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同僚から「”代理店”契約書のひな形ってないですか?」と聞かれたら【ひな形/Wordで無料ダウンロード可能】

あなたが後輩や同僚から、”代理店”契約書のひな形ってない? と聞かれた際の、理想的な回答例とひな形を提案します。


おつかれさま! 

代理店契約書をつくりたいんだって?

じゃあ、以下に、一般的な代理店契約書のポイントについて説明するね。

代理店で販路拡大!?

代理店契約の目的は、あたりまえだけど販路拡大だよね。代理店というとなにか難しく感じるけど、一種の業務委託と考えたらどうかな。必要以上に複雑な契約書にしないように、誰が読んでも十分理解できる内容にしたいね。

それで、よく確認せずに「代理店」っていってしまったけど、このタイトルに結構迷う人もいるんだ。
というのは、一般的に「代理店契約」といえば、商品を販売している事業者が、別の事業者に「代理店」になってもらって、その商品の販売を委託する契約のことを指しているんだけど、同じことを「販売店」といったり「販売代理店」といったりすることがある。

じゃあ、今回はなんていうタイトルにすべきなのかって? うーん、実は僕も昔は、そういう厳密な定義にこだわっていたんだけど、あるときそれって無意味だと気が付いたんだよね。
だって、いくら自分がタイトルにこだわったところで現実の社会ではいろんな呼称が通用してるわけでさ。もちろん、買い取った商品を再販する場合は販売店、みたいな定義は一応あります。ただ正直言って、代理店といおうが、販売店と言おうが、販売代理店、特約店、特約販売店・・・など、まだまだたくさんあるんだけど、そういう呼び方はどうでもいいんじゃないかな。あくまでも大切なのは契約の中身。だからここでは「代理店契約」で説明していくね。後で好きな名前に変えてもらって構わないよ。

一般的な注意点

お金の流れに着目!
契約書のタイトルなんて、小さな問題といっていいくらいで、経験上この手の契約で一番迷うところは、お金の流れだよ。つまり、代理店さんが商品を販売してくれたとして、その代金はどうやって回収するのか? そして代理店さんには手数料を支払うわけだけど、その計算方法や支払方法だね。

ひとつの例をいえば、まず代理店さんが商品を顧客に売ってくれるわけだから、顧客からの代金も、ひとまず代理店さんに預かってもらう、というやり方がある。

この場合、手数料分は代理店さんに差し引いてもらい、その残額を売主に送金してもらうかたちになるだろうね。ここでどうしても、代金回収リスクは生じてしまう。ここは保証金をあずかるなどでリスクヘッジしていくしかないけど・・・ちょっとこの話は長くなってしまうし、絶対的な正解のない部分だから、また今度話しましょう。

ひとまず基本的なことを、先に伝えてしまうね。

検討のポイント
代理店さんには、売主の商品を代わりに売ってもらうわけだけど、もうひとつの悩みどころは配置戦略。というのも、売主にとっては、代理店は多ければいいというものではないんだよね。管理コストも考えると、実力のある、適度な数の代理店さんに力を発揮してもらえるのが理想。どうやってその状態をつくるかだけど、販売エリアを絞るかどうか、販売数のノルマを設定するかどうか、手数料に差をつけるかどうか、などが、検討のポイントになるね。

つまり 売主(製造元やサービス提供元)としては、もし代理店を大量に募る場合は、代理店ごとに担当できる販売エリアを区切る戦略をとることもある。エリアを限定することで、競争を避けるためだね。でも常にこの考え方が妥当なわけじゃなくって、むしろ競わせるパターンもあるし、力量をよく考えて配置しないと逆に特定のエリアが手薄になって、チャンスロスになる可能性もある。代理店さんの販売力に応じたエリア戦略にしないと、メリットは少ないから難しいんだよね。

それから代理店の販売目標という点。 売主は、代理店に一定の販売目標や販売計画の達成を求めるものだし、それを契約内容にすることもあるよ。やっぱり販売成績の良い代理店に残ってほしいから、あんまり販売数が伸びなかった場合は、「一定の条件を下回ったら契約を更新しない」ということもあり得る。逆に、成績の良い代理店には手数料率の増加などのインセンティブを与えたりすることもある。ともあれ、これもケースバイケースの話だから、今はポイントだけおさえておくだけで十分だと思うよ。


以上が、代理店契約書についての基本的なことだよ。何かわからないことがあったら、気軽に聞いてね。

え? 「いいからひな形をくれ」だって?


