「次世代スマート ホスピタル202X 治療」 オリンパス編：日本医学会総会2023東京 博覧会 次世代スマート ホスピタル202X 02-01
2023年04月22日、私は東京国際フォーラムを訪れ、一般客として、日本医学会総会 2023 東京 博覧会（以下2023博覧会）に参加した（[1]）。
「次世代スマート ホスピタル202X」は人生100年時代における次世代のスマート ホスピタルの姿を紹介するものである（1）。
スマート ホスピタルの解説は既に、「展示物から「次世代スマート ホスピタル202X 診察」を振り返る：日本医学会総会2023東京 博覧会 次世代スマート ホスピタル202X 01」で実施済みである。
本記事では、「次世代スマート ホスピタル202X 治療」におけるオリンパス株式会社（以下同社）の展示物を紹介する。
なお、本記事は「次世代スマート ホスピタル202X」に基づくものである（1）。
同社は上部消化管内視鏡システム「EVIS X1 ビデオシステムセンター OLYMPUS CV-1500」（図02-01．01，[2]）と内視鏡治療（[3]）を紹介した。なお、内視鏡治療は、組織採取（バイオプシー、生検）、異物摘出、内視鏡的ポリープ切除術（ポリペクトミー）、内視鏡的粘膜切除術（Endoscopic mucosal resection：EMR）、内視鏡的粘膜下層はく離術（Endoscopic submucosal dissection：ESD）、止血、ならびに、砕石・採石が含まれる。
また、同社は企業ブース（[4]）で、消化器内視鏡 細径・高画質・NBI（Narrow Band Imaging：狭帯域光観察，[5]）の紹介として、内視鏡システム「EVIS X1」（2）と上部消化管汎用ビデオスコープ「GIF-1200N」（[6]）を展示した（図02-01．02）。
NBIは、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい紫と緑の2つの特殊な光を照らすことで、粘膜表層の毛細血管やそのパターンなどが強調して鮮明に表示される観察技術である。これにより、通常光による観察では見えづらかったがんなどの病変の早期発見に貢献することが期待される。
また、最適な治療判断には病変診断も重要となる。NBIは血管や粘膜の詳しい観察を支援し、その診断にも貢献することが期待される。
上部消化管内視鏡トレーニング モデルに挿入している。
モデル胃の中にモデル病変が3カ所確認できる。
図02-01．02．消化器内視鏡 細径・高画質・NBI。
大腸内視鏡 苦痛軽減に寄与する技術の紹介として、内視鏡挿入形状検出装置「UPD」（[7]）と大腸内視鏡「PCF-H290DI」（[8]）を展示した（図02-01．03）。
図02-01．03．大腸内視鏡 苦痛軽減に寄与する技術。
消化器内視鏡 超拡大内視鏡・AI（人工知能）技術の紹介として、超拡大内視鏡「Endocyto」（[9]）と内視鏡画像診断ソフトウェア「EndoBRAIN」シリーズ（図02-01．04，[10]）を展示した。
「EndoBRAIN」シリーズが紹介された。
消化器内視鏡 内視鏡処置具の操作体験として、上部消化管汎用ビデオスコープ「GIF-H290T」（[11]）用処置具（図02-01．05，[12]）を展示した。なお、これらの多種多様な処置具は、更なる低侵襲化の実現を支援するものである。
腹腔鏡として、外科手術用内視鏡システム「VISERA ELITE III」（図02-01．06，[13]）とENDOEYE FLEX 3D先端湾曲ビデオスコープ「LTF-S300-10-3D」（[14]）を展示した。
VISERA ELITE III は、4K（3840×2160の映像）／3D（3次元）／IR（蛍光剤インドシアニングリーンを投与して、近赤外光（Infra-Red：700-780nmの波長の光）を当てることにより発生する蛍光を観察するための特殊光観察機能）観察の機能を1つのシステムに統合することで、手術室間で1つのシステムを標準化することができ、操作やトレーニングの効率化に貢献する。各診療科における病院内の他の機器や設備と連携し、多職種で機器を共有することで、手術室のスケジュールの柔軟な編成や機器の使用率を高めることが可能である。
そして、手術用顕微鏡として、手術用顕微鏡システム「ORBEYE」を展示した（図02-01．07，[15]，[16]）。
この4K 3Dビデオ技術を搭載した手術用顕微鏡システムにより、執刀医などは長時間、同じ姿勢による苦痛を余儀なくされていた接眼レンズから解放される。
4K3D 大型モニターにより、手術室内の医療従事者全員で画像を共有でき、若手医師への教育目的としても活用できる。
また、手術前準備としてのバランス調整の必要はないので、セットアップ時間を短縮でき、運用効率向上にも貢献する。
そして、4K3D大型モニターによる、明るいIR、BL（Blue Light：青色光）、および、NBI観察が可能である。
参考文献16から引用。
図02-01．07．ORBEYE。
私は同社の展示物から、同社の最新鋭技術を知ることができた。
また、「医療製品を提供することで、胃がん・大腸がんの検診・精密検査の受診率向上や、早期発見・早期治療によるがん死亡率の低減に貢献する（[17]，[18]）、そして、これらのがんに対するがんゲノム医療（[19]）を2番手以降にする」という同社の気概も感じることができた。
これからも、同社の活躍に期待したい。
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「オリンパス株式会社 内視鏡について学ぼう！体験してみよう！」レポート：健康未来EXPO 2019から学んだこと その04
参考文献
[1] 第31回日本医学会総会2023東京 展示事務局．“第31回日本医学会総会 博覧会 ホームページ”．https://tsunagu-iryo.jp/minna-expo/，（参照2023年06月02日）．
[2] オリンパス株式会社．“EVIS X1”．オリンパス医療ウェブサイト：消化器内科 ホームページ．内視鏡／超音波システム．https://www.olympus-medical.jp/gastroenterology/system/evisx1，（参照2023年06月02日）．
[3] オリンパス株式会社．“内視鏡治療”．内視鏡で見つける！健康応援サイト 「おなかの健康ドットコム」 ホームページ．内視鏡について．https://www.onaka-kenko.com/endoscope-closeup/endoscopic-therapy/，（参照2023年05月29日）．
