『仮面ライダークウガ』第4話感想
第4話 疾走 (その4)
東京の道を文字通り疾走するクウガ。これでこそ仮面ライダーだぞ!と言わんばかりにいろんな角度で、いろんな場所を走り抜けるトライチェイサーとクウガの映像。警視庁から第5号のいる場所まで遠いからなあ。
第5号が暴れた現場。
応援の警官たちが到着する。先着していた警官や刑事たちはすでにやられてしまって、立っている者が一人もいない。
彼らがやってくると、第5号がふわっと上へ逃げてしまう。駆けつけたパトカーから刑事たちが降りる。そのうちの一人は、前日の夜にクウガへの銃撃を指示した刑事である。彼らは空を見上げ、第5号の姿を探す。
パトカーを先導していた白バイ隊員も第5号の姿を探す。その上から第5号が現れて、白バイ隊員の首にまたがると、その太ももで彼の首を締め上げる。ボキッという音がする。第5号が離れると、白バイ隊員の体が地面に転がる。攻撃のバリエーション多いな、第5号。
宙を跳ね、第5号は自分に銃を向ける刑事たちにさらに襲い掛かる。同時に二人の刑事の首をつかむとその勢いのまま地面に押し倒し、首の骨を折る。エグイ……。
第5号が立ち上がって別の刑事の顔を殴る。刑事の顔には爪の痕が付き、血が流れる。その刑事は殴られた側を手で押さえ、ビクンビクンと体を震わせながら倒れこむ。毒があるのか、眼球まで傷つけられたのか……どっちにしても恐ろしい殺傷能力!
あっという間の惨劇に呆然としていた銃撃を指揮した刑事だったが、とうとう彼も第5号に襲われる。
彼も大したもので真ん前に立った第5号に銃口を向けるが、第5号に腕で振り払われ、首を締め上げられ、突き飛ばされてしまう。痛みに悶えていると、第5号が歩み寄り、何かを言いながら彼の顔を左手で固定し、右手で貫く構えをする。この世にこんな怖い顔クイある?
何を言ってるかは分からないけど、自分の目だかどこだかを指で刺し貫こうとするのは分かって、力の限り「やめろぉぉぉぉ!」と叫ぶ刑事。見ている私も心の中で絶叫する。
そ・こ・へ!トライチェイサーに乗ったクウガが駆けつける!
前輪を上げて第5号へ向かって飛び込む!刑事から手を放し、突っ込んでくるトライチェイサーをかわす第5号!すると、なんとクウガは着地した前輪を起点にして、車体を横に振って後輪で第5号をブッ飛ばした!カッケェェェェ!!
第5号が近くにいないことを確認し、クウガがトライチェイサーから降りる。倒れている刑事に近寄り、抱き起そうと手をかける。
襲われると思って叫ぶ刑事に、クウガが「大丈夫ですか、刑事さん」と声をかける。「え?」と間の抜けた返事をする刑事。まあ、赤いクウガは未確認生命体4号なので、仕方ないw
少し離れた所にいた第5号が、自分の邪魔をした者の姿を見て「クウガ!」と叫び、いずこかへと走り去る。
その声にクウガも振り向き、刑事をその場に残して去って行く。残された刑事は呆然としたまま立ち上がり、クウガが去った方を見ている。
逃げる第5号と、それをトライチェイサーに乗って追うクウガの後ろ姿。
東京都内。
覆面パトカー(赤色ランプ付けて)を走らせる一条刑事。そこに、第5号が東村山市から青梅方面に逃走しているという無線連絡が入る。
どこかの山道を走るトライチェイサーに乗ったクウガ。その先には大きな建物。人気がなくて、その周囲には雑草が生い茂り、荒れ果てている。整備された場所なんかその周囲にはもちろんない。が、でこぼこの地面もなんのその、軽快に走り抜けるトライチェイサー!急な斜面を駆け上がり、段差も難なく飛び越えていくトライチェイサー!
