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支払条項の書き方がわかる文例まとめ

契約書では、やっぱりお金に関する規定はとても重要です。売主にとっては「いくら売り上げられる」のか、買主にとっては「いくら支払う」のかが、お互いに最も関心の高い項目となります。

そこで、支払条項のバリエーションと文例をまとめます。これにより、最適な支払条項が簡単につくれるようになるでしょう。


支払条項の構造

支払条項の構造は「価格」と「支払方法」です。「いくら」を「どのように」支払うかが記載されます。


支払条項 = 価格(いくらなのか) × 支払方法(銀行振込など)


固定料金の場合は比較的簡単です。価格が固定されていますから、具体的な金額を書くことができるから間違えようがありません。しかし、従量課金とか売上に対するパーセンテージとかで価格が決まる場合もあります。そこでパターンごとの条文例を挙げます。


単純にいくら支払うかわかっている場合は値段を書く

第○条(支払)
乙は、○○製品に対する対価として、○年○月末日までに○○円を甲が指定する銀行口座に振込送金の方法によって支払うものとする。なお、振込手数料は乙の負担とする。

単純に代金が決まっていれば、支払条項もシンプルです。これが基本形ですね。支払方法は銀行振込であり、振込む側が手数料を負担するかたちです。こちらも標準的なパターンです。


月額料金の場合は月額と書く

第○条(支払)
 乙は、○○サービスに対する対価として、毎月月末までに月額○○円を甲が指定する銀行口座に振込送金の方法によって支払うものとする。なお、振込手数料は乙の負担とする。
2 前項の対価の計算は、月の初日から末日までを 1 月分として計算し、乙による○○サービスを利用可能な期間が月の一部であった場合、対価は利用した期間の日割り計算によるものとする。

サービスの支払が月額ということもあると思います。そこで、毎月の金額が5万円と決まっている(固定料金)なら、「月額5万円」として、その金額を記載することにより毎月支払う旨を規定します。注意点としては必ず、月の途中で利用を開始した場合などの計算方法を規定します。


じゃあ月額で、従量課金の場合はどう書けばいいのか?

上記は、月額でも料金が固定(毎月5万円)でしたが、従量制として、毎月使った分だけ支払うこともあり得ます。その場合はどういう文言になるのでしょうか? 

この場合は先に最小単位を決めて基準をつくっておきます。つまり別紙に単位を決めておいて、1単位あたりいくら、と判断できるようにします。そして誰がその計算をするかなども、事前に決めておく必要があります。

第○条(支払)
 乙は、○○の対価として、甲に対し、別紙の1単位あたり月額○○円を支払うものとする。
2 甲は、毎月月末に乙が利用している単位数を集計し、その単位数に応じた対価を翌月○○日までに乙に書面で通知する。
3 乙は、本契約期間中、第 1 項に定める金額に消費税額および地方消費税額を加算した金額を、前項の通知を受領した日が属する月の末日までに甲が指定する銀行口座に振込送金の方法によって支払うものとする。なお、振込手数料は乙の負担とする。

売上の一部を対価とする場合は割合%を書く

料金が最初に設定されず、売上があがったらそれに応じて支払う、という決め方もあります。売上の一割をもらうという契約なら、それをいつどのように計算するのかを、規定することとなります。以下は、売上報告をさせたうえでその売り上げの一定の割合を支払わせる内容の条文例です。

第○条(支払)
 乙は、本契約の有効期間中、各計算期間(4 月 1 日~翌年 3 月 31 日とする。)における○○サービスによって生じた売上金額に関する報告書を作成し、当該計算期間終了後 ○○ 日以内に、甲に対し提出するものとする。
2 乙は、○○によって生じた売上金額の○○%を、本契約の対価として、前項の報告書を提出した日の翌月末日までに、甲が指定する銀行口座に振込送金の方法によって支払うものとする。なお、振込手数料は乙の負担とする。
3 乙は、第 1 項にいう報告書に記載する事項に関しては適正な帳簿を備えるものとし、これを本契約の有効期間中、保存・保管するものとする。甲またはその代理人は必要に応じて当該帳簿を閲覧および検査することができる。


バリエーションを知っていると楽に書けます

以上のように支払には、単純にスポットで支払う場合と、月額の場合、あとは売れた分だけとかの単位や割合に従ってその都度計算される場合があります。いろんなパターンがあることと、それぞれの規定の一般的な表現が分かっていると作成もチェックも楽になります。

さらに実際のビジネスでは「固定金額」と「従量金額」が組み合わさることがあります。この場合は上記の文例をまねて、文章の組み合わせで表現してもいいのですが、すこし読んでいてもよくわからなくなってきます。いっそのこと料金を表にまとめてしまい、「以下によって計算される」としてまとめてしまうのも手です。

支払条項も分かりやすいのが一番ですね。
以上、少しでも起案に役立つと幸いです。


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