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『仮面ライダークウガ』第5話感想

第5話 距離 (その2)

 関東医大病院。午前11時少し前。
 CT画像検査を受ける五代雄介。それを見守る一条刑事と、機械を操作する医師。モニターに映し出される五代のCT画像を見ながら、医師が愚痴る。愚痴の内容で、関東医大で勤める他に監察医務院の嘱託医でもあり、この検査を監察医務院の仕事明けにねじ込まれたらしいこと、五代の画像は人間としてヤバいらしいことなどが分かる。
 「こんなアブナイやつの仲間にする気か」という言葉に、思わず医師の顔を見る一条刑事。この医師が椿秀一さんだね?

 椿さんの愚痴は五代にばっちり聞こえたらしく、笑顔で「アブないですか、オレ」と声をかけてくる。そんな五代にこっちに来いと手招きする。この手招きのしぐさがカッコいい。そのしぐさを見て、五代が着替えをするべく物陰に引っ込む。

 一条刑事の方に顔を向け「そもそもオレは死体の解剖専門だぞ」と椿さんは真面目な顔で前置きする。「それを無理して病院の設備を借りて診てやったら」と前に視線を投げた後、再び一条刑事を振り向き、ニヤリと笑う。「思わず解剖してみたくなるくらい、とんでもないぜ」と、とんでもないことを言い出す。アブナイのはどっちだ。

 椿さんのアブナイ言葉と表情を完全スルーして、一条刑事が「どういうことだ?」とまっすぐ尋ねる。う~ん、こっちもなかなかどうしてアブナイ(知ってる)。椿さんが答える。「同じなんだよ、例の奴らと」

 そこへ、身支度を整えた五代が入ってくる。「同じ?」くぅぅ、このキョトンとした顔、何度見てもカワイイ……。
 上着を羽織りながら、椿さんの横へ五代が来る。

 椿さんが説明する。科警研から回された第1号の体組織とほぼ同じ特徴が五代の体にも現れているという。
 それを聞いた五代は無邪気に感心し、かなり強くなったんですねとあっけらかんと言いながら、Gジャンのボタンを留める。
 椿さんが一条刑事に向けて、五代のことを「のんきだな」と呆れたように言うと、一条刑事も何でもないように「そういうヤツだ」と返す。

 第一号、あんなに粉々に吹っ飛んだのに(2度目)、分析できるほどのサイズの体組織、どこに落ちてたんだろうか……某京都の科捜研のメンバーとか、某落語と電車好きなメガネの鑑識とか、某たたき上げの捜査一課長が率いる警視庁捜査一課の面々なら、一粒残さず拾い集めそうだけど。

 CT画像を見ながら、椿さんが具体的な説明をする。筋肉組織が強化され、神経組織も発達していること、右足は特にその特徴が顕著であること。
 それを聞いて、五代は右足が戦っている時(より詳しく言えばとどめを刺す時)に何度も熱くなったことについて納得する。

 椿さんが五代に未確認生命体との関係を尋ねる。五代は自分の頭に浮かんだイメージとして、古代に戦っていたと話す。後ろにあった丸椅子を取って腰を下ろす。
 ベルトを着け、その真似をしたら古代の戦士と同じ姿になったと説明する。事実だけを述べたら、確かにそうだが、シンプルだな!

 一条刑事は、科警研に未確認生命体の体組織や装飾品の年代測定を依頼をしているが、五代の言う古代の戦士と同じ時代のものが蘇ったものではないかと五代を見ながら自分の推測を話す。
 興味深そうに小さく相槌を打つ椿さんへと視線を移し、それより五代の命に別状はないのかと一条刑事が尋ねる。

 「今のところはな」とあっさり答える椿さんに「今のところはって」と食ってかかる一条刑事。二人が話している間、自分の検査画像(レントゲン写真かな?)を食い入るように見つめる五代。その画像は五代の腹部を正面から撮影したもので、腹部を一周するベルト状のものが写っている。シリアスな場面なのだが、この画像だけ見ると何ともキテレツ。

 画像に被せて、椿さんが語る。腹部の異物から五代の全身に神経組織のようなものが広がっていて、その異物から何かしらの命令が出て、五代の体を急激に変化させるのではないか。今はまだいいが、この神経組織がやがて脳にまで到達すれば、最悪の場合は人間と違うものになる、と。

 椿さんの説明の間、真剣に画像を見つめていたり、自分のお腹をなでたりする五代がカワイイ……シリアスな場面なんだけどカワイイ……。何なの一挙手一投足が可愛い特撮ヒーローの主人公って(そしてこれが後々のライダーたちに引き継がれていくなんて)。