追ってくるエンジン音に振り返り、壊れた壁から建物の中へと第5号が逃げ込む。そのまま後を追うクウガ!
崩れた木材とか置かれた目的が良く分からないタイヤとかを軽々乗り越え、第5号の後をトライチェイサーに乗ったまま追うクウガ!そう、乗ったまま追いかけてる!
少し広い所に来て、クウガがトライチェイサーを止める。その正面の、元は一体何だったか分からないけどとにかく高い場所に第5号が立っていて、クウガに何かを話しかける。右手を腰に当てたポーズをとっているくらいだから、何か余裕ぶちかまして煽っているんだろうなと思うことにする。
同じように思ったのか、クウガが再度トライチェイサーを走らせ、脇の階段を駆け上がる。何の苦も無く階段を登り、それだけでなく狭い出入り口でひょいっと方向転換さえしてしまう。すごいぞトライチェイサー!凄腕だぞ中の人!
まあ、普通の白バイより小回り効きそうって、素人目にも分かる。こんなバイクで追われたら、まるで逃げられる気がしないwww
歩道橋の追跡劇でどうせ上がってこれないと高をくくっていたのに、軽々と上がってきたことに驚いたのか、せっかくトライチェイサーでもちょっと無理な所にいたのに、何故か第5号は降りてきてしまう。
身軽に逃げ回る第5号を、これまた軽快にトライチェイサーを操って追うクウガ。大小のタイル張りの囲いがあるところを見ると、このフロアは元はスーパー銭湯的と言うかスパ的な何かだったのかなあ。
よくぞ、こんな絶妙に第5号の身軽さや素早さ、バイクの性能とバイク乗りの腕前を見せつけつつもそう簡単に勝負がつかなそうなところを見つけてきたねえ。
そう、簡単に勝負がつかない……逃げる第5号を追い、別の階段を駆け上がるとそこは、これも何故か分からないけど、中古車というか廃車がたくさん置いてあるフロア。お互い、思う存分暴れられるね!(そんなことない)というわけで、今度は車の上での追いかけっこが始まる。
一方、現場に向かっている途中の一条刑事。「五代雄介……!」と心の中で呼びかけた声は、何の陰りもなく明るいものだった。
クウガと第5号がにらみ合う。正面から飛び込み、立ち位置を変える。
第5号が飛び掛かると、クウガはトライチェイサーの後輪を支点にして前輪を第5号の顔にぶち当てる。背後の車に背中からもたれる第5号に、追い打ちをくらわせようとトライチェイサーごと突っ込んでくるクウガを、間一髪避ける第5号。
すかさずクウガの背後に回り込み、第5号がクウガの首を両手で締め上げる。手をほどかれると、今度は両足で挟んで締めあげ、そのまままの状態でクウガをトライチェイサーから引きずり下ろす。足を振りほどき、逃れたクウガ。肉弾戦が始まる。
ここまでの多彩なクウガのバイクアクションと、これまた身軽さと素早さを見せてよけたり反撃したりする第5号との戦いは、なかなか手が込んでいて見ごたえがある。
駆けつけたパトカーと覆面パトカー。パトカーからは刑事と制服警官が、覆面パトカーからは一条刑事が降りてきて、建物の中に駆け込み、階段を上がっていく。その後に、また覆面パトカーが1台やってくる。降りてきたのは、クウガに助けられた刑事で、彼もまた建物の中に駆け込んでいく。
クウガと第5号は、お互いに身構えながら距離を取ってにらみ合っている。そこへ、一条刑事たちが駆けつける。その姿を見つめる一条刑事。もう一人の刑事は未確認生命体が2匹だと思ってるので迷わず発砲する。
すると、クウガたちの背後の柵に当たった弾が床に着弾し、その摩擦のせいか何かで、床にこぼれていたらしい可燃物に引火する!何でそんなところにそんなものが!
