閉店することは、悪いことじゃないと思っている。
ここのところ、書いていきたいことが増えてきたので、noteを作ることに。
こちらでは個人的な意見で書いていますので、組織としての意見ではない、ということをご理解を。
私はいま行政で企業の支援をしている。
コロナが始まる前は、販路開拓だったり、新商品の開発だったりと、今考えると、こちらが元気をもらえるような前向きな話が多かった。
コロナ禍になって、色んな「苦しい」を聞くことが多くなり、仕事では伝えにくい、個人的な考えを記したいな、と思う。
私はもともとフリーランスから起業して現在公務員をしている。
起業してジャム屋をやろうと思った時は正直あまり何も考えてなくて、
「失敗してもまあなんとかなるでしょ」
と言うどちらかと言うと能天気な感じで、500万借りて事業を始めた。
幸い、女子の起業ブームもあり、店舗リノベ中からテレビの取材が入り、当日中継が入る、というありがたい祭りのような状況で、仕込みが間に合わず、夕方に在庫商品が1個とか2個とかになってしまっていた。
その年の七夕の願い事には「在庫が欲しい」と書いたのを覚えている。
人から見るとまあまあ順調に見えたかもしれないけど、いつも在庫がない、という事が本当はストレスで、毎晩12時まで必死に仕込みをしていた。
だいたい3ー4時間かけて一回でできるジャムは40個。(マーマレードは2日間)それを月に2000個近く作っていて、月に50回の仕込みで、少なくとも200時間かけてジャムを作っていた。
もちろんカフェ営業もあるので月に400時間くらいは働いていた。
1日8時間働いている土日休みのOLの月の勤務時間が160時間くらいだとすると、結構働いていたんだろう。でもすごく充実していたなとも思う。
そんな起業して2年目、通勤路で停車中後ろから追突されて入院することになった。
保険会社から1日のお見舞金は5000円弱です。と言われて愕然となった。
起業してまるまる2年経つものの、オープンまで収入はないし、工事で一年目は赤字になる。
その数字を取られて、主婦と同じ1日5,000円です、とのこと。
あれだけの業務をこなす主婦だって5,000円なんておかしいだろうと思っているだろう。
腰椎ヘルニアで立てず、いつ働けるのかわからない、収入はほぼ入らない。
はじめて個人事業主は、想定外のことへの補償が少ないことも実感した。
その後、少し良くなっていつも通り働いていても、腰が痛くなり、注射を打つことになる。
前と同じ量働いていても、頭痛が止まらなくなったり、腰が痛くて立てなくなったり、疲れが取れなかったりと身体の不調がひどくなった。
仕事は忙しいままで、静岡の魅力を発信したいとはじめた仕事なのに、私は発信の手段であったジャムをただただ作っている、と言うことが多くなっていった。
色んなことが混乱してきて、体調も悪いままで、一旦鍋を置こう、と考えた。
大切なお店だし空間だけど、このまま行くと多分色々壊れそうだな、と思ったから。
そうしてお店を閉じた。
閉店を選んだことは、今のところ後悔はしていなくて、鍋があれば私はいつでもジャム屋になれるし、どんな形でもまた開業はいつでもできる。
ただ引き際が肝心だと思っている。
起業することはすごい、とか閉店するのはもったいない、とか色々な意見を聞くかもしれないけど、私自身思うのは起業することも、廃業することも、いつ何時でもやろうと思えばできる、ということ。
コロナ禍で減っていく運転資金を見て、閉店した方がいいかもしれないけどカッコ悪いんじゃないかとか、ギリギリまで頑張るべきとか動けなくなってしまっている人もいると思う。
でも、このコロナ禍でお店を閉めることは別に悪いことじゃないと思うし、またやろうと思えばどんな形でも工夫をすればできると思う。
だからもし今無理して、ギリギリで頑張りすぎている人がいるなら、
頑張りすぎないで
と伝えたい。
一つ伝えるとしたら引き際がすごく大切で、借入金が返せるギリギリのところで引くか、返せない人は色々きれいに閉めるために、200万は手元にあるようにしたほうがいい、ということ。
ちなみに私は借入金の全額返済と、少しの貯蓄を残して一旦精算した。
閉店後は自分へのご褒美にタンザニアに行って動物とマサイ族に会いに行って、今の仕事をしている。
そして銅鍋はまだ、手元にある。
いつでもはじめられる、そんなお守りみたいな感じで持っている。事業を続けていくことも素晴らしいけれど、辞めることも悪いことじゃない、と感じている。
閉店の話はなかなか整理がつかなくて、うまく話せなかったのだけど、今悩んでいる誰かに読んでもらえたらなと思い、はじめてしっかりと書きました。