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JC論:なぜ青年会議所がジェンダー問題を重視するのか

近年JCI日本や多くのLOMで、ジェンダー問題への取り組みや子育て支援といった取り組みに力がそそがれています。男性が9割を占める青年会議所がなぜジェンダー問題に取り組むのか、それは単にSDGsに入っているから、とか、流行だから、というわけではありません。

地域の維持には女性が最重要だから

2020年代の日本では、大都市を除くほとんどすべての地域で、経済と社会の衰退が本格化してきています。その原因は、高齢化による社会保障負担の増大と、少子化と人口流出による人口減少です。高齢化による社会保障負担の増大に対して有効な解決策は、結局のところお金を稼ぐ人を増やすことしかありません。そして、増える余地は高齢者と女性にしかありません。また、衰退の激しい地域では女性の人口流出が男性よりも大きく、合計特殊出生率の分母は女性です。女性を社会的、経済的に軽視し続けたつけが地域の衰退として現れているのです。

もはや今後発展する地域が女性にとって住みやすく、働きやすい地域であることは疑いようがありません。最も年長でも40歳である青年会議所のメンバーにとって、30年後も自分の地域が明るく豊かであるためには、性別にかかわらずジェンダー問題に取り組み、女性にとって住みやすく、働きやすい地域を作るしかないのです。

地域の発展には多様性が必須だから

自殺する人の7割は男性です。肉体的な差がこの差の主たる原因でしょうか?そんなはずはありません。「男らしさ」という社会的要因が自殺を生んでいるのです。社会の発展方向が全員にわかりやすく、一方向であるならば○○らしさの強制という画一性が有効かもしれませんが、もはや多くの地域で発展の方向性すら見いだせない時代となっています。このような時代に必要なのは才能と情熱を解き放つことであり、そのためには多様性の重視が必須条件です。

日本社会の多様性を阻害する最大の要因が、性別に関する社会的規範と性差(ジェンダー)です。この問題はどの地域でも存在する問題であり、全ての人が関係している、今すぐに行動を起こすことのできる問題です。JCIクリードで「人間の個性はこの世の至宝であり」とうたい、綱領でメンバー自身が「明るい豊かな社会を築き上げよう」と宣言している青年会議所のメンバーにとって今、この問題に取り組まない理由がありません。

青年会議所の使命だから

「青年はより良く社会を変えることができる」という確信から青年会議所運動は始まり、青年会議所の使命は「より良い変化をもたらす力を青年に与えるために発展・成長の機会を提供すること」です。事実、数多くの青年会議所の卒業生が現在の日本の政財界のリーダーとして活躍していることからも、青年会議所が社会的に活躍する青年の発展・成長に寄与してきたことは疑いようがありません。

日本のジェンダー・ギャップ指数は153か国中121位と極めて低位(2019)ですが、その主たる原因は、女性の政治参加度の低さ、経済的リーダーの少なさにあります。しかし、これらは何かの制度を変えただけで是正されるものではありません。いかにして女性が、リーダーシップ等の能力や人脈、実績を身に着け「より良い変化をもたらす力」を手にする機会を得ることができるかにかかっています。そして、青年会議所はまさにそのような機会の提供を使命としています。

男性が多いからこそ行動しよう

2019年に国連女性機関の行うHeForSheキャンペーンにJCI日本は参加しました。結果署名数は約8千から3万6千に一気に増加しました。そして、今後さらに運動を発展させるための覚書を交わしました。男性側からの行動がなければ、ジェンダー問題を解決することはできません。そしてそれは女性のためだけではなく、社会全体のためなのです。男性の多い青年会議所だからこそ、行動を起こす価値があるのです。

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