見出し画像

売買契約書に印紙は必要なのか?【契約書と印紙の豆知識】

「売買契約書」には、「印紙」を貼るのでしょうか? 過去記事と重複するところがあると思いますが、よくある疑問点なので、いまいちど印紙を貼るのかどうかを説明します。


個人の持ち物を友人に売る契約書

今回のテーマは売買契約書ですから、たとえば個人間で、家具を売買したような場合に、売買契約書をつくったとしたら、その契約書には印紙を貼るのかどうかという問題です。

結論としてこの場合は不課税、つまり印紙はいりません(自分の持ち物を友人に譲り、その対価を得る契約をして、これについて契約書を作成した場合)。


印紙税額一覧表を見よう

印紙税額一覧表には、「文書の種類(物件名)」と「印紙税額」が並んでいて、まずはこの表をチェックすることによって、契約書に印紙を貼るのかどうか、貼るとしていくらなのかを判断できます。この表には「売買契約」に印紙が必要とは書いてないです。

しかし、ここで早合点して「売買契約書は印紙がいらないんだ」といってしまうと、実は半分くらい不正解になります。
このあたりが、注意が必要なところです。

h30-印紙税額一覧表-11

不動産の売買契約書は別

なぜなら、同じく印紙税額一覧表の1号文書の「文書の種類」のところを読むと「不動産、・・・の譲渡に関する契約書」と書いてあります。

つまり「不動産」の売買契約書の場合には、一転して印紙がいることになります。前述の例は、不動産ではなく、動産の売買だったからこれに該当しなかっただけなのです。油断ならないですよね。


継続的な売買契約書(7号)は別

またさらに、同じ表の7番の欄(7号文書)の「文書の種類」の欄も読んでみますと「継続的取引の基本となる契約書」というところがあります。よく読むと「例」として「売買取引基本契約書・・・」などが挙げられています。

つまり、先ほどの売買契約書には印紙はいらないと判断したのですが、もし営業者間で継続的に行われるような売買取引の基本契約の場合だったら、印紙がいると判断される可能性があります。


では7号文書とはどういう文書(契約書)なのでしょうか?


7号文書の具体的な特徴をまとめると、

・営業者間の売買、売買の委託、運送、などの取引であること
・2回以上の取引で、契約期間の定めがないか、契約期間が3か月を超えるか、更新の定めがあること
・目的物の種類、取扱数量、単価、支払方法、損害賠償の方法、再販売価格のどれかを定めていること

となります。

これらに当てはまっていると7号文書に該当することとなります。
ちなみに7号文書の印紙税額は、4千円です。

先ほどの「個人間の売買契約書」は営業者間の取引ではありませんでした。しかも一回だけの売買であるので上記の条件にあてはまらず、7号文書にはなり得ません。

逆に、タイトルが業務委託契約書、売買基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、などとなっている契約書は、7号文書に該当することが多いことから、よく確認しましょう。


原則と例外のせめぎあい

さっきから「場合がある」を繰り返してしまうのは、常に例外があるからです。印紙税のルールは、契約書のタイトルで判断されるのではなく、あくまでも契約書の中身で決まります。

だから本当は、契約書の「タイトル」だけでは印紙がいるとかいらないとかの判断はできないのです。

説明の都合上、便宜的に●●契約の場合はいる、いらない、などと言っていますが、本来は契約書の「内容」によるので、タイトル(売買契約書、とか)だけで印紙を判断しないように気を付けましょう。


合わせてお読みください

契約書のひな型をまとめています。あなたのビジネスにお役立てください。



もしこの記事が少しでも「役に立ったな」「有益だな」と思っていただけましたら、サポートをご検討いただけますと大変嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。