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待ってろ博多

涼夜、旅費0円で訪れた博多で歩き回る僕たち。
その夜は短くも長い夜だった。

その日は、2万と2千歩、ほぼ無駄と言える歩数を歩んだ。
その足取りは、重いが、強く速い。

それもそのはず、夜釣りをする予定だったからだ。
勝負へ向かう道中、何度も何度も作戦会議をした友と2人。
プラン、モチベーション、コンディションと、おしなべて十全であった。
一つ不安があるとするなら、飲酒量が足りなかった。
だが、そんなことは気にも留めなかった。

博多駅で研究室のみんなともつ鍋を食した。
研究室のみんなには、大釣果をあげると言い散らした。
その後、友と共に中洲へと向かう。

中洲は月曜日にもかかわらず、道や店内が人で溢れかえっていた。
これはチャンス、思わずグータッチする僕と友。

タバコが残り数本となった僕はタバコと缶酎ハイを買い、いざ勝負へ。

はじめに声を掛けたのは、中州へ来て、1時間経った頃だった。
そこから声を掛けることはなかった。
僕たちの約3時間は徒労に終わった。

惨敗であった。惨敗、いや勝負にすらならなかった。
一応、言い訳を述べておく。
まず、高級魚が少なかった。実際には、高級魚と長靴が並んでいるパターンが大半を占めていた。
2人で高級魚を取り合う修羅場になりかねないと僕たちは瞬時に悟った。
次に、月曜日がまずかった。華金なら…と何度思ったことか。

僕たちは、タイムリミットを23時と決めていた。
23時になった時、僕は膝から崩れ落ち、友は天を仰いだ。
号泣してもおかしくない状態であった。
その場は負のオーラで包まれ、一般ピーポーには、競馬で10万円負けた人のように見えていたかもしれない。

帰路、友と歩きながら、
本当の敗因について話し合った。
それは、圧倒的手数の少なさだ。アルゴリズムは完璧に備えていたが、それを発揮するまでに至らなかった。これは飲酒量の少なさと比例関係にあると思うことにした。ひっきりなしに声を掛けていればと思うと、後悔しかない。

顔を上げろ!
切り替えろ!
次に繋げろ!

負けたままでは終われない。
リベンジは必ず果たす。

終幕

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