・・・そういうと思って、用意してあるよ。

Wordでもダウンロードできるようにしておくから、ちょっとでも参考になればいいな。

            代理店契約書

株式会社○○○○(以下「甲」という。)と、株式会社○○○○(以下「乙」という。)は、甲の商品の販売につき、以下のとおり、代理店契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的)
甲は、乙に対し、別紙記載の商品(以下「本件商品」という。)を販売する代理権を付与し、甲の代理人として本件商品を第三者に販売することを委託(以下「委託業務」という。)し、乙はこれを受託する。

第2条(販売の方法)
乙は、甲の指定する売買契約書をもって、乙が甲の代理人であることを表示したうえ、本契約に基づき、本件商品を第三者に販売する。
2 乙は、前項に定めるほか、本件商品を第三者に販売するに当たり、甲から販売方法等の指示があったときは、これを遵守しなければならない。
3 本件商品の買主に対する引渡しは、甲が行うものとする。ただし甲は、乙に本件商品を交付して、乙において買主に対して本件商品の引渡しをさせることができるものとする。

第3条(通知義務)
乙は、第三者と本件商品について売買契約を締結したときは、甲の指定する書式によりその内容を直ちに甲へ通知するとともに、あらかじめ指定された方法により甲へ売買契約書を送付する。
2 乙は、前項に定める通知又は売買契約書の送付がされなかったことにより、甲に損害を与えた場合には、その損害を賠償する義務を負う。

第4条(販売代金の代理回収)
乙は、甲の代理人として、乙が第三者に販売した本件商品の代金(以下「販売代金」という。)を受領する。

第5条(販売手数料)
甲は、乙に対し、販売代金の〇パーセント相当額を販売手数料として支払う。
2 乙は、毎月〇日までに、前月中に販売した本件商品の販売代金の総額から、前項により算定された販売手数料を控除した残額を、甲の指定する銀行預金口座に振り込んで支払う。なお、振込手数料は乙の負担とする。
3 委託業務に要する旅費交通費、通信費その他一切の諸費用は、別途明確に定めた場合を除き、乙の負担とする。

第6条(販売価格)
本件商品の販売価格は、甲が指定するものとし、乙は、甲の承諾なくこれを変更してはならない。

第7条(販売地域)
乙は、主として〇〇県内(以下「本件販売地域」という。)において、積極的に本件商品の販売活動を行うものとする。

第8条(保証金)
乙は、あらかじめ本契約に係る乙の債務を担保するため、金〇〇万円の保証金を甲に預託するものとする。
2 前項の保証金には利息を付さないものとし、甲は、本契約終了時に、乙の甲に対する一切の債務額を控除した残額を乙に返還するものとする。

第9条(非独占等)
甲は、乙以外の第三者を、本件商品の代理店として指定することができる。
2 甲は、本件販売地域においては、自ら本件商品を販売せず、かつ、乙以外の販売業者を積極的に代理店として指定しない。

第10条(競合品の取り扱いの禁止)
乙は、本契約の有効期間中、本件販売地域において、本件商品と類似又は競合する商品を製造、販売、販売の代理をすることはできない。ただし、本契約締結時点において既に取り扱っている商品、又は別途書面により甲の承諾を得ている商品についてはこの限りでない。

第11条(販売目標)
 乙は、本件商品を1事業年度あたり○○個販売することを目標とするものとする。
2 乙が前項の目標を達成できないとき、もしくは達成できないことが明らかになったときは、甲は、乙の代理店としての地位を喪失させることができるものとする。

第12条(商標)
 甲は乙に対し、本件商品の販売のために、別紙記載の甲の商標(以下「本件商標」という。)を無償で使用する権利を許諾する。
2 乙は、本件商標を甲の指示に従って、本契約の目的のためにのみに使用する。

