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契約書の基礎固め #10 仕上げは一晩寝かせてから

契約書の「基礎」を確認するための記事です。契約書についてこれから詳しくなりたい方はぜひ読んでください。重要なポイントが「一気に」学べます。

契約書の基礎を短時間で身につけたい人のために

「どこから学べばよいかわからない」「契約書がチェックできるようになりたいけど、読んで何が分かればいいのかもわからない」

といった疑問にこたえます。

本記事の内容

・基礎固めの最後に、契約書の仕上げ方について

基礎固めシリーズはひとまずラストにするので、最後は仕上げ方についてです。契約書をつくるとき、どうやって仕上げていくのかを解説します。

まず、契約書は取引の関係者に話を聞いて、下書きをし、それを修正することで仕上げていきます。書式があればいきなり完成するわけではなくて、通常は当事者の要望や交渉の結果を反映するために、ヒアリングをしてから下書きにはいるのです。

ヒアリングでミスしないために

ヒアリングは、ひたすら聞くわけですが、やはり契約書作成の都合上「こちらからも質問させて」もらう面もあるし、もっといえば契約で問題になりやすい事項について「これも決めておいた方がいいですよ」といった、アドバイスも差し上げることがあります。つまりかなり主体的な、積極的な姿勢を隠し持ちながら聞くということであり、そう考えるとヒアリングの時点で作成ははじまっているともいえます。

また、過不足なく質問するために事前準備も重要です。まず事前にわかること、聞かなくても調べられることなどは全部しらべておくことです。それは当事者についてもそうですし、あらかじめどんな契約をするのかわかっている場合は契約自体についても調べます。

それからできれば「書式」をいくつか選んでおきましょう。選んだら、その書式にある一般的な条項を抜き出したメモを作成しておくと、そのままヒアリングの際のメモとして役立ちます。これをやっておくと聞き逃しを減らせるので、おすすめしたいやりかたです。

スムーズに作成にとりかかるには

作成に移ったら、とりあえずドラフトといって下書きをします。下書きはヒアリングの当日がよいでしょう。そのほうが記憶も新しいでしょうし、ひとまず取り掛かってしまうことで後の作業にはずみがつきます。私の場合は、下書きはヒアリングの当日、それも「1時間だけ」と時間を区切ってやることにしています。最初から完璧な下書きをつくるのは無理があるし、時間も決めることで(つまり完璧でなくて良いと言い聞かせることで)、取り掛かりのハードルを極力低くするためです。

そのようにして取り掛かった下書きのファイルを、翌日にあらためて見直して、いよいよ修正をしていきます。

仕上げ方のコツは一晩おくこと

修正ができたら、何度か読みなおしたり、当然ながら当事者に送って、確認してもらったりします。そうこうするうちに、やはりヒアリングの当初は気がつかなかった事項や、そこから当事者間で話し合いがすすんで、新たに追加すべきことがでてくるなどします。再び、それを加除修正していきます。

ここがかなり地味な作業で、体力勝負というか、じっと耐える時間帯になります。うまくいえませんが、あまり感情を動かさず淡々とやる感じです。せっかく緻密に組み上げても、あっさり変更になるなども日常茶飯事ですので、正直残念な気分になったりもします。しかしそういうものでもあるのです。自分なりにリフレッシュしながらやりましょう。

コツとしては、作業する日を分割していくと良いです。つまり、今日つくった契約書があったとして、あとすこし頑張れば今日中に仕上げられるとしても、あえて仕上げは翌日に伸ばすのです。スケジュールがタイトなときは使えない手かもしれませんが、むしろタイトな時ほどこういうちょっとした余裕を挟むことが契約書のクオリティを維持してくれます。

一気に仕上げるのではなく、あえて翌日にする。いわば「一晩寝かす」わけです。こうするとなぜか、思ってもみなかったところに誤字をみつけられたり、良い条項案が浮かんだり、とにかくなにかしら良いことがあります。

まとめ

基礎固めが全部理解できたら、契約書の予備知識は身についています。

入門編おつかれさまでした。


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