熊本で始めた竹の灯りを、日本中へ。そして世界へ__株式会社ちかけんプロダクツ

熊本の代表的なお祭りとして知られる『みずあかり』。熊本城を背景に、あかりの灯った竹のオブジェがまちを彩る姿が印象的です。このお祭りは、竹、火、水、ろうそくといった熊本の資源を生かした灯りを使ったもので、秋の夜2日間に渡り開催されます。

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そんなみずあかりに欠かせない竹あかりを日本中、世界中に発信しているのが玉名郡南関町に活動拠点を構える『ちかけんプロダクツ』です。

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2007年4月に設立された『ちかけん』は、祭りなどのイベントでの竹あかりによる演出を行う会社としてスタート。熊本の祭りをはじめ全国のイベント、演出などに携わっています。「竹あかり」の作品を使った演出で、たくさんの人たちを魅了し続けるプロジェクト。創業者の一人である三城賢士氏さんに話を伺いました。

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「ちかけんの始まりは、崇城大学在学中に池田親生に出会ったことからです。同じ大学、同じ『内丸恵一先生研究室』にいた僕らは、大分県臼杵市で行われている『うすき竹宵』という竹灯籠の祭りと出合いました。みんなで汗を流して竹灯籠にあかりを灯す祭りが、人々の意識に変化を与え、結果、まちが活性化している様子を目の当たりにしたんです。自分たちのまちは自分で灯すことが、結果としてまちづくりにつながっていることを実感し、竹あかりの持つ魅力と力に気づいた経験となりました」。

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そんな2人が竹あかりを仕事にするようになったきっかけは、2004年に始まった熊本城周辺で開催される『みずあかり』の立ち上げだったそう。

「祭りの立ち上げから関わることで、人と人、人とまち、人と自然を繋ぐ竹あかりの魅力を強く印象づけ、作り伝えていこうと起業を決意しました。竹あかりに出会って3年後の2007年に『合同会社ちかけん』を設立しました」(2012年『株式会社ちかけんプロダクツ』へ組織変更)。

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「竹あかりを灯して、地域を盛り上げたい」。この思いから始まった2人の挑戦。今では仲間も増え、熊本を拠点に全国各地で竹灯りを灯し、その土地にしかない風景と物語を作り続けています。

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取材に伺った3月上旬。この日は東北で行われる東日本大震災から10年の慰霊祭に使われる竹あかりの創作日。メンバーが思いを込めひとつ一つ丁寧に竹に加工を施していました。

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「人と人・人とまち・人と自然」を繋ぐ「竹あかり」が新たな日本の文化として受け継がれることを目指すちかけんは、さまざまな演出にも携わってきました。代表的な演出として、2012年の明治天皇百年祭、2016年伊勢志摩サミット・配偶者プログラム夕食会場、2020年みんなの想火などがあります。熊本では前述したみずあかり に2004年から関わり、2007年からはデザイン・制作指導を担当。

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また、活動は竹あかりだけではありません。2016年の熊本地震や2020年の熊本豪雨災害では支援チームを立ち上げ、被災した市民や県外支援者とともに復興支援活動をしてきました。また、地域に特化したイベントの開催にも力を注ぎ、2018年からクリスマスマーケット熊本を企画・開催。2019年には1週間で20万人を超える来場者を記録するなど、活動の幅を広げています。

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今では「竹あかり=ちかけん」と認識している人も多いのでは、と思うほど、県内や国内での認知度が上がっています。とはいえ、ちかけんが活動を通して本当に伝えたいことは竹であることでも、デザインや制作方法でもないと言います。

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「竹はどこでも生えて、誰でも切ることができ加工できる素材です。だから僕らがやっていることは<誰でもできること>なんです。重要なことは、自ら行動し、自立すること。そして、自立したみんなで協力して<誇れるまち>を作り、まちに還元していくことです。それが竹あかりのメッセージだと思っています。だからこそ、竹あかりを日本の文化として100年後も残していきたい、そう思いながら活動しています。竹あかりで人が生き生きとし、まちがよくなれば、国もよくなり、世界がよくなる。僕らはそう信じているんですよ。竹あかりは平和を実現するツールでもあるんです」。

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取材中、何気なく語られる言葉の強みや未来を明確に想像する姿など、迷いのない思いをひしひしと感じました。熊本発の竹の文化が、世界中のまちに灯りを灯す日も、そう遠くないかもしれません。

株式会社ちかけんプロダクツ
玉名郡南関町関町1411
0968-82-8440


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