診療情報は誰のもの:ジャパンキャンサーフォーラム2021を介して、ジャパンキャンサーフォーラム2018を振り返る その02

PDF版は「02.診療情報は誰のもの」をダウンロードしてください。

2018年08月12日、私は一般客としてジャパンキャンサーフォーラム2018(以下JCF2018)に参加した(1)。

JCF2018で、メディカル・データ・ビジョン株式会社(以下同社)の展示ブースを訪れた(2)。同社は「診療情報は誰のもの?」という質問を提示した(図01)。

03.診療情報02

図01.小冊子「診療情報は誰のもの?」:メディカル・データ・ビジョン株式会社の展示ブース。

私を含む参加者はブースの仕切りに、「分かりやすい言葉で説明してくれる人がもっと増えたら…。」や「がんに関する情報格差がなくなりますように!!」などと書かれている紙を同社社員に貼ってもらった(図02,3)。

01.診療情報01

図02.メディカル・データ・ビジョン株式会社の展示ブースの仕切り。
「分かりやすい言葉で説明してくれる人がもっと増えたら…。」や「がんに関する情報格差がなくなりますように!!」と書かれている紙が貼られている。

私もこの展示ブースに「診療情報について、一般人(患者を含む)(に対して)は、彼ら向けに補足情報を添えて欲しい!」と書かれている紙を貼ってもらった(図03)。
本当は「診療情報において、患者やその親族に対して、病気に関する補足情報を添えてほしい!」と書きたかった。しかし、即興で書いたので、拙い表現になってしまった。

02.拙意見

図03.「診療情報について、一般人(患者を含む)(に対して)は、彼ら向けに補足情報を添えて欲しい!」と私が書いた紙。
本来なら「診療情報において、患者やその親族に対して、病気に関する補足情報を添えてほしい!」と書くべきであった。しかし、即興で書いたので、拙い表現になってしまった。

また、「自分が受診した際の診療情報は誰のものだと思いますか?」という質問に対して、「自分のもの」、「病院のもの」、および、「(自分と病院の)両者のもの」と言う回答の中で、「両者のもの」と回答した人が圧倒的に多かった(図04,3)。実際、私も「両者のもの」と回答した。

04.アンケート

図04.質問「自分が受診した際の診療情報は誰のものだと思いますか?」。
「自分のもの」、「病院のもの」、および、「(自分と病院の)両者のもの」と言う回答の中で、「両者のもの」と回答した人が圧倒的に多かった。

余談だが、2021年08月21~22日、ジャパンキャンサーフォーラム2021(以下JCF2021)がオンラインで開催されたが、同社は参加しなかった(4)。

同社が展示ブースで主張した「診療情報は誰のもの?」と言う質問から、私は以下の事を思い浮かべた。
ある疾患の患者、特にがん患者の一部ががんのインチキ医療情報に騙されて嵌る人がいる(5)。実際、女優・川島なお美(以下敬称略,2015年09月24日没,享年54歳)は「ごしんじょう療法」と言うインチキ医療を受けていた(6)。

この様な事例が生じる理由の1つは、医師と患者間の情報格差である(7)。
医師は総合大学医学部や医科大学で医療に関する専門知識を学ぶ。そして、医師免許を取得し、医師になってからも、臨床現場や医療系学会で。新たな知識を学ぶ。それ故、通常、医師には自分の専門分野に関する膨大な知識がある。
その一方で、患者やその家族はある疾患に罹ることで初めて、その疾患に関することを学ぶ。当然、それに関する知識は微々たるものである。
それ故、患者の中には、医師が使う言葉が「訳がわからない」や「怖い」と感じる人もいる。
また、上記の患者の中には「分かり易さ」を求めて、インチキ医療に走る人もいる(8)。

医師と患者間の情報格差を埋める、ひいては、インチキ医療を撃退するためには、医師と患者は積極的に「協働的意思決定」を行い、かつ、診療ガイドラインを活用する、言い換えれば、「共に歩む」必要がある(7)。こうした医師と患者の共同作業を促す製品を開発し、かつ、サービスを展開する同社を私は支持する(9)。

参考文献
1 認定NPO法人 キャンサーネットジャパン.“ジャパンキャンサーフォーラム2018~みんなで知ろう!がんのこと~”.NPO法人 キャンサーネットジャパン ホームページ.イベント情報.https://www.cancernet.jp/24812,(参照2021年08月23日).
2 認定NPO法人 キャンサーネットジャパン.“展示ブース2018”.ジャパンキャンサーフォーラム ホームページ.展示ブース.2018年.https://www.japancancerforum.jp/booth/booth2018,(参照2021年08月23日).
3 メディカル・データ・ビジョン株式会社.“「診療情報を家族と共有したい」「医師との二人三脚が第一」JCF2018来場者が「これからの医療への期待と意見」”.めでぃログ ホームページ.新着ニュース.2018 年08月15日.https://portal.medilog.jp/view_6.html,(参照2021年08月23日). 
4 認定NPO法人 キャンサーネットジャパン.“2021年―展示ブース”.ジャパンキャンサーフォーラム ホームページ.展示ブース.2021年.https://www.japancancerforum.jp/booth,(参照2021年08月23日).
5 株式会社 クロエ,株式会社 クリニカル・トライアル.“YouTubeにもあった!?がんのインチキ医療情報”.オンコロ ホームページ.オンコロブログ.2018年02月17日.https://oncolo.jp/blog/20180217dt,(参照2021年08月23日).
6 株式会社 デイリースポーツ.“川島さんが頼った民間療法は金の棒”.デイリースポーツ online ホームページ.芸能.2015年09月26日.https://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2015/09/26/0008431852.shtml,(参照2021年08月23日).
7 公益社団法人 日本医師会.“No.18 患者と医師の関係を考える 上手に使おう、診療ガイドライン”.日本医師会 ホームページ.サイトマップ.医学生のみなさまへ.DOCTOR-ASE ホームページ.No.18 2016.7.http://www.med.or.jp/doctor-ase/vol18/index.html,(参照2021年08月23日).
8 LINE株式会社.“なぜとんでも医療がなくならないか 難しい真実と分かりやすいデマ”.BLOGOS(ブロゴス) トップページ.ライフ.中村ゆきつぐ.2016年11月02日.http://blogos.com/article/196380/,(参照2021年08月23日).
9 メディカル・データ・ビジョン株式会社.“製品&サービス”.メディカル・データ・ビジョン ホームページ.http://www.mdv.co.jp/solution/,(参照2021年08月23日).

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