 深刻な顔で「何になるっていうんだ」と尋ねる一条刑事。椿さんが答える。「ヤツらと同じ、戦うためだけの生物兵器だ」
 それを聞き、一条刑事は衝撃を受けたように「生物兵器⁉」と聞き返す。

 腹部の異物の説明からずっと流れていた不穏なBGMが、「生物兵器⁉」と一条刑事が聞き返すあたりでひときわ強調されるが、五代が明るく「いや、大丈夫ですよ」と二人に言った瞬間に終わるの、芸が細かい。

 五代の大丈夫と言う言葉に、驚いて振り向く椿さんに、五代は笑みを浮かべて親指を立てながら、もう一度「大丈夫」と繰り返した。

 水中……かと思いきや、どこかの水族館の水中トンネル兼休憩エリアと思しき所。
 テーブルと椅子がいくつか置かれ、バラのタトゥの女、第3号、そしてエリアの一番奥にいて誰だか分からないもう一体が、一つのテーブルに一人ずつ陣取って、てんでんばらばらの向きで座っている。

 壁や天井の向こうの景色にはあまり関心がないのか、誰もそちらは見ていない。沈黙の中で、ライターの蓋を開けては閉じる音が繰り返し鳴っているだけだ。

 バラのタトゥの女は、指輪にはまっている爪か牙のようなものをなで続けている。正体不明の人影……あまり若くなさそうな男性の人間体は、耳に透明な牙状のピアスを付けている。ライターの蓋を開け閉めしていたのは彼のようで、その右手にはライターが握られている。

 その正体不明の男が口を開く。もちろん未確認生命体の言語なので内容はさっぱりである。渋い声で彼が何かを言うと、バラのタトゥの女がある方向に顔を向け、話しかける。
 彼女の視線の先には床に座り、後ろにもたれていた未確認生命体がいる。暗くて良く見えないけど、首にマフラーを巻いているからバッタ型の未確認生命体かな?

 それまでぼーっとしていたっぽいバッタ型の未確認生命体が振り向き、何やら答える。口調や仕草から「オレがやってやらぁ」みたいなことを言ってるんだろうか。違うかもしれない。

 バッタ型の未確認生命体の言葉を聞き、ひときわ大きくライターの蓋を開け閉めする音を響かせる、年配男性の未確認生命体。それを見たバラのタトゥの女が、バッタ型の未確認生命体に呼びかける。名前を呼んだのかな?バッタ型の未確認生命体はバラのタトゥの女の前までやってくる。

 バラのタトゥの女は、指輪の爪か牙のようなものを示しながら何かを言うと、バッタ型の未確認生命体の腹部のベルトのような装飾品に、その先端を差し込む。カチッという音がして、さらに右回りに90度ひねると、何かのエネルギーが注がれるような、あるいは起動するような音がする。それを確かめると、バラのタトゥの女は大きくうなずく。バッタ型の未確認生命体も、バラのタトゥの女の顔を見ながらうなずき返す。

 その一部始終を離れた場所でずっと見ていた、我らが心のアイドル第3号(え?巻き込むなって?)。どこで手に入れたのか、いかにも未確認生命体っぽい装飾がされたボードを示しながら、何事かを話す。
 ボードには、本当にミミズみたいにうねうねした少し長めの線がいくつかのまとまりになるように書いてある。線のまとまりやまとまり同士の配置に法則があるのかないのかは……誰かがどこかで解説しているに違いない!(←他力本願)

 第3号の言葉に、バッタ型の未確認生命体が人間体に変わりながら振り返る。第3号を見ると、いかにも小馬鹿にしたように鼻で嗤い、何かを言ってそのエリアを出て行く。
 その背中を見送ると、第3号は立ち上がり、前のめりな姿勢でバラのタトゥの女の前に立つと、何やら話しかける。内容はさっぱり分からないし、言ってることは短いんだけどねちっこいのは分かるぞ。

 するとバラのタトゥの女は、何と右手の裏拳を繰り出して、第3号の左ほほをクリーンヒット!あまりの強さにぶっ飛んで床に倒れ伏す第3号。お前マジで何言ったんだよ……。思わぬ仕打ちだったのか、床に倒れたまま驚いたようにバラのタトゥの女を振り返る。第3号のことなどお構いなしに、艶然と微笑むバラのタトゥの女。これぞまさしく大人のイイ女!である。

 ところで、本編中で椿さんはちゃんと自己紹介してないし、一条刑事から五代への紹介もなかったのに「この人が椿さんだね」と万人が納得できる流れにしてあるの、本当にうまいなあと思いました(語彙が貧相)。

 その1もその2も長かったなあと思ったそこのアナタへお知らせです。なんと、その3に続きます。

初出:2021年7月29日 2024年5月2日加筆修正

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