銃を構えている刑事の腕を押さえ、撃つなと止める一条刑事。発砲した刑事は当然「何言ってるんだ!」と銃を離さない。もみ合う二人。その二人の後ろで、銃を構えるも戸惑う警官たち。
すると、後から追いついた刑事が発砲した刑事の背中に回り込んで抱き止め、撃たなくていいと背後からなだめる。
発砲した刑事は驚いて振り返り、「杉田さん……」と彼の名を呼び、ようやく銃を下ろす。杉田刑事はなだめるように発砲した刑事の腕をポンポンとたたく。
一件落着し、一条刑事は視線をクウガと第5号の方に向ける。
床のあちこちで炎が揺らめく中、クウガと第5号が戦っている。第1号よりは元々の体幹もスペックも技の多彩さもバリエーションも優れている第5号と、互角の戦いをするクウガ。
やがて隙をつき、クウガが第5号の腹部に渾身の肘撃ちをくらわせる。なかなかのダメージを食らい、第5号はよろよろと後ずさって床に倒れこむ。
床に転がったまま、顔を上げる第5号。油断なく身構えているクウガ。
ゆっくりと立ち上がろうとする第5号に、床を前転して得た勢いと、手を床について前に押し出した力とで、再び第5号の腹部に向かって下からキックを繰り出すクウガ。
キックは命中し、その勢いのまま第5号ごと壁まで飛んでいく。何という力!第5号のお腹周りの映像が波紋を起こしたように乱れることで、視覚的にその衝撃を伝えるという凝りようだ!
キックした足で第5号を壁に押し付けたまま、もう片方の足で第5号の胸を蹴る。同時に、胸にはクウガの紋章が現れる。衝撃で壁が壊れ、第5号はその破片とともに後ろへ吹っ飛ぶ。美しい着地ポーズを決めるクウガ。
壁の外、輝く緑を背景に、空中で木っ端みじんに爆発する第5号。
建物の外。木っ端みじんになった第5号の燃え尽きたカケラが、バラバラと地面に落ちる。それを第5号を蹴り飛ばした場所から見ているクウガ。
第5号が突き破ったのはどうも窓の形をしていて、しかも同じ形の窓が右にも左にもあるので、廃業したホテルだったのか。ま、いいか。
息をつくクウガ。カメラがクウガの全身を上から下へ移動しながら映す。右足は熱を帯びているのか、煙というか蒸気が上がっている。
同じように第5号が木っ端みじんになるのを見ていた一条刑事たちが、それぞれにクウガへと視線を移す。そっと微笑む一条刑事のカッコ良さよ。
日差しを浴びながら、クウガもまた一条刑事たちの方へと顔を向ける。体ごと向き直り、ゆっくりと右手を上げて親指を立てる。その姿を、静かに見つめる一条刑事。その表情はどこか誇らしげで、嬉しそうに見える。
まぶしい光がさしこむ中で、しばらく見つめあう二人。
もう一度かすかな笑みを浮かべ、一条刑事はクウガに背を向けて歩き出す。そのまま歩み去ってしまうのかと思いきや、一条刑事はスッと右手を上げて、背後のクウガに見せるように親指を立てる。スッと右手を下ろし、そのまま歩く一条刑事。何そのスマートな仕草!
それまでずっと右手を上げ続けていたクウガは静かに手を下ろし、大きくうなずいたのだった。
差し込む日光を真ん中において、明るい中で見つめあう一条刑事とクウガの立ち姿が、素晴らしく美しい。これはもう芸術!そして一条刑事がサムズアップを返すところは、バディ物の最初のクライマックスとして最高過ぎて鼻血出そう。
第5号が吹っ飛んでから誰のセリフ一つもないんだけど、五代雄介と一条刑事の間に確かな信頼が生まれたことがはっきり分かる。
第4話 完。
さてはて、オシャレに目覚めた第3号の明日はどっちだ⁉(違う)
みなさま、長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
<m(__)m>
初出:2021年7月17日 2024年5月2日加筆修正
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