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債務の条件変更をする契約書をつくってみよう!【ひな形と解説】

取引関係にある相手から、期日に支払いがなかったり、相手にお金を貸していたけれど返してくれないとき「あらためて条件変更して仕切り直しましょう。その代わりちゃんと払ってね。」というシチュエーションがあります。このときに使う契約書をつくってみましょう。

契約書で債務をまとめて条件変更しよう

売掛金や貸金は、その債務が複雑になることがあります。たとえば相手と何度も貸し借りを繰り返しているうちに、どれがいつの分のだったのか、いったいいつまでにどれだけ返すのだかわからなくなった、という状況が考えられます。あるいは月額の契約の代金が払われず、遅延損害金がの計算が複雑になることもあります。

私の経験でいうと、ある会社が、Webやシステムの受託制作をやっていて、毎月一定額の代金が支払われるはずであるところ、クライアントからの支払が滞りがちになり、半年ほどで数千万規模の未払いになったことがありました。毎月の請求書を全部ひろって、それぞれに延滞金を計算していると複雑になります。これは、ようするに相手にお金を貸しているのと同じ状態になったわけなので「一通の借用書にまとめてしおう」ということをやりました。これが、準消費貸借契約です。

ポイントはもとの契約の情報をくわしく書くこと


もともとあった債務について、期日などを変更しようという契約なので、その債務がいくらで、いつ生じたか、どういう理由で生じたかがわかるように書くことが最大のポイントです。そのうえで、どの条件を変更するのか(期日を伸ばすとか、分割にするとか、です。)ゼロから書くのは大変なので、ひな形を用意しておきました。

コピーして、活用してください。

準消費貸借契約書のひな形(債務の条件変更)

             準消費貸借契約書

〇〇〇〇(以下「乙」という。)は、〇〇〇〇(以下「甲」という。)に対して、令和〇〇年〇〇月〇〇日締結の〇〇〇〇契約(以下「原契約」という。)に基づき、乙が甲に対して負担している債務及びこれに付帯する一切の債務に関して、次のとおり準消費貸借契約を締結した。

(既存債権の確認)
第1条 乙は、原契約に基づき、甲に対する代金支払債務が、本日現在、〇〇〇万円存在することを確認する。

(準消費貸借)
第2条 甲乙は、本日、乙の甲に対する前条の債務を乙の借入金とすることに合意し、甲は、乙に対し前条の金額を元本とする貸付債権を有するものとする。

(弁済の条件)
第3条 乙は、前条の金員について、以下のとおり返済することを誓約した。
(1)元金
令和〇年○月から令和〇年○月まで、毎月末日限り、月額〇〇〇〇円を支払う。
(2)利息
利息は年〇パーセント(年365日日割計算)とし、令和〇年○月から支払済みまで毎月末日限り、経過分を元金に付して支払う。
(3)支払方法
甲の指定する口座に振り込む方法により支払う。尚、振込手数料は乙の負担とする。
2 乙が前項の分割金又は利息の支払を2回分以上怠ったときは、乙は前項の期限の利息を当然に喪失し、甲に対し残額を直ちに弁済する。
3 遅延損害金は年○.○パーセントとする。

(費用負担)
第4条 本契約書作成に関する費用は、甲乙折半して負担する。

(原契約の適用)
第5条 本契約に別段の定めのあるもののほかは、すべて原契約の各条項が適用されることを確認する。

(管轄の合意)
第6条 甲および乙は、本契約に関し紛争を生じたときは、その第一審裁判所を○○地方裁判所とすることに合意した。
 
本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙署名押印のうえ各自その1通を保有する。

令和〇〇年〇〇月○○日

甲(住所)
○○○○

乙(住所)
○○○○


■弁済条件のバリエーション

ほとんどひな形通りで大丈夫ですが、実際に変更する条件は、ケースバイケースです。そこで、考えられるバリエーションを書いておきます。たとえば、とにかく分割で返してくれるように変更する場合の記載例はもう少しシンプルで、3条の部分が

乙は、甲に対し、前条の金員について〇〇〇〇円を令和〇〇年〇〇月から令和〇〇年〇〇月まで〇〇回に分割して、毎月月末までに金〇〇〇〇円を甲に送金して弁済する。

となります。また、もともとが借用書だったりして、期限だけを変更する場合は、

原契約上、弁済期日が令和〇〇年〇〇月〇〇日とあるところ、令和〇〇年〇〇月〇〇日と変更する。

と、期日だけを変更すると書きます。また、原契約に連帯保証人がついている場合は、念のため条文を追加しましょう。変更した契約にも連帯保証人を有効にするためです。

■原契約に連帯保証人がある場合の追加条文例



(連帯保証)
第〇条 原契約の連帯保証人丙は、本契約を承諾し、引き続き連帯保証人として乙と連帯し債務履行の責めを負う。


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