『くるみ割り人形 外伝』というプレゼント
「毎日でも観て欲しい‼️」と幾度となく言われた。
ふたりの娘たちが出演する劇なので、とてもとても楽しみにしていたのは、もちろんだった。でも、なんだかいつもと様子が違っていた。
上演スケジュールで日程は確認したくらいで詳しい内容は、分からないままゲネプロの会場へ向かった。
『くるみ割り人形外伝』
2023年夏、KAAT神奈川芸術劇場でご覧になった方も多いかと思う。
《内気な少女が、大好きなうさぎの人形とともにくり広げる一夜の大冒険‼︎》
少し早めに会場に着いた私は、チケットを受け取り、座席に着いた。
舞台にセットされていたクリスマスツリーを眺めながら、
娘たちが小さい頃のクリスマスを思い出していた。
ライトが舞台を照らし、アコーディオンの音色が響く、舞台が幕を開けた。
たのしいプロローグが進み、かわいいクララが登場し、物語りがはじまった。
はじまった。ハジマッタ。
そして、始まってすぐに、気がついた。
「これって、ひょっとして、娘の小春のものがたり?」
もう、頭の中は混乱して、舞台の中に自分が立ってしまっているようだった。
舞台のシーンと、記憶の映像が交差して、頭の中はぐちゃぐちゃに。
ぐちゃぐちゃな気持ちは、鼻水と涙になって溢れた。
「毎日でも観て欲しい‼️」と、言われた意味がやっとわかった。
日にちを変え3回観劇したのだけれど、
何度観ても溢れる涙と鼻水は止められなかった。
二人のパパ、うさぎや、ケーキ、支配人に踊り子、歌い手、そしてサンタクロース。どれを取ってもユニークで、非日常な視点なのに、日常の出来事に置き換えられる、不思議。ダンスと音楽と演者の声が空気に乗って、胸に入ってくるような感覚。演劇って凄い。
実は、気持ちが揺さぶられたのは、
子どもの頃の小春が主人公のクララに重なっただけではなかった。
鼻水の原因は、もう一つあった。
一年ほど前のこと。私のオリジナルの商品アイテムについて、二人の娘たちに相談していたときのことだ。
「ね、なんで絵を描かないの?絵で食べて行こうって思わないの?」
急に切り出されて口篭った。
「…それはそんなに簡単なことじゃないし。」
訳のわからない言い訳を呟いてしまった。
「なにそれ、絵描きたいの?描きたくないの?」
「描きたいよ。絵を描くことは好きだよ。でも…」
「でも…って何。結局描きたくないんだよ。」
まるで、親に隠れて悪さをした子どものようだった。情けなかった。
そして、事務所を出た後、
悔しいのと、情けないのと、ゴチャゴチャの気持ちが溢れて
駅のベンチで人知れず泣いた。
(いや、大泣きだったので、人知れずじゃないな笑笑。)
そして、数日後、私は人生は初めての絵の個展を2ヶ月後の2023/2月に開催することを決めた。
「🎵素直になる、それは難しいこと、だから、こどもが助けてあげる」と、
クララとももが歌ったように、
子ども達に背中を押してもらった。
根本宗子さんは、そんな私をどこかで、見ていたんじゃないかな?ホントにそう思えた。
やりたいことに、辿り着けなかった大人は、言い訳ばかりが上手くなる。
もう戻れないとか、今更、始めても上手くいくか分からないとか。
ふさぎ込んだサンタクロースは、
私だった。
素敵な物語りをありがとう!根本さん。
二人のパパ、うさぎや、ケーキ、支配人に踊り子、歌い手、サンタクロース、
そして、そして可愛い2人のクララ‼️
魔法のような舞台をありがとう。
『くるみ割り人形 外伝』という素敵なプレゼントをありがとう
昔のサンタより
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