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第2回 うつくしまふくしまジャーニーラン251k【その1】

福島、大阪からはあまり馴染みのない土地。
でも僕にとっては、縁のある土地。
義父の故郷が福島県川俣町なのだ。
ちなみに母の実家は山口県上関町。
上関は原発計画で揺れ、川俣町は原発事故の影響を受けた。

幕末まで遡れば、会津と長州藩は敵だった。だから、父と母は「昔だったら結婚できなかったなぁ」という笑い話は何度も聞いた。
僕は萩往還で超ウルトラを知って、昨年、最後の萩往還250kを初エントリーして、なんとか制限2分前に完踏。萩に代わるメインレースとして、昨秋第1回開催の「うつくしまふくしまジャーニーラン250k」に参加。萩より制限が2時間緩いし、コースもきつくなさそうなので完走はできるだろうと思ってたら、2日目に7キロコースロストした挙げ句、関門に間に合わなくなり168k地点でDNF。慢心と超ウルトラの難しさをひしひしと感じた。

あれから1年。自分の中では成長したのかしていないのか…
日が迫るにつれ、ワクワクよりドキドキの割合が増してくる。またテキトーなことをして、不甲斐ない結果になるのは嫌だ。昨年の反省を活かして、それなりにやることはやったつもりと言い聞かす。

2019年9月14日13時、福島県南相馬市サンライフ南相馬。
1年ぶりにこの地にやってきた。昨年のような変な気負いはない。
1年前は知っている人がほとんどいなかったのだけど、今年は仙台からのバスでも知っている参加者さんと一緒だったり、会場でも大阪から参加してくれている知り合いのランナーさんと一緒にご飯を食べたりして、リラックスできている。6月の「日光千人同心」にも参加して、お話させていただいた方もいるというのもあるかな。装備も何度か見直して、多分大丈夫だろう。
開会式で南相馬市長が「福島のことを関心をもっていただけるだけでもありがたい」と話されていたのが印象的だった。大会参加費のうち500円は災害遺児への義援金に充てられる。こうして毎年参加することで、ほんの微力だろうけど、福島の人々に笑顔を与えられるきっかけになれたらいいなと思う。説明会でのルート説明は昨年より、すっと頭に入ってくる。やはり1度辿ったイメージが残っているものだ。今年はロストは絶対にしたくないので、地図へのマーキングの追加も含めて、しっかりチェックする。

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日が暮れ始めて、スタート前のヨガ、集合写真撮影へと進む。昨年より涼しい感じ。昨年は走り始めたらずっと蒸し暑かった印象。スタート時間はあっという間にやってきた。あわてて時計のGPSを測位しておく。

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カウントダウン、そして9月14日18時、茜色に染まりゆく南相馬の街へランナーが飛び出していく。
「行ってらっしゃーい!」
スタッフさんだけではなく、南相馬の人たちも道端に出て声をかけてくれる。この地はスタートの場所。2年前の夏、走る書家の波多の明翆さんの呼びかけで福島の沿岸部を走ったときも、僕はこの南相馬から合流した。これから丸2日間、250キロを経た自分の身体と心はどのように変化しているのだろう?ワクワク、ドキドキドキドキ…「淡々と」と自分に言い聞かせながら歩をすすめる。

南相馬から相馬へ向かう上り坂で歩き始めるグループが。この人たちは数多くの超ウルトラを走っているツワモノ。
「こんなとこ走っちゃだめなんだよ」
最後まで走り切るには体力を温存するというのが秘訣らしいが、僕にはまだそのあたりのコツがわからない。100キロを超えるとヘロヘロになってまうのが常なのだ。だから序盤のうちに貯金が欲しくなる。今回はどうなることか…
前半ハーフ(122キロ)のランナーさんとお話していると、今までオクム(奥武蔵ウルトラマラソン)の78キロが自身最高で、オーバーナイトや100キロも未経験とのこと。「早くゴールしてビールが飲みたい!」とザックに意気込みが記してある。とても微笑ましく感じ、笑顔でゴールしてほしいと思う。

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20:22 CP1 21.0k 相馬市 フレスコキクチ
昨年(中村城址)より少し場所は手前にあるものの、20分ほど早くCP1に到着。
昨年は蒸し暑かったのだけど、今日は全然涼しくて、走りやすく感じている。
多分今年最後になるであろうスイカなどを味わう。昨年女子優勝のガッキーとも会えたので、まずまずのペースでは来ているのだろう。エイドはあまり時間をかけないのが鉄則。ここまでご一緒していた方を見失ってしまったので、一人でリスタート、中村街道を進む。霊山まで30数キロコンビニのない区間があるので、最終のセブンイレブンでトイレ、小だけどすでに2回目。今日はトイレが近い…

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街灯は少ないが、満月の月明かりがきれいだ。空を見上げれば満点の星空。9時半頃で気温は16℃。登り基調だけど、気持ちよく走れる。
44キロ手前のアブアブステーションでは、昨年同様私設エイドをしていただいていた。ここからは下り。ペースを上げずにゆったりと進む。

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15日 0:03 CP2 48.6k 伊達市 霊山こどもの村入口

昨年より30分近く早く到着。昨年は売り切れ?で食べられなかったカレーライスをいただく。旨い!やっぱり超ウルトラにはカレーが合う。昨年は湿気でメガネが曇るほどだったが、今日はさわやか。

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続いて昨年もいただいたラーメンも。

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しっかり食べて、元気もりもりで出発。
しばらくは気持ちいい下り。しかし、また登り…昨年の記憶を辿るも思い出せない。
そしてまた尿意。涼しいからか、汗をかかない代わりにトイレが近い。
コースから少し外れるが、60キロ過ぎに「道の駅伊達の郷りょうぜん」があることを確認しているので、たまらずピットイン。

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こんなトイレ、見たことない!誰もいなかったので思わずパチリ。

阿武隈山地も終盤、下って福島市へ。市街が見下ろせる場所までやってきた。

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昨年もこの景色をみてホッとしたなぁと感慨ひとしお。
70キロ手前でセブンイレブンがあるので、トイレと麦茶購入。飲み物はまだ2本目、本当に効率が良い。はじめて見るコカコーラの自販機も設置してあった。涼しすぎて飲む気にはなれなかったけど…

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市街に入り、阿武隈川を渡ると昨年と同様の場所(セブンイレブン前)で私設エイドを発見。昨年はぶどうをいただいたのでお礼を述べる。

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今年は桃を頂いた。サクサクとした食感でとても美味しかった。品種を伺ったのだけど失念してしまった…
昨年はこのあたりで定子さんと会い、ご一緒させていただいたのだなぁと思いながら、ひとり市街地を進む。このあたりは信号が多く、ストップアンドゴーの連続だ。仲間町交差点を右折して駅に向かうと、大阪のワラーチランナー池田さんが追いつき、道案内しながら共走。池田さんとは、霊山のエイドあたりから抜きつ抜かれつを繰り返している。

3:59 CP3 76.0k 福島市 福島駅前

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昨年より40分ほど早く到着。簡易エイドということだったけど、ドライフルーツがとても旨い。上野の亀井商店さんのものとのことで、ランナーさんがいると聞く。サンザシのドライフルーツもはじめて食べた。
リスタートして、しばらく走るとまた尿意。r148に入り地下道をくぐって、イートインのあるファミリーマートに入ると、ガッキーが休憩中。
「たけちよくん、痛いところ無いの?」と聞かれ「特にないけどー」と答えたが、そもそもガッキーは速いし走りすぎなのだと思う。実際、このあとゴールまで出会うことはなかった…

(その2へ続く)↓



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