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印紙の不思議 #4 請負の基本契約には収入印紙を貼るのか

契約書の「基礎」を確認するための記事です。契約書についてこれから詳しくなりたい方はぜひ読んでください。重要なポイントが「一気に」学べます。

契約書の基礎を短時間で身につけたい人のために

「契約書に貼る収入印紙の判断方法がわからない」「収入印紙が自分で判断できるようになりたいがどう学んでいいかわからない」

といった疑問にこたえます。

請負の基本契約の印紙を決めるには?

今回は、請負の取引基本契約(継続的取引の基本となる契約)には印紙を貼るのかどうか確認します。

もちろん印紙税の判断は、契約書のタイトルではなく内容で決まります。とはいえここでは便宜上、内容面でみても請負であり、基本契約(継続的取引の基本となる契約)であるとします。

先におさらいしておきますが、請負契約にも取引基本契約にも、印紙は必要となります。

具体的には、「税額一覧表」をみてみますと、請負契約であれば原則として2号文書に該当します。また、継続的取引の基本となる契約は、原則として第7号文書に該当します。

・請負契約→ 原則として2号文書
・取引基本契約→ 原則として7号文書

エレベーターの修理を継続的に請負う契約?

では請負契約でもあり取引基本契約でもある契約書はどうなるのでしょうか? そのような契約書が実際にあるのか? ですが、たくさんあります。

たとえば「エレベーターの修理を継続的に請負う業務委託契約」が考えられます。エレベーターの修理部分が「請負契約」であり、それを定期的、継続的に行う趣旨では「継続的取引の基本となる契約」だからです。

エレベーター修理の基本契約は、請負=第2号文書、継続的な取引の基本となる契約書=第7号文書となりますが、両方というわけにはいかないので、そこからさらに文書の所属を判断しなければなりません。

このようなときは、国税庁のホームページへ行って通則を調べます。以下のよう通則が簡単にみつかりますのでググりましょう。

課税物件表の適用に関する通則
この表における文書の所属の決定は、この表の各号の規定による。この場合において、当該各号の規定により所属を決定することができないときは、2及び3に定めるところによる。
 一の文書でこの表の二以上の号に掲げる文書により証されるべき事項又はこの表の一若しくは二以上の号に掲げる文書により証されるべき事項とその他の事項とが併記され、又は混合して記載されているものその他一の文書でこれに記載されている事項がこの表の二以上の号に掲げる文書により証されるべき事項に該当するものは、当該各号に掲げる文書に該当する文書とする。
 一の文書が2の規定によりこの表の各号のうち二以上の号に掲げる文書に該当することとなる場合には、次に定めるところによりその所属を決定する。
イ 第一号又は第二号に掲げる文書と第三号から第十七号までに掲げる文書とに該当する文書は、第一号又は第二号に掲げる文書とする。ただし、第一号又は第二号に掲げる文書で契約金額の記載のないものと第七号に掲げる文書とに該当する文書は、同号に掲げる文書とし、第一号又は第二号に掲げる文書と第十七号に掲げる文書とに該当する文書のうち、当該文書に売上代金(同号の定義の欄1に規定する売上代金をいう。以下この通則において同じ。)に係る受取金額(百万円を超えるものに限る。)の記載があるもので、当該受取金額が当該文書に記載された契約金額(当該金額が二以上ある場合には、その合計額)を超えるもの又は契約金額の記載のないものは、同号に掲げる文書とする。

ここでわかることは、第2号と第7号に該当する文書の所属は、契約金額の記載がある場合は第2号文書、契約金額の記載がない場合は第7号文書に所属するということです。とてもよく問題になるので覚えてしまいましょう。

第2号文書と第7号文書に該当する文書の所属は
・契約金額の記載がある → 第2号文書
・契約金額の記載がない → 第7号文書

まとめ

印紙の決定は、あくまでも契約内容によって決まります。怖いのは、一件契約書には見えない文書でも内容によっては契約の事実を証明する目的で作成していることがあり、それによって課税文書となり得ることです。

タイトルがたんなる注文請書、あるいは単価決定書などであっても、それが事業者間で交わされていたり、請負に関するものであったり、合意があることを示していると評価できれば、内容的には印紙税法上の契約書ということになり得ます。最も注意したい部分です。



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