[4] オリンパス株式会社．“オリンパス、「日本医学会総会2023東京 博覧会」に出展 「最新の医学、医療に出会い、体験する」をテーマに、最新の医療技術を展示”．オリンパスグループ企業情報サイト ホームページ．ニュース．ニュースリリース一覧．2023．2023年04月04日．https://www.olympus.co.jp/news/2023/nr02497.html，（参照2023年05月29日）．
[5] オリンパス株式会社．“NBI（狭帯域光観察）”．内視鏡で見つける！健康応援サイト 「おなかの健康ドットコム」 ホームページ．内視鏡について．内視鏡のさまざまな技術．画像強調内視鏡技術（IEE）．https://www.onaka-kenko.com/endoscope-closeup/endoscope-technology/et_10.html，（参照2023年05月29日）．
[6] オリンパス株式会社．“GIF-1200N”．オリンパス医療ウェブサイト：消化器内科 ホームページ．スコープ．https://www.olympus-medical.jp/gastroenterology/scope/gif-1200n，（参照2023年05月29日）．
[7] オリンパス株式会社．“デザイン賞受賞製品 UPD（内視鏡挿入形状検出装置）”．オリンパスグループ企業情報サイト ホームページ．技術・デザイン．オリンパスのデザイン．デザイン賞受賞歴一覧．https://www.olympus.co.jp/technology/design/product/upd.html?page=technology_design，（参照2023年05月29日）．
[8] オリンパス株式会社．“検査中のスコープ形状をリアルタイムに3次元画像で描出 細径のハイビジョン対応・高画質大腸ビデオスコープを発売”．オリンパスグループ企業情報サイト ホームページ．ニュース．2015年04月08日．https://www.olympus.co.jp/jp/news/2015a/nr150408evisj.html，（参照2023年05月30日）．
[9] オリンパス株式会社．“超拡大内視鏡Endocytoの使用経験”．オリンパス On-Demand Library ホームページ．消化器内科．https://www.olympusprofed.com/jp/gi/endocyto/14955/，（参照2023年05月30日）．
[10] オリンパス株式会社．“EndoBRAIN”．オリンパス医療ウェブサイト：消化器内科 ホームページ．AI．https://www.olympus-medical.jp/gastroenterology/ai/endobrain，（参照2023年05月30日）．
[11] オリンパス株式会社．“病変へのアプローチ性と操作性の向上を追求 上部消化管ビデオスコープ「GIF-H290T」を発売”．オリンパスグループ企業情報サイト ホームページ．ニュース．ニュースリリース一覧．2019．2019年05月31日．https://www.olympus.co.jp/news/2019/nr01258.html，（参照2023年05月30日）．
[12] オリンパス株式会社．“処置具”．オリンパス医療ウェブサイト：消化器内科 ホームページ．https://www.olympus-medical.jp/gastroenterology/et，（参照2023年05月30日）．
[13] オリンパス株式会社．“外科用内視鏡システム VISERA ELITE III”．オリンパス医療ウェブサイト：一般外科 ホームページ．VISERA ELITE III．https://www.olympus-medical.jp/general-surgery/viseraelite3，（参照2023年05月30日）．
[14] オリンパス株式会社．“先端湾曲ビデオスコープ ENDOEYE FLEX 3D”．オリンパス医療ウェブサイト：一般外科 ホームページ．VISERA ELITE III．https://www.olympus-medical.jp/general-surgery/viseraelite2/endoeye-flex-3d，（参照2023年05月30日）．
[15] オリンパス株式会社．“手術用顕微鏡システム ORBEYE”．メディカル タウン ホームページ．脳神経外科（手術用顕微鏡）．製品情報．手術用顕微鏡システム．https://www.medicaltown.net/neurosurgery/product/sms/orbeye/，（参照2023年05月30日）．
[16] オリンパス株式会社．“高精細デジタル画像かつ立体的な視野で、緻密な手術をサポート 4K 3Dビデオ技術搭載の手術用顕微鏡システム ORBEYEを発売 ソニー・オリンパスメディカルソリューションズが技術開発を担当”．オリンパスグループ企業情報サイト ホームページ．ニュース．ニュースリリース一覧．2017．2017年09月19日．https://www.olympus.co.jp/news/2017/nr00610.html，（参照2023年05月30日）．
[17] オリンパス株式会社．“医療製品”．オリンパスグループ企業情報サイト ホームページ．製品・サポート．https://www.olympus.co.jp/products/medical/，（参照2023年05月30日）．
[18] オリンパス株式会社．“胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査”．オリンパスグループ企業情報サイト ホームページ．サステナビリティ．社会．https://www.olympus.co.jp/csr/social/survey/?page=csr，（参照2023年05月30日）．
[19] 国立研究開発法人 国立がん研究センター．“がんゲノム医療 もっと詳しく”．がん情報サービス ホームページ．診断と治療．がんゲノム医療とがん遺伝子検査．がんゲノム医療．2022年11月24日．https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/genomic_medicine/genmed02.html，（参照2023年05月30日）．
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