第13条(権利の譲渡禁止等)
 甲及び乙は、あらかじめ相手方の書面による承諾を得ないで、本契約に基づく権利又は義務の全部又は一部を第三者に譲渡し、承継させ又は担保に供してはならない。

第14条(秘密保持)
甲及び乙は、本契約の存在及び内容、並びに本契約の締結及び履行に関連して知り得た相手方の技術上又は営業上の情報(以下、併せて「秘密情報」という。)を、次項に定める場合を除き、相手方の承諾を得ない限り、第三者に開示し若しくは漏洩し、又は本契約の目的以外に使用してはならない。ただし、以下の各号のいずれかに該当する情報は、秘密情報に含まれないものとする。
(1)開示を受けた時に既に保有していた情報
(2)開示を受けた後、秘密保持義務を負うことなく第三者から正当に入手した情報
(3)開示を受けた後、相手方から開示を受けた情報に関係なく独自に取得し、又は創出した情報
(4)開示を受けた時に既に公知であった情報
(5)開示を受けた後、自己の責めに帰し得ない事由により公知となった情報
2 前項の規定は、以下の各号のいずれかに該当する場合には、適用しない。
(1)情報を受領した者が、自己若しくは関係会社の役職員又は弁護士、会計士、税理士等法律に基づき守秘義務を負う者に対して、自己と同様の義務を負わせることを条件に、必要最小限の範囲で秘密情報を開示する場合
(2)適用のある法令等又は金融商品取引所規則の定めに従って開示する場合
(3)裁判所、行政機関又はその他の政府機関の命令又は要求に基づいて秘密情報を開示する場 合
3 甲又は乙は、前項第2号又は第3号の規定に基づき秘密情報の開示を義務付けられた場合には、事前に相手方に通知し、開示につき可能な限り相手方の指示に従うものとする。
4 本条に定める義務は本契約の終了後3年間存続するものとする。

第15条(解除)
甲又は乙がその債務を履行しない場合は、その相手方は、民法の定めに従い、本契約の解除をすることができる。
2 前項のほか、甲及び乙は、相手方が次条各号の事由のいずれかに該当した場合には、何らの催告を要することなく、本契約の解除をすることができる。
(1)本契約に定める義務に違反し、相手方から相当な期間を定めて是正の催告を受けたにもかかわらず、当該期間内に是正されなかったとき
(2)差押え、仮差押え、仮処分、滞納処分を受けたとき
(3)破産、特別清算、会社更生、民事再生の申立てがあったとき
(4)支払停止又は支払不能となったとき
(5)銀行取引停止処分を受けたとき
(6)監督官庁から営業停止を命じられたとき
(7)主要な株主・取締役の変更、事業譲渡・合併・会社分割等の組織再編その他の会社の支配に重要な影響を及ぼす事実が生じたとき
(8)解散したとき
(9)その他前各号に準ずる事由が生じたとき
3 前項の場合、本契約を解除された当事者は、解除をした当事者が被った損害の一切を賠償するものとする。

第16条(契約の有効期間)
本契約の有効期間は、○年○月○日から○年○月○日までの○年間とする。
2 前項の定めにかかわらず、期間満了の○か月前までに、甲又は乙から何らの意思表示がない場合、本契約は、同一の条件でさらに○年間更新されるものとし、その後も同様とする。

第17条(受領物の返還)
乙は、本契約終了時に、甲から交付を受けた本件商品、売買契約書、本件商品に係るチラシ、案内状、パンフレット等の販促物を速やかに甲に返還する。

第18条(合意管轄)
 甲及び乙は、本契約に関し裁判上の紛争が生じたときは、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。

第19条(協議事項)
本契約に定めのない事項については、甲乙誠意をもって協議し、決定するものとする。

本契約締結の証として、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ、各1通を保有する。

令和○○年○○月○○日

甲 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
  株式会社○○○○
  代表取締役  ○○ ○○

乙 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
  株式会社○○○○
  代表取締役  ○○ ○○

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追伸

実例に基づく推奨ひな形を多数ご提供しています。ぜひこの機会にあわせてご覧ください。


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