず契約書を作成する義務もあります(借地借家法38条第1 項)。本来契約は自由に締結方法を決められるはず(契約自由の原則)なのですが、これはその例外として、書面作成が必須となります。有効に定期賃貸借契約を締結するためには、書面にしなければだめということです。
③契約の終了を通知する必要がある
さらに注意点として、僕ら借主にたいして、オーナー(貸主)さんは、定期賃貸借契約の期間が1 年以上の場合は、期間満了の1 年前から6 ヶ月前までの間に「期間満了により賃貸借契約が終了します」という終了通知をする必要があります(借地借家法第38条第4 項)。これをうっかり忘れていると、期日に終了を主張できなくなりますので注意が必要です。

まあたとえ忘れていた場合でも、気を取り直してすぐに通知をすれば、その通知後6 ヶ月が経過した時点で賃貸借契約は終了します。忘れていた分、時間がかかってしまうことになりますね。

このように書面の作成や説明、通知と、オーナーさん側にちょっとした「手間」がかかるようになっているのは、定期賃貸借契約は契約の期間満了によって「確定的に契約が終了」してしまう契約だからです(契約の終了に関して、正当事由の有無は問われません)。

終了通知の例
                      令和○年○月○日

         定期賃貸住宅契約終了について

(賃借人) 住所
     氏名 ○ ○ ○ ○  殿
(賃貸人) 住所           
     氏名 ○ ○ ○ ○  印

 賃借されている下記住宅については、令和 年 月 日に期間の満了により賃貸借が終了します。
               記
(1) 住宅
  所在地 
  名称  
(2) 契約期間
(始期) 年 月 日から(終期) 年 月 日の 年 月間

(連絡先)


僕ら借主にとっては不利というか、相当気を付けていないと、住む家を追い出されてしまうわけですから、何重にも注意喚起して保護してやろうということです。

④借主からは中途解約ができる場合がある
僕ら借主が、契約期間の途中で解約したくなった場合、定期賃貸借でもそれはできるのでしょうか? 定期だから、2年なら2年間借りなければならない気もしますが、これについては規定があります。居住用の建物において200平米未満のものについては、転勤や療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により建物の借主が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、期間の途中で解約することが認められているのです。

ようするに住居で200平米未満の物件なら、借主は原則として中途解約できます。200平米というとかなりの広さなので、居住用のマンションなどはほとんど当てはまると思います。この場合には、借主からの一方的な意思表示により、1 ヶ月の猶予期間をおいて契約を終了させることができます。ちなみにこのルールは「強行規定」といわれており、もし契約書に「借主が中途解約できない」などと書いても無効です。


それではもうすこし、物件探しを頑張ります。
都心部に居座るか、郊外に足を延ばすか、考え中です。


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