五芒七振

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【小説】雨の夜を越えて~UTMF2016、それぞれの闘い(1)

序章会場は一種異様な空気に包まれていた。 小雨の降るスタートゲート前には、旅立ちの時を待つ約1400人の選手たちが熱気とともにひしめいている。 彼らにとっては、この程度の雨は大した問題ではない。 これから始まるはずの長く厳しい冒険に挑戦するために、幾多の試練を乗り越えてきた猛者たちなのだ。 多少の雨ならば、彼等の熱気で吹き飛ばしてしまいそうだ。 しかし、つい先ほど発せられた大会実行委員長である鏑木毅の言葉が、彼等に、失意と、決意と、その他諸々の想いを呼び起こさせていた。 